お酒は好き。だけど、一人で飲む機会はほとんど持たずにここまで来た。
何と言いますか。自分の中にある「お酒」という存在の立ち位置が、あまり「一人で飲む姿」と重ならないんですよ。学生時代も「飲み会」と言えば、ひとつのイメージとしてある大学生の「ウェーイwww」な席ではなく、気心の知れた仲間とゆったりまったり飲むようなものでした。
いわゆる“コール”も異文化圏の慣習だし、今でもmixi時代の友人と定期的にどんちき騒ぎをすることはあれど、それも(ぎりぎり)常識の範囲内のものかと。一番楽なのは、サシ飲みっすね。つまみをもぐもぐしつつ、互いに他愛のない話をするような、そんな時間が好きです。お酒を飲む時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ*1。
ゆえに、僕は「BAR」の類にもほとんど行ったことがない。
片手の指で数えられるほどでござる。あ、別に“BAR”なんてアルファベットで書いて、気取っているわけじゃないっすよ。カタカナで“バー”って書くよりは、字面として読みやすく感じたので。文字の形だけ見れば、しっくりくるのは“居酒屋”だべ。漢字かわいいよ漢字。
そんな自分が、珍しく一人でぶらっとお酒を飲みに行ってきました。たまたま近くで用事があり、前々から気になっていたお店を訪れる機会があったので。勢いって、だいじ。
スポンサーリンク
銀座の通りの裏の日本酒カクテルバー
ぶっちゃけ、「銀座」というだけで気後れしてしまいそうになるくらいにはアウェイ。ホームは池袋。
馴染みがあるようでない、自分にとっては微妙な土地である、銀座。その駅近く、地下に居を構える日本酒カクテルバーに、こっそりと乗り込んでまいりました。
東京圏で生活している人の中には、訪れたことのある人もいるのではないかしら。
1990年に日比谷の路地裏に開店し、現在は都内に25店舗ほどを有する、日比谷バー。その中でも比較的新しい、世界初の“日本酒カクテル”専門店として人気を集めているのが本店、『SAKE HALL HIBIYA BAR』でございます。
うっす、そうなんです。僕は日本酒が好きなのです。
基本的にはカクテルやサワーで「えー☆お酒とか、わっかんなーい☆」 と誤魔化している僕氏ですが、一番好きなのは日本酒です。“好き”と言いながら、種類や製法に関する知識はさっぱりですが。いつぞや、別の日本酒バーで飲んだ『冩樂』だけ、やたらと覚えてる。
そんな残念な“日本酒好き”ということもあり、あえて一人で乗り込むことで、バーテンさんからお話を聞けたら良いなー、と若干の期待をしつつ。ぼっちのおっさんは、銀座の地下へと潜っていったのでありました。
広い店内に、7つの蔵元をイメージした7つの個室
店内に入ると、程々に薄暗く、温かみのある照明と内装がまず目に入ります。物腰の柔らかなお兄さんに案内されて、お店奥のカウンター席へ。
自分の他には2組のカップルが談笑しており、テーブル席を見ると仕事帰りのおじさま方がちらほらと。落ち着いていて、良い感じ。
居酒屋チェーンのように「写真がどーん!」というわけでもないのに、妙に分厚いメニュー表。開いてみると、日本酒に関する豆知識や、お店で取り扱っているお酒の蔵元の紹介が詳しく記されておりました。おおう、ちょっとした読み物やで。
店内にある7つの個室も、その7つの蔵元をイメージした作りになっているそうで、ちょっとしたテーマパーク気分。取り扱っている日本酒は、以下の7つの蔵元から。
- 五橋(山口)
- 大山(山形)
- 一ノ蔵(宮城)
- 文楽(埼玉)
- 吉乃川(新潟)
- 春鹿(奈良)
- 司牡丹(高知)
4月からは2つの蔵元が入れ替わりとなるそうで、新しく『浦霞』(宮城)と『光武』(佐賀)の2種が仲間入りするそうな。お店の開店4周年に合わせてイベントもやるそうで、ちょっと気になる。
オリジナルのカクテルと、ワイングラスで楽しむ日本酒
まずは何を飲もうかなー。この前のぶらり四国旅で飲み損ねた『司牡丹』かなー。……とメニューを眺めていると、バーテンのお兄さんがお店の紹介と、おすすめを教えてくださいました。
ふむふむ、普通に日本酒を楽しむのもありだけど、せっかくだし“日本酒カクテル”を頼んでみよう、そうしよう。
と、頼んで出てきたのが、こちら。
メニューでは、「Kintaikyo sonic」と書かれておりました。日本三名橋にも数えられる、山口県の錦帯橋をモチーフとしたカクテルらしい。まだ酔っ払ってないはずなのに、ピントやら何やらがブレブレなのはご愛嬌。
ベースとなる日本酒の基酒は、山口県の『五橋』。そこに、天然水ソーダとトニック、オレンジフレーバーを加えた、オリジナルカクテルだそうです。
はたしてどないなもんか……と半信半疑で口に含んでみたら……あら、美味しい。まず鼻から入ってきたオレンジの香りの後に、炭酸のピリピリ感が来て、最後に日本酒『五橋』の旨味がガツン!と残る感じ。飲みやすく、お上品な味わいです。
ついでだし、何かつまみでも……と適当にガーリックポテトを頼んでみたら、思った以上に量が多くて怯んだ。写真だとわかりづらいですが、これ、かなり高さあります。
「お、思ったより、多いんですね……」と声が漏れたら、お兄さんも苦笑い。なるほど、コンセプトのある個室に、複数のパーティプランと、一人酒というよりは仲間内で楽しむお店なんですね。が、がんばって食うし。はらへってるし(震え声)。
まさかBARに来てポテトと戦いを繰り広げることになるとは思わず、ひとり悪戦苦闘している中、手が空いた頃合いを見計らって話しかけてくれるバーテンさん。
無理に話を長く続けようとせず、それでいてこちらの質問には答えてくれる、ちょうど良い距離感です。基礎知識から具体的な製法まで、いろいろとご教授くださいました。感謝。
その話の中で、「そういえば、週末に届いたばかり、搾りたての純米酒があるんですよー(チラッチラッ」と、持ってきてくださったのが、こちら。埼玉県の『文楽』。なんでも「袋吊り」と呼ばれる、まったく圧力をかけずに、滴る雫だけを集める方法で搾ったものだそうな*2。
お兄さんが「大吟醸に近い吟醸」と話していたように、非常に香りが華やか。香りも含めて、何と言うか、しっかりと“通る”ような味わいと申しましょうか。変に残るような感じがなく、自然と舌に乗ってごくごくいけてしまいそうな後味。逆に怖い。
そういえば、“ワイングラスで日本酒”は既に飲んだことがありました。学生時代に、銀座で何かその手のイベントに参加して、試したような記憶が。鼻があまり良くない自分にとっては、お酒の香りを感じやすくて良い感じ。……あれ?わし、意外と銀座来てるの?
結局、1時間くらいまったりと過ごした後に退店。
あとには、ポテトに敗れ去りながらも満足しているおっさんと、ニンニク臭だけが残った。次はぜひ、友人と一緒に訪れたいところでございます。メニュー表にあった、バナナ系の日本酒カクテルを結局試せなかったので。気になる。
店舗情報・予約・クーポン
- 予約する:【 食べログ 】【 ぐるなび 】【 ホットペッパー 】※各サイトクーポン有
- 公式サイト:SAKE HALL HIBIYA BAR | 日比谷Bar
- 営業時間:17:00~23:30
- 席数:111席
- アクセス:地下鉄『銀座』駅 徒歩1分
- 姉妹店:日比谷Bar 有楽町店 | 日比谷Bar 新宿店
- 周辺のお店:ぐるなび 銀座×ダイニングバー