平成生まれの僕と「ポケモン」との、20年間のおもいで


 

 ポケモン20周年、おめでとうございます!

 

 生まれは平成、初代の『赤・緑』発売当時にちょうど小学1年生だった僕の少年時代は、『ポケモン』と共にあったと言っても過言ではないように思います。白黒のゲームボーイに始まり、アニメを見て映画で泣き、カードゲームで恋をして、慣れ親しんできた身近な友達。ときどきギエピー。

 最新の『オメガルビー・アルファサファイア』に至るまでずっと追いかけてきたタイトルであり、数少ない共通言語として他者とのつながりを作ってくれた存在であり、自分にとっては単なる「ゲーム」だけでは収まらないようにも感じる本作。

 上記ツイートのムービーを見ていたらいろいろと懐かしくなってきたので、自分と『ポケモン』との思い出を、つらつらと書き連ねてみました。ただの自分語り記事っす。

 

出会いは友達の『赤・緑』

 ぼくが初めて『ポケットモンスター』の存在を知ったのは、小学校1年生のとき。1996年末、『スーパードンキーコング3』を片手に友達の家に遊びに行ったところ、友達のお兄ちゃんがプレイしているのを見たのが出会いだった。

 当時は父親が気まぐれで買ってきてくれた白黒のゲームボーイを持ってはいたものの、手元にあるソフトと言えば『スーパーマリオランド』や『星のカービィ2』くらい。それ以外のタイトルは知る由もなく、学校でゲームの話をする機会もなく、『ポケモン』のことは知らなかった。

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【公式】すべてのポケモントレーナーたちへ - YouTube

 そのときは特に何の感慨も持たず、「ふーん、そういうゲームもあるのかー」くらいの感想しか持たなかったんじゃないかしら。「何かよくわからん動物っぽいのが戦ってる」とか、その程度。……もしかしたら、音楽だけは印象に残っていたかもしれない。

 しかしその後、お兄ちゃんがクリアし、友達もプレイし終わり、「よかったらやってみる?」ということで、少しだけ借りられることになったのです。ぼくからは多分、代わりに『カービィ』を貸したんじゃないかと思う。“ゲームの貸し借り”すら、今となっては懐かしいっすね……。

 

 まあ当然、ハマるよね!!

 

 ――ただし、貸し借りをしていたのは短期間。結局、殿堂入りするまではプレイできなかった。うろ覚えだけど、タマムシシティまでは行けたんじゃなかったかなあ……。「ゲームコーナーのポスター」のギミックを、友達から教わった記憶があるので。

 その後しばらく、自分で『赤・緑』を手にすることはなかったのだけれど、番宣でアニメが始まることを知り、後に連なる“ポケモン文化”的なものを追いかける土壌は、既にこの頃に培われていたのではないかと思います。でもアニメはなぜか1話を見逃し、2話から見始めるという悲しみ。

 

電気ねずみと劇場版、ポケモン熱の激化

 小学校低学年ということもあり、新しくゲームソフトを買うにも、“オトナ”の力を借りなければどうしようもなかった当時。しばらくは他のゲームを楽しむ日々が続き、ゲームとしての『ポケモン』と再見することになるのは、1998年。『ピカチュウ版』の発売でござる。

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ポケットモンスター ピカチュウ

 ピカ様バージョンの何がいいって、御三家がみんな手に入るというすばらしさな! ヒトカゲ・ゼニガメ・フシギダネの最終進化を引っさげて、四天王に挑むワクワク感よ。「セレクトバグ」が使えない切なさはあったものの、存分にプレイし、友達とも通信ケーブルを使って遊んでいた。

 一方で1998年と言えば、アニメーション劇場版の第1作目『ミュウツーの逆襲』が公開された年でもあり。母ちゃんにねだって、地元の映画館の長蛇の列に並んで鑑賞し、ラストシーンでは「サトシぃぃぃいいいいいぃい!!」なんて子供心にショックを受けた覚えが。ピカピー!!

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初期のパンフレットが意外と残ってた。

 ゲームプレイに、劇場版によるアニメ熱の激化。この頃になるともう「ポケモンがだいすき!」な少年として見事にできあがっており、それ以外のメディアミックスにも次々と手を出し始めていたのでありました。ギエピー!!!!

 

『ポケスペ』と「ポケモンカードゲーム」

 ポケモンの関連商品と言えば、まず『ポケットモンスターSPECIAL』の存在は見過ごせない。……というか2016年現在、我が家にある最古のマンガが、この2巻だった。当時は『小学○年生』系列の雑誌で連載されており、本誌で読んで単行本を購入したのだったはず。

 その魅力についてはLIGブログの寄稿記事でも書かせていただいたのですが、オフィシャルに認められた『ポケモン』作品でありながら、どこか二次創作的な色合いを持っている点が、小学生の自分の目には新鮮に映ったんじゃないかと思う。トレーナーにダイレクトアタック!

 一口に言えば、「ぼくの知ってる“ポケモン”だけど、見たことのない“ポケモン”だ!」という感動。想像もしていなかった技の解釈、暗躍するジムリーダー、どこへ行き着くか先の読めないドラマ性など、ひとつの物語作品としてもおもしろい。なのに、下地はあの“ポケモン”。最高か。

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技の解釈とか、イーブイの設定とか。

 現在も連載中のシリーズであり、この歳になっても楽しめる素敵なマンガ作品。さらにはKindle版の配信も始まっており、20年近く前に紙が黄ばむほどに読み返していた物語が、スマートフォン上で読めるという嬉しさ。かがくのちからってすげー! イエローかわいいよ、イエロー。

 また、それと平行してハマるようになったのが、『ポケモンカードゲーム』シリーズでござる。周りの友達が「遊戯王」にハマり、「デジモンカード」を嗜んでいるなかで、ぼくは中学を卒業するまでほとんど「ポケモンカード」一筋だった。ポケカ―は、我が青春。

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押し入れの中に眠る、過去の遺産。

 そのきっかけは、忘れもしない、小学2年生の冬。高熱を出し、数日間にわたって学校を休んでいた自分を元気づけようとしたのか、父親からふと「何か欲しいのあるか?」と問われたんだったと思う。

 そこでなぜか「ぽけもんのかーど……」と呟いたらしい自分の希望を叶えるべく、あちらこちらの書店とおもちゃ屋を探してきてくれたんですよね。そうして手にしたのが最初期のスターターパックであり、初めてのレアカードは“ライチュウ”。しばらくは相棒のように使っておりました。

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適当に開いて引っかかった、草タイプのページ。

 この出会いをきっかけに、ポケモンカードにはハマりにハマり、近所の個人店主催の大会に出るに留まらず、小学校高学年になると「ポケモンだいすきクラブ」の抽選か何かに当選して、関東大会にまで出場したくらい。――初めての一人での遠出。初めての東京ビッグサイト。

 成績はそこまで振るわなかったけれど、毎度のように公式大会に参加していると見知った顔も増えてくる。「よかったら交換しませんかー?」の一言で年上のお兄さんとも話すことができたし、思い返してみれば、それこそ自分が初めて手にした、「学校外の趣味と交友関係」だったのかも。

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黒歴史あばばー! どうしてきれいに残ってるんや!

 「トレーディングカードゲーム好きあるある」としては他に、自作カードを作ってドヤ顔で友達との対戦で出してみたり、公式大会で顔見知りになったかわいい女の子に一目惚れしたり……なんてこともあったけれど、掘り返すと何かが摩耗しそうなので……まあそんな感じっす、はい。

 

日本語の次に大切な、共通言語としての『ポケモン』

 そんな感じで、クラスメイトがハマっていた以上には『ポケモン』が大好きだったらしいぼくは、純粋に一人のファンとして今に至るまでそのコンテンツを追いかけ、楽しんできました。

 しかし一方では、自分にとっては単なる「ゲーム」以上の存在でもあった。「ポケモンがあったから、今の僕があります!」と100%言い切ることはできないけれど、少なからずその要素があるのも事実。ポケモンがなければ、自分の小学校生活は別のものになっていたかもしれない。

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【公式】すべてのポケモントレーナーたちへ - YouTube

 と言うのも、我が家はいわゆる「転勤族」。幼い頃から父親の仕事の都合で引っ越しが多く、僕自身も6年間で通った小学校は4校。いずれも年度替わりの転校ということでまだやりやすくはあったけれど、毎年のように交友関係がリセットされ、一から友達を作るのは簡単じゃなかった。

 もともと人見知り気質だったこともあり、自分から話しかけるにはかなりの勇気がいる。地域ローカルの話はわからないし、テレビ番組も詳しくなかった当時のぼくにとっては、まず最初に話のタネを、「きっかけ」を探すのが、途方もなく大変だった。

 相手から話しかけてもらえれば受け答えはするし、質問されれば前の学校の話もできなくはない。けれど「共通の話題」がないため、どうしても話が続かない。流行のお笑い芸人はわからないし、クラスの交友関係なんてもってのほか。……どうしよう。

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【公式】すべてのポケモントレーナーたちへ - YouTube

 そんなとき、ぼくを助けてくれたのが「ゲーム」であり、特に通信・コミュニケーション要素の大きい『ポケモン』だったのです。通信ケーブルは神器。

 少なくとも男同士なら、高確率でその話に持ち込めるくらいには、当時の小学生の間では「ゲーム」が娯楽としての地位が確立していた。放課後は、各々が携帯ゲーム機を持ち寄ってプレイするも鉄板、マイコントローラーを持参して据え置きハードでわいわいするも王道。

 なかでも『ポケモン』は、複数人で集まっての通信交換・対戦が可能となっており、人によって好きなポケモンや使っているポケモンも異なるため、話すだけでも楽しい、対戦すれば熱狂できる、本当に素敵なゲームでございました。「ポケモン、持ってる?」から始まるコミュニケーション。

 加えて、90年代後半はまだネット黎明期。攻略情報と言えばまだ口コミが主流であり、「胡散臭いけれどそれっぽい噂」があっちゃこっちゃで飛び回っていたんですよね。レッドを100回倒せばどうの、ウバメのもりの祠へ特定アイテムを持って行けばどうの、みたいな。

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 地域によってその手の「噂」が違っていたこともあり、転校生は「情報」を武器に話を広げることができたのでした。もちろん大抵はガセネタなのだけれど、そういった情報交換から話を始めて、仲良くなるきっかけになった。学校でゲームはできなくとも、ゲームの話はできる!

 なればこそ『ポケモン』は、どこへ行っても自分と他人とをつなげる役割を果たしてくれたし、コミュニケーションを円滑にする「共通言語」のごとく、幼いぼくの力となっていたようにも思えるのです。――実際はそれも、いくつかある話題の一要素に過ぎない気もするけれど……それでも。

 

今も変わらない『ポケモン』と、これからの楽しみ

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MOVIE | 『ポケットモンスター ジ・オリジン』スペシャルサイト

 今となっては昔ほどにプレイする時間はなくなってしまったけれど、それでも新作が出れば忘れずに買ってプレイするし、気になるメディアミックスが目に留まれば率先して見に行くようにしておりまする。アニメ『ジ・オリジン』よかったよね! やっぱりリザードン! 

 そして今年は、発表されたばかりの『サン』と『ムーン』が年末に控えているし、何より20周年という節目の年。年齢的には紛れもない“オトナ”になってしまったものの、今なお『ポケモン』は大好きな作品でござる。これからもずっと、飽きるまでは追いかけ続ける次第。

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【公式】『Pokémon GO』 初公開映像 - YouTube

 最新作もそうだけれど、なにげに楽しみにしているのが『Pokémon GO』。もともと『Ingress』が好きだったという事情もある。でもそれ以上に「リアル」をハックするゲームの世界設定として、『ポケモン』を持ち込んでくれたことが何よりも嬉しい。

 

 この、「現実世界を歩いてポケモンをゲットする」というコンセプトとムービーだけで、ワクワクが止まらないんすよ。

 思い出されるのは、小学生時代に友達としていた「ポケモンごっこ」的な遊び。自作の地図を作って、ここにはこのポケモンがいて、あっちにはこのポケモンがいて――と考えながら、外を走り回っていた記憶。「ゲーム」の世界をリアルに置き換え夢想するのは、子供の頃の特権だったようにも思います。

 

 ところがどっこい。それが今や、その夢想の半分ほどは現実になってしまうというすごさ。ゲームをあまりプレイしなくなった「大人」の自分でも、昔はそれに熱中し夢見ていた「元・子供」として、ワクワクさせられないはずがないのです。

 そうなってくれば、現在の「子供」も、当時「子供」だった現在の「大人」も関係なく、みんな等しく「ポケモン好き」として、あるいは「ゲーム好き」として同じ世界を共有できるわけで。「いい大人がゲームなんて……」ではなく、“いい大人”だって楽しめる共通の「遊び」として、「ゲーム」の存在があるような。


 世間的なイメージを持ってくるのならば、ポケモンは間違いなく「子供向け」の作品。にも関わらず、先ほどの『ジ・オリジン』や『Pokémon GO』を見ると、“かつて子供だった層”も、“現在の子供世代”と一緒に楽しめるようなコンテンツとして存在し続けているようにも感じる。

 だからこそ、どこかですっぱりと「卒業」しようと考えることはないし、生活環境の変化によってやめたとしても、またどこかのタイミングで帰ってくるんじゃないかという予感がある。実際に周囲の様子を見ていても、「最新作で数年ぶりにポケモンをプレイしたら、面白かった!」という話をたびたび耳にしますし。シリーズ物だけど、つまみ食いできる強みと魅力がある。

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貯まっていたヤマダ電機のポイントで購入。ピカ様。

 そんなこんなで、冒頭の公式ムービーを見ていたらいろいろと思い出が蘇ってきたので、3DSのバーチャルコンソール版を購入し、このような長文を書いてしまったのでございました。2016年の今、お店にこのパッケージが並んでいるのを見て、なんか笑ってしまった。

 それでは、ピカチュウ版は1998年発売なので……18、19年ぶりくらいになるのかしら。後ろをついてくるピカ様を引き連れて、カントー地方を旅してまいります。ゆめと ぼうけんと! ポケットモンスターの せかいへ! レッツゴー!

 

 

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