軽い気持ちで劇場版SAOを観に行ったら、なにあれむっちゃヤバかったんだけど!むっちゃヤバかったんだけどー!「なんだかんだで初期のアインクラッド編が一番好き」な人が悶絶しそうな展開でござった……。
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2017年2月18日
映画『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』、公開初日に観てきた。いやー、なんやかんやで好きな作品だし、「極上爆音上映があるなら観よっかなー」と軽い気持ちで立川シネマシティに赴いたのだけれど、マジで最高だったぜよ!
※以下、なるべくネタバレを避けた感想となります
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2つの意味で「リアル」とつながる『劇場版SAO』
僕自身、ゲーム版などの派生作品までチェックしているわけではないものの、原作*1は2010年ごろから追いかけており、アニメも2期までしっかりと観ている程度には大好きな『ソードアート・オンライン』。……ただ、アリシゼーション編に入ってからは積ん読ぎみでもございました。
そんな自分がふらっと劇場版を覗きに行った結果が、冒頭のツイート。「『SAO』の魅力、全部盛りじゃないですかー! やったー!!」と上映後に叫びたくなるほどにおもしろかった。実際、終幕後にはあちこちで興奮の声が聞かれたくらいですし。隣の席の少年が「ほわぁぁあああぁぁ……!」と感動のあまりに謎の深呼吸を繰り返していたほど。わかるぞ、少年!
「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」本予告 - YouTube
さて、これまで複数のMMORPGを舞台にキリトさんが活躍してきた『SAO』シリーズ、此度の劇場版の舞台となるのは「現実世界」でございます。時系列的には、『マザーズ・ロザリオ』の後で、『アリシゼーション』の前となっている模様。
公式サイトやPVなどからもわかるように、鍵となるのは「AR(拡張現実)」。現代においては『ポケモンGO』の流行などに見られる技術であり、将来的にはスマートフォン以後のウェアラブルコンピューターとしてARデバイスが活躍するのでは――という見方もありますよね。
映画パンフレットより
本作に登場するAR型情報端末《オーグマー》は、ある意味でその可能性のひとつと言えるもの。現実的にはツッコミどころも多いのでしょうが、「こんな便利なものがあったら……!」と興奮せずにはいられない、素敵デバイス。イメージとしては、Google Glassの究極系、みたいな……?
しかも『劇場版SAO』においては、この「AR」だけではなく、もともと『SAO』世界の根幹にあった「VR」に、さらには最近話題の「AI(人工知能)」技術や「ディープラーニング」「ドローン」といった技術までもが重要な鍵として登場。フィクションではあるものの、「将来的にはこうなるかも……?」などと、身近な技術の展望に思いを馳せたくなる作品ともなっておりました。リズに煽られてショッピングモールで歌い出すシリカ、かわいすぎか……!
目まぐるしい展開と、3つの見どころ
そんな本作、盛りだくさんなのは技術だけではございません。
物語が進むに連れて明らかになっていく謎と、かなりの高頻度で挿入される戦闘シーン、もはやオールスターなんじゃないかというレベルで登場するキャラクターたちに、声優さんたちの熱演。もちろん、ストーリーを彩る梶浦由記さんの楽曲も。
「どこがよかった?」と聞かれると、それこそ「全部!」と答えたくなるくらいには魅力的な場面・要素が多かった劇場版。──とは言え、あれこれ書こうとするとネタバレになってしまうので、ここでは個人的に「よかった!」と感じた見どころを3つほど挙げてみました。
1. AR(拡張現実)の可能性に胸を高鳴らせた前半
「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」特報第3弾 - YouTube
まず印象的だったのが、劇場版ならではの要素として序盤から登場していた「AR」について。近未来的なウェアラブルデバイスが登場するフィクションでは昔から数多くあるけれど、本作のそれは「本当に身近にありそう」なものとして感じられるほどでした。
理由はいくつか考えられる。例えば、誰もが一様に《オーグマー》を装着し、街中でゲーム『オーディナル・スケール』に耽る劇中の風景は、どこへ行くにもスマホを片手し、道端に佇んで『ポケモンGO』をプレイする現実の人々とかぶるから──とか。ある意味それは「すでにリアルに存在する景色」だったため、見ていてほとんど違和感を覚えなかったのです。
「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」本予告 - YouTube
加えて、文字どおり「現実世界」が舞台となっていたことも大きい。劇中で最初の戦闘シーン、秋葉原UDX前でのARバトルに始まり、代々木公園や恵比寿ガーデンプレイスなど、登場するのは見慣れた東京の街ばかり。もはや「昨日歩いたところじゃん!」くらいの感覚。
馴染みのある街々に突発的な “イベント” として集まり、 “ゲーム” として順位を競っていく様子は、思わず「俺もやりてえ!」と交ざりたくなるほどに魅力的。それこそ、ポケモン……もとい『Ingress』的なリアリティと熱狂を伴ったゲーム内容であるように感じられ、ARの可能性を感じたのでした。順位が上がればクーポンがもらえるとか最高やん……。
2. アクション映画として見応え満点の戦闘シーン
「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」本予告 - YouTube
もちろん、ド迫力の戦闘シーンも見応え満点。もともと、スピード感抜群で爽快な戦闘シーンがアニメ版『SAO』の魅力のひとつだったんじゃないかと思いますが、劇場の大画面によってその魅力がマシマシに。スピードというより、「重量感」が大きく加わったような印象です。
というのも、「拡張現実」という設定がある以上、さすがにVR世界よろしくビュンビュン飛びまわるわけにもいかないのか、劇場版ではアニメ版ほどの高速戦闘っぷりは(序盤は)抑えられていた気がする。どちらかと言えば、キャラクターやモンスターの「動き」とそれに伴う「重さ」に寄せたアクションになっているように見えました。実際のところはわかりませんが。
「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」特報第3弾 - YouTube
特に前半は「あれ? アニメ2期後半から主人公交代したまま?」と思えるほどに、アスナの活躍っぷりがすごい。キリトさんがひぃひぃ言いながらARでの戦闘に挑んでいるのに対して、アスナと風林火山組がMMORPGよろしく立ち回っているのがかっこよすぎる。キャー閃光サーン!
あと、これは首都圏に住んでいる人には全力でおすすめしたい――というか別の映画でもいつも言っている気もする──のですが、立川シネマシティの極上爆音上映はいいぞ。『ガルパン』よろしく、本作も音響監督の監修が入っているとのことで、その臨場感はお墨付きでございます。
劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール - 立川シネマシティ
正直、上映開始しばらくはすっかり忘れていたのですが、戦闘シーンになった途端、全身を揺さぶる「音」の圧に鳥肌が立った。モンスターとの戦闘における「爆音」は言うに及ばず、対人戦での剣戟から響きわたる「音」が、本当に突き刺さるかのような臨場感。
戦闘シーンになるたびに全身を揺るがす「音」にハラハラドキドキ、最初から最後まで震え続けていた格好。ラストは、物語展開と爆音との相乗効果によって感情のタガが外れたのか、変な笑いがこみ上げっぱなしだったもの。「なんだこれー! なんだこれー!」みたいな。
3. 不必要なキャラクターがいないオールスター、そしてアリシゼーションへ
劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール- 公式サイト
さらに、映画で新たに登場したキャラクターの背景を劇中で紐解きつつも、おなじみのキャラクター同士の交流や掛け合いもまんべんなく描かれていたのもよかった。女の子勢の仲良しっぷりはもちろんのこと、クラインとエギルの立ち位置もすっごい好き。
それも「なんとなくいつもの感じで絡んでいる」というわけではなく、しっかりと物語の本筋に絡む形で各々が役割を果たしているように見て取れて、なんというか、全体的に “しっくりきた” んですよね。
リズ&シリカとの個々のやり取りがあり、SAOサバイバーではないシノンならではの役回りなどもあり──そうして、最後の “アレ” に結びつく納得感。これまでの積み重ねがあったからこそ、ラストは最高にアツいわけです。“MORE DEBAN” なんて訴える必要はなかったんや!
軽くネタバレですが、終盤のアスナがマイベストシーン。「失ったもの」を胸に秘めて戦うことはできなくとも、「失ったあとに得たもの」を携えて全力を尽くすことはできる――という。守られるだけのヒロインじゃない「アスナ」というキャラクターと、劇場版特有の設定と、過去のエピソードとが、見事に噛み合った瞬間。泣いた。
そして、物語は『アリシゼーション』へ。
スタッフロールが終わるまで、着席しておきませう。
“アインクラッド”にひとつの決着を
「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」本予告 - YouTube
そんなこんなで、簡単にではありますが、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の感想でした。唯一の欠点として、映画冒頭で世界観の説明はあるものの、シリーズ自体が完全初見の人にはおすすめしにくい作品かな、と。前知識があればなんとか……。
逆に「アニメを1期しか観ていない」くらいの人でしたら、充分に楽しめる映画となっているのではないかと思います。本記事冒頭にも書いたように、「なんだかんだでアインクラッド編が一番かな……」という人が「マジで!?」と喜ぶかも。Amazonプライムほか動画配信サービスでアニメ版を取り扱っているところも多いので、いずれかの会員の方はぜひ。
もちろん、『SAO』ファンにとっては最高の劇場版となっているはず。とにもかくにもアクションシーンの爽快感と「極上爆音」の音圧、そしてラストバトルの盛り上がりっぷりが尋常じゃなかったので、そこだけでも繰り返し劇場で観たいくらい。あの興奮はスクリーンでないと体感できないと思うので、Blu-rayだけを検討中の人も一度はぜひ映画館でどうぞ!
©2016 川原礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project
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*1:Web版ではなく電撃文庫版。