僕と対象“G”との戦いの歴史


 ※“G”の話題です。黒くてカサカサ動き回る“ヤツ”です。苦手な方はブラウザバック。

 

第1回戦……小学1年生@裏山の神社

 ぼくが初めて“ヤツ”を認識したのは、小学1年生の頃でござった。

 

 場所は、近所の裏山。

 

 実際は大したことのない、「少し高さのある雑木林」程度の場所だったんだろうけれど、当時7才のぼくらにとっては、ちょっとした冒険の地であり、大人の寄り付かない秘密の場所。

 秘密基地作りをしたり、ダンボールで斜面を滑ったりして、主に夏から秋にかけては、よくそこでキャッキャウフフしていたような記憶がある。朽ちてボロボロの境内があって、その雰囲気がまたたまらんのですよ。鍵がかかってて、中には入れなかったけど。

 

 秋には、落ち葉をかき分けてダンボールで滑るのを楽しんだ。ミニ四駆も走らせていたと思う。その辺の地面を走らせると、葉っぱがタイヤに絡むのよね、あれ。

 あと、焼き芋をしていたおっちゃんに芋を食わせてもらったこともあったような。今になって考えてみると、あれって良かったのかな。もしや神社の人だったのかしら。

 

 そんな思い出話はともかく、当時幼かったぼくは、そこで初めて“ヤツ”と遭遇したのです。通称、対象“G”。「名前を呼んではいけないあのゴキ」ですね、はい。

 

 ちょうど夏が終わり、秋に入るくらいの時期だったこともあり、やんちゃに虫取りっぽいこともしていたぼくら。そんな中で捕まえた一匹として、そいつはいた。

 結論を申しますと、なんにもなかった。……はい、ぼくらの誰一人として、それが“G”だと気付いていなかった模様。無知ってすげえ。

 

いっぱいつかまえたよー!

わー!すげー!見せて見せて―!

この黒いヤツ、なんだろー?しってるー?

えーっと、たぶん、コオロギじゃない?ちっちゃいし!

でも、他のコオロギと違って、こいつ鳴かないよー?

ほんとだー!メスかな?メスのコオロギは鳴かないんだって!たぶん!

なるほどー!ものしりだねー!昆虫はかせだ!

 

 後に、我が家で“G”がホイホイされたとき、オヤジに見せつけられて、「あれ?あのときのあれって……」と気付いたようです。コオロギにしては薄っぺらすぎると気付けYO!まあ平和的解決が一番ですが。

 

1回戦:ドロー

 

第2回戦……中学2年生@学習塾

 その後、“ヤツ”が教室に乱入してきたり、道端でぺちゃんこになっているのを見かけたり、といったことは時々あったけれど、直接的に僕自身が関わることはあまりありませんでした。

 だいたいは先生が勇猛果敢に戦いを挑んでいたし、後者は物言わぬ物体だったので。へんじがない。ただのしかばねのようだ。

 

 僕が直接、“ヤツ”と渡り合うことになったのは、14歳の頃、夜の帳が下りた後の学習塾の一室にて。

 

 当時の僕は、小学校時代は優等生だったのに、中学に入って英語の成績があまりに酷い!という典型的な落ちぶれっぷりをしつつある頃だったので、母親に「勉強せい!」とたびたび突っ込まれておりました。

 ずっと続けていた進研ゼミもたまる一方で、こりゃあかん!というときに、仲の良かった友達に勧められて、入塾することに相成りました。てへへ☆

 

 少人数制の個人経営塾で、授業は割と楽しかった。むしろ、学校にいるときよりも生き生きしていたまである。おちゃらけ電波不思議メガネっ子いうゲテモノキャラとして立ち回りつつも、真面目に勉強していました。たぶん。おそらく。きっと。

 

 そんなある日の授業中、黙々と練習問題を説いている最中、生徒の一人が黒光りする“ヤツ”の存在に気付いた。

 

「あっ!“G”だ!!」

 

 途端に、「うおー!やべー!」「でたあああ!!」「ひゃっはー!」などと、大騒ぎしつつも戦闘態勢に入る僕らと、慌てて避難する50代独身のおじちゃん先生。僕はと言えば、その存在を警戒しつつも、「ふーん、誰かよろしくー」と傍観する格好。がんば。

 

 ところが、“ヤツ”はものすごい好位置に陣取っていた。教室の前の白板の上、天井に程なく近い壁にぴたりと貼り付き、周囲を窺っていたのである。叩き潰すには狙いづらいし、下手に刺激するとどの方向へ動くか分からない状態。室内は、極度の緊張に包まれた。

 

 そして、勇気ある猛者が一人、ようやく、“ヤツ”を殲滅せんと動き出す。

 塾一番の優等生、K君である。

 

 K君は、職員室まで走ってゴ◯ジェットを取りに行き、右手に装備。じりじりと、その距離を縮めていた。その様子を見守る僕ら生徒と、隅っこで怯えながらしゃがみ込むティーチャー(かわいい)。――瞬間、細い管から即効性のガスが噴射される!どうだ!!

 

 それからの動きは、僕の目にはスローモーションに映りました。

 

 ――ガスを食らった“G”、こいつはたまらんと、テイクオフ。

 しまった!という顔をするK君。“G”の飛行方向へ視線を送る。

 

 室内の誰もが見守る中、視線は一点に集中していく。すなわち、僕の方へ。

 咄嗟に動けない僕。黒い物体がまっすぐ直進してくるのを、ポカンと見守る。

 

 あれ?消えた?と思った次の瞬間、首筋に嫌な感触。

 「?」と疑問符を呆然と浮かべる僕に、誰かの声が届く。

 

「あ、首にゴキb……

「ぎぃいぃいぃいいいやあああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁあ!!!!」

 

 反射的に動いた左手が、自らの首を殴りつけ、落下する“G”。

 そこに電光石火、飛んできたK君がガスを噴きつけ、引導を渡す。

 

 数秒後、対象は沈黙。僕も沈黙。首筋には、嫌な感触。

 

 しばらくの間、洗面所で茫然自失に陥っておりました。

 足の感覚が……カサカサと……。

 

2回戦:完 敗

 

第3回戦……高校3年生@民宿

 “G”の飛行能力を失念した結果、完全敗北を喫した僕。それ以来、“G”が現れては「にげる」コマンドを選択し続けてきたが、数年も経つと、むしろ恨みがつのるようになる。

 

 そう、リベンジである。

 これは、攻撃でも宣戦布告でもなく……!僕を傷つけた“G”たちへの、逆襲だ……!

 

 その機会は、高3の夏休みに訪れた。

 

 部活動の全国大会のため、遥か西、山陰地方の地へと降り立った僕ら一行は、とある民宿に一泊することになった。

 周囲を見渡せば田園地帯。2階建の一軒家で、古き良き日本家屋を思わせる落ち着いた佇まい。これはゆっくりできるべー!と、部員は各々、部屋でスマブラをしたり、AVを見たり、AVを見たりしていた(※男子校)。

 

 そろそろ消灯、マリカーを止めて寝ようかと思っていたところ、廊下から愛しの後輩(※中1男子。かわいい)の悲鳴が響いた。なんやなんや、何事や!と、ゲーム組とAV組とAV組がそれぞれ部屋から顔を出すと、そこには、にっくき黒の悪魔がいた。

 

 1階から2階へ上がる階段頭上から、ドヤ顔で僕らを見下ろす対象“G”。憎しみの炎が燃え上がるのを感じた僕は、愛しの後輩(※童顔。かわいい)を守るべく、一歩足を踏み出したのである。

 装備はスリッパ、それだけ。いや、それで充分。復讐の鬼と化した僕ならば、素手でも“ヤツ”を仕留められるだろうという、根拠のない自信があった。僕はやれる。飛べる!

 

 跳んだ。今度は僕が。

 2階部分から“ヤツ”へ跳びかかり、そのまま手に持っていたエクスカリバー(※スリッパ)で叩き落とした。抵抗できず、そのまま落下する“G”を横目に、笑みを浮かべ着地する僕。

 

 階段下に着地した僕に、一拍遅れてボトッと落ちた、“ヤツ”。

 貴様には慈悲も与えぬ!と言わんばかりに、最後の一撃を繰り出す僕。

 

 トドメは、素足でした。

 「掃除が大変!」と宿のおばちゃんに苦笑いされました。

 

第3回戦:完 全 勝 利

 

“G”を見つけたら、どうする?

 日本では忌み嫌われる存在の“G”さんですが、海外ではポピュラーなペットだったり、愛好家がいたりと、扱いも様々なようですね。でもやっぱり……ねえ?

 

 “G”と言えば、千葉にいた頃は、アシダカ軍曹*1にお世話になりました。

 「やべえ!“ヤツ”だ!」とエンカウントしてしばらく後、「よう、待たせたな!」と言わんばかりに風呂場でうろうろしている手のひらサイズの軍曹を見かけたときは、もう思わず嬉しさで悲鳴が出ちゃいましたよ。きゃあああああ!!でけええええええ!!!

 

 人によって思うところはいろいろあるでしょう。

 が、僕から言えることは、ひとつだけ。

 

 “ヤツ”は飛ぶぞ!対空警戒を厳にせよ!!

 

 

 CV.能登麻美子なら許せるのに……。*2

 

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