めぐりめぐって、行き着く果ては。


 今日も絶賛迷走中。ヒモを夢見るスーパー無職です。こんにちは。

 

 「迷走」というか何というか、会社を退職して無職となった時点で、僕は道を外れてしまっているわけで。

 浪人せず、大学へ入り、留年せず、4年間で卒業して、新卒入社。そこまでは、同年代の中では最も太いレールの上を走ってきた格好。言い換えれば、全く脇に逸れず、本流を流され続けてきた。

 で、「あーもう、やーめた」と、初めて道をはみ出してみて、これからどうすっぺかーと、ほげーっとしている現状。道の端で足踏みをしているのか、座り込んでいるのか、倒れこんでピクリとも動かないのか。へんじがない ただのしかばねのようだ。

 

 来た道は分かる。行く道は分からない。そもそも、道なんてあるのん?

 

「すべての人生が、すばらしい。」

 年明けに、リクルートのCMが話題になった。ざっくり言えば、

「人生は、マラソンだ(キリッ)」
 →「え?何言ってんの?バカなの?(反論)」
 →「ゴールは人間の数だけあるんだ!(悟)」
 →「すべての人生が、すばらしい(確信)」
 →「だれだ、人生をマラソンなんて言ったのは!(おこ)」

 こんな感じ。

 

 Twitterでの反応を見ていると、「感動した!」「全米が泣いた」「僕も自分の道を行くよ!」という意見が大半を占めていた……なんてことはなく。

 いや、動画にはそんなコメントも結構ついていましたが、僕の観測範囲では大半の人が「うわぁ……」とドン引きしておられたので。まったくもう!冷めた人が多くて嫌になっちゃいますね!え?僕?そりゃあ感動しましたよ!思わず「うわぁ……」って声に出ちゃうくらい。うわぁ……。

 

 動画に抱く感想は人それぞれだと思うけれど、自分の周囲、主に同世代の人は、似たような感情を抱いた人が多いんじゃないかしら。

 小学生の頃にSMAPの「世界に一つだけの花」が大流行して、呪文のように「人それぞれ人それぞれ人それぞれ」「No.1よりOnly One、No.1よりOnly One、No.1よりOnly Oneと大人に言われて育ってきた感じ。「個性」ってなんぞや。

 その一方では、成績だの優劣だの比較され、ゲームや遊びのような「無駄」は良いように思われず、子供心ながら「あるぇー?」なんて違和感を覚えておりましたが。どっちやねん。

 

 それと、CMに関しては、言うまでもなく「リクルート」の宣伝であること。他の方にも散々突っ込まれてましたが、新卒一括採用というレールを積極的に、より良くしようと敷いている、中心的企業のひとつ。

 僕らが就活をするときも、同世代の大半の人がお世話になりました。就活サイトに登録して、言われるがままに何十社とエントリーし、自己分析や適性テストをこなし、その実績を信じて、というか周りに流されて、就職活動を続けて参りました。

 

 で、いざ社会に出てみれば、他に選択肢がいくらでもあったことに気付かされ、新卒一括採用の問題点まで語られているのを見て、これまた「あるぇー?」と。特に就活に力を入れていた人や、想定外の企業に入社してしまった人なんかだと、余計に「あるぇー?」となっているんじゃないかしら。

 そしたら、そんな僕らのヒーロー、リクルートさんが、「決められた道を走らなくてもいいんだ!」的なことを仰っておられるので、何とも言えぬ気持ちになるのです。いや、そりゃあまあ、思考停止してレールに乗っかったのも、自分自身の選択なんですが。解せぬ。

 

「案内」に導かれ、乗ったレールを飛び降りる

 ――と、まるでリクルート批判なことを書きましたが、僕自身は「新卒一括採用」という制度、それ自体には賛成です。

 

 特別なスキルも、人と差別化できる経験も持っていない、ただの文系大学出身者からすれば、それに乗っからないと今以上に厳しい就職活動が待っていそうなので。ただし、無駄に大量エントリーを煽るやり方や、他の選択肢を隠すような見せ方は疑問ですが。商売だもんね。

 そもそも、先ほどのCMの表現を借りるならば、未来へ続く「道」なんてものはないんじゃないかと思う。自分がこれまでに積んできた経験は、歩いてきた道、「足跡」として後ろに残っているかもしれないけれど、向かう先にしっかりと舗装された「道」は見えない。

 

 「道」はないけれど、「案内」はある。
 前を見ると、いろいろな人が看板を持って突っ立っているんですよ。

 

 リクルートさんやマイナビさんは「新卒一括採用」という看板を持って、通りがかる学生をある方向へ案内している。就活生には、一番人気の看板。そちらへ向かうと、何千という企業が別々に看板を持っていて、それぞれが新卒生を自分の会社へ案内している。途中で祈られるかもしれないけど。

 他では、大学の就職課が「こっちも使ってねー」と勧めていたり、ハローワークが「こんなんありまっせ」と棒立ちで立っていたり。そして、どうしようか迷って立ち止まっていると、怪しげな就活塾の人たちに手を引かれてどこかへ連れて行かれかねない。歌舞伎町のキャッチみたいで怖い。

 

 看板に従って進んだ先には、超絶ホワイト企業、白い明日が待ってるぜ!なんてこともあるかもしれないし、気付いたら沼地に足を踏み入れていて、ブラック企業が沼底から手招きしているかもしれない。先がどうなっているかは、進んでみないと分からない。

 案内に導かれるまま、とある企業に入社する。そこでようやっと、「道」らしきものがぼんやりと浮かび上がってくる。その会社で働き、歩んでいくことになるレール。

 実績を上げ、認められれば、道は幾重にも枝分かれするようになる。上を目指すか、専門職を極めるか。評価されなければ、ずっとぼんやりと道を歩いていくだけで、何も変わらない。失敗すれば、見えざる手によって軌道修正させられる。行き着く先は、霧がかっていて、見えない。

 

 そんな状態に嫌気がさした人、あるいは肉体的・精神的に耐え切れなくなった人が、レールを飛び降り、自らコースアウトする選択をすることになる。

 その後の準備、転職先が決まっているのなら、別のレールに飛び移るだけでいいけれど、先が不確かな状態だと、文字通り「飛び降りる」ような感覚。着地した先は、荒れ果てた荒野か、鬱蒼とした密林か、人里離れた山奥か。着地に失敗して、「1回休み」になる人だっているのでは。

 

 一度、敷かれたレールから飛び降りてしまえば、もう「道」は見えない。

 

道なき道を、ぐーるぐる

 そうなってしまえば、あとはもう手探りで進むしかないのです。荒野で目を凝らしてみれば、転職サイトやアルバイトの案内看板も目に入るし、パリっと決めたスーツに身を固め、常に後ろから付いてくる“ハローワーク”なんて存在は、嫌でも視界に映る。

 お金をくれる場合もあるので、ありがたいお助けキャラではあるのですが。そうだ、ティンカー・ベルだと思うことにしよう。たまに魔法をかけてくれるサポートキャラ。魔法の名前は“シツギョーホケン”

 

 とは言え、一度それらの「案内」に対して猜疑心を抱いてしまった身としては、しばらくは迷走していたい気分なのですよ。山をかき分け、野をかき分け、ネットの海に潜り、道なき道を、ぶらぶらと。

 同じ所をぐるぐる回っているだけかもしれないし、実際そんな気がしなくもない。だけど、周回プレイによって得る新発見だってあるし、無為に動きまわってアイテムを拾いまくっているようで、それらが後で役に立つことだってあるかもしれない。

 

 不確定要素。希望的観測。考えているようで何も考えていない堂々巡り。

 

 そうだとしても、今現在の迷走期間が無駄にならなければいいな、と。この記録がたとえ黒歴史になるとしても、そんなこともあったなー、考えたなーと読み返せればいい。

 そんなことを考えて……いや、考えてなかったかな?まあこんな適当、曖昧具合で名付けられたのが、このブログ、「ぐるりみち。」でした。

 

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 僕の屍は、はてな村の入り口に埋めてください。
 夜は空にスターが輝いて、きれ…いだ…ぜ……。

 

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