Amazon.co.jp: Kindleアーカイブ: Kindleストア
Amazon.co.jpは29日、国立国会図書館が「近代デジタルライブラリー」で公開しているパブリックドメインの古書を、Kindle版として販売する「Kindleアーカイブ」を開始した。
Kindleアーカイブでは、国会図書館が近代デジタルライブラリーとして公開している、著作権保護期間が満了したタイトルの画像データをKindle本として最適化し、販売する。
いつの間にやら、こんなサービスが始まっていました。国立国会図書館が所蔵し、ウェブ上で公開している古書をKindleストアで配信する、Kindleアーカイブ。
そのラインナップを見てみると、作家としては、夏目漱石、宮沢賢治、芥川龍之介、福沢諭吉、竹久夢二、柳田国男、清少納言といったそうそうたる面々。──出版が400年以上前の作品を、21世紀に電子版として読めるってすごくね?
どないなもんか気になったので、試しに購入して読んでみました。
Kindleアーカイブと、国会図書館の近代デジタルライブラリーって?
過去の名著、長年保存されてきた古書が、電子書籍で蘇る! ──だけど、そもそもそのデータ元となった「近代デジタルライブラリー」ってなんぞ?という話。
近代デジタルライブラリーは、当館が所蔵する明治期以降に刊行された図書・雑誌のデジタル化資料をインターネットでご覧いただけるサービスです。
遠隔サービスを拡充して利用者の利便性を向上させると共に、原資料をより良い状態で保存することを目的としています。現在、近代デジタルライブラリーに収録されている主な資料は次のとおりです。
・【図書】
図書 約350,000点
・【雑誌】
英語版官報 約2,000点
医学中央雑誌 約3,000点
科学技術文献速報 約3,000点
存在は知っていたのですが、そういえば利用したことはなかったです。国会図書館へはたまに行くけど、ウェブ上の各種サービスは利用してなかったでござる。MOTTAINAI。
こんな感じで閲覧可能。もちろん、無料で。つまり、Kindleアーカイブで販売されている作品は「近代デジタルライブラリー」のサイトにアクセスすれば無料で読めるものでもあるのです。
……ってことは、別にKindleアーカイブいらなくね?って話なんだけど、その辺は読者の好みかなー、と。専用端末で読んだ方が読みやすい人もいるだろうし、そうして常に自分の手元にデータを置いておきたい人もいるでしょう。現状、販売作品は一律100円で統一されてるっぽいので、割高というほどでもなく。
ゆえに販売目的というよりは、古書をより多くの人に読んでもらうための間口を広げるような流れを汲んだサービスなのではないかしら。僕の勝手な想像だけど。
1917年(大正6年)出版の『羅生門』をKindleで読む
というわけで、実際に買って、読んでみた。購入方法は他のKindle本と変わりなく、ワンクリックでポチって端末に転送するだけ。簡単でしょ?
購入したのは、芥川龍之介『羅生門』。
1917年(大正6年)に阿蘭陀書房から出版された初版本のデジタル化らしく、これを紙の本として買おうとすれば、数十万でやり取りされるとのこと*1。それが100円ですよ、奥さん!データだけど!
iPadで開いてみました、『羅生門』。
なぜこの選択なのかと言えば、商品一覧ページで表紙が目に着いたので。
ページ裏の文字が写っちゃってる辺り、それっぽくてたまらんですね!
「本をそのままスキャンした上で、最適化した」という意味で。
国語の教科書でおなじみの本作ですが、青空文庫では「旧字旧仮名」版と「新字新仮名」版が読めますね。教科書版に慣れ親しんできた身としては、旧字版は新鮮に映る。
ちゃんと“Sentimentalisme”もそのまま記されています。当たり前だけど。原本だし。
目次もなしに始まったので「あれっ?」と思っていたら、普通に次の短編が始まってた。確か、高校入試か何かで読んだ覚えがある、『鼻』。
芥川先生のあとがきがそのまま、手元で読めるという感動。
あ、目次は巻末収録のパターンなんですね。
大正6年当時の、新刊案内。
森鴎外に北原白秋に……なんじゃこりゃ状態。
価格表示に「銭」の字がある辺り、時代を感じる。
奥付。
“大正六年五月十八日印刷”、“大正六年五月二十三日發行”。
『東海道五十三次図絵』も読んでみた
せっかくなのでもう一冊、一番人気の作品も買ってみた。
Amazon.co.jp: 東海道五十三次図絵 電子書籍: 安藤広重: Kindleストア
“安藤広重(イラスト)”が、どことなくシュール。
表紙。
古書市でたまにこんなの見る。
思っていた以上に色鮮やかでびっくりした。
浮世絵に関する知識は皆無だけど、美術展なんかで見るのは好き。
最後のページ。
Amazonさんからの注意書きは、『羅生門』にも同様の内容が書かれていました。何も知らずにうっかり購入して、「なんだこのボロ本は!?」ってクレームが来たら大変ですもんね。……来るのかしら?
数千冊の名著を原書で!
そんなこんなでKindleアーカイブを利用してみましたが、ニッチな分野とはいえ、これはかなり良質なサービスなのではないかと。
過去の文学作品の状態の良い初版本なんて普通は読めるものじゃないし、それをブラウザ上でなくKindle端末で読むことができるのはありがたい。
無料のものを有料で、というのは意見の分かれそうなところですが、操作性も良く結構な高画質で参照できるKindleアプリでいつでも取り出して読める、ということを鑑みれば、まあ100円くらいなら……という人も少なくないんじゃないかしら。
興味のある人は、試しに自分の好きな作品をポチってみるのもいいかもです。s015年11月27日現在、6,024冊のパブリックドメインの古書が購入可能な模様。