入社1年目の夏、会社の先輩に連れられて、「街コン」に参加したときの話です。
終わってみれば、楽しかった。けれど同時に、「もう生半可な気持ちで参加してはいけない」と心に刻みました。
アレにノリで参加してはいけない。
──狩られる。
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先輩方は街コンがお好き
ある日のこと。
仕事を終えて会社の外に出てみると、先輩たちがシモの話をしていた。そこは男だらけの体育会系の職場。やはりそっち系の話は非常に盛り上がる。
パチンコやテレビの話には入れない僕だけれど、そっち系ならばっちこーいである。これでも男子校出身。ゲスい話はそこそこ好きだ。
……自身の経験は少ないけれど。
そのなかで「街コン」の話題になった。
先輩の1人が街コン好きで、かなり頻繁に参加しているらしい。時には、ほぼ毎週末行くこともあるそうな。すげえ。
聞けば、そんな彼に連れられて、他の先輩たちも一緒に行くことがあるそう。楽しそうでいいなー。
「街コン」と聞くと少しチャラい系の印象もあったけれど、噂には聞いて楽しそうだなーとは思っていた。
大学に4年間いながら一度も合コンの参加経験のない残念男としては、ある種の憧れもあった。
そんなことをぽけーっと考えていると、先輩に「行くか?」と誘われた。腐っても社会人、先輩の誘いは断れぬ。
それ以前に、まだピッチピチの新入社員。モチベーション高く「何事も経験!」を信条にしていた僕は、その場で「はいっ!!!!」と無駄に元気な返事で応えたのだった。
いざいざ、街コンへ
僕が参加した街コンは、同性2人1組のペア参加で複数店舗を自由に行き来するという、スタンダードな形式のものだった。
年齢制限は失念してしまったけれど……たしか、35歳未満だったような気がする。
まずは指定された店舗で受付をし、男女のペアごとに着席。開始の合図と共に乾杯、はじめの30分はその店内のみで交流し、好きなお店に繰り出して行くという流れだった。
街コン当日。
電車の遅延によって、僕らは遅刻した。
なんという幸先の悪さ。なんとか少しの遅れで店に到着して受付を済ませたはいいものの、女性ペアのキャンセルがあったらしく、先輩方と僕を合わせた4人で同じテーブルに座ることに。
……って、ただの会社の飲み会じゃないですかこれー!
周囲を見れば、どこのテーブルも既に良い雰囲気。
「おいくつですかー?」「どちらから来られたんですかー?」「ご趣味はー?」などなど。思わず、「ちくしょう! 合コンか!」と心の中でツッコんでしまった……けれど、そういえば合コンだった。
「これはヤバい」と焦る先輩方は、作戦会議に突入。移動時間になったら薄暗くておしゃれっぽい店舗に速攻で乗り込み、女性ペアが来るのを待ち受けることにするようだ。
僕は初めてなので、すべて先輩の心のままに。……うむ、ビールがうまい。
ここからが本番だ
時間になるやいなや、先輩方と共にそそくさと移動。
乗り込んだお店は、店内の至るところからシャレオツな雰囲気を醸し出している居酒屋だった。バーではない。
こういうの、なんて言うんだっけ。エキセントリック少年……じゃなくて、エキゾチックジャパ……でもなくて、ええと。まあいいや。
一行は、店の最奥のテーブルに落ち着いた。
テーブルの一辺に4人。僕ら男ペア2組が、女性ペア2組を待ち受ける格好である。どんな人が来るかなー。黒髪ロングのかわいいおねーさんがいいなー。うふふふふ。
程なくして現れる、2匹のモンスt…じゃなかった、2人の女性。20代後半くらいだろうか。少しケバい印象を受けるけれど、普通の大人のおねーさん、という印象。
「どうもはじめましてー☆」とハイトーンで言いながら着席。僕と先輩も「はじめましてー☆」とトーンを上げて応対。
──さあ、戦闘開始だ。どきどき。
わけがわからないよ!
まずは、お互いに軽く自己紹介。
「僕ら、会社の先輩後輩なんですよー☆」と話せば、彼女らも「へー! 私たちもそうなんですよー☆ うふふふふー☆」とのこと。
「お仕事はどんなー?」「こういうことやってるんですー☆」「大変そうですねー!」「いえいえーそちらもおきついでしょー☆」などと、毒にも薬にもならない会話が続く。……っていうか、なんだこれ。会話に降り注ぐお星さま。流星群か。
しばらくして、年齢の話題に。
──というやり取りがあったものの、しばらくすれば普通の雑談に元通り。
僕はわけがわからずびくびくしながらも、先輩たちとおねーさんの会話に参加しておりました。
そして、おねーさんAがお手洗いに行こうと立ち上がったとき、先輩からこっそりと「(移動しよう)」の合図。「じゃあ僕たち、食べ物取ってきますねー☆」と話す先輩と共に、店の外へと退散したのでありました。
「にげる」コマンドですね。わかります。
まちこん、こわいです
先輩の仰ることによれば、彼女らはドン引きしたのは「本気で来てる」からだろう、との話でした。
いわゆるガチ勢。食うか食われるかの世界に、若くてフレッシュな老け顔男子がいることが気に食わなかったんだろう──と。
30代に差し掛かった街コンの参加者たちの多くは、男女関係なく、あらゆる意味で「本気で」来ているそうです。
その街コンの年齢層が高かったのかどうかはわかりませんが、そこで会った彼女らにとっての「異端」だった僕は、ドン引きされてしまったらしい。うへえ。
──甘かった。
単なる「出会いの場」であり、「いろいな人と飲める場」だと軽く考えていた、僕が悪かった。
彼女らにとっては、街コンこそが闘いの場。将来を決定づける、運命の分岐点だったのだ。
そんな一世一代の勝負どころに軽い気持ちで足を踏み入れてしまったがゆえに、僕は痛い目を見ることになってしまったのだろう。
街コンは、結婚を前提とした出会いを探す場所。今となって考えてみれば、若いうちにそのような学びを得ることができたのは、良い経験だったようにも思います。
その後の話
街コン開始から1時間も経たずして、ある種のトラウマを持ってしまった僕。
しかしその後、後半に一緒になったペアが、歳の近いおねーさんたちだった。確か2~3歳上くらいだったはず。嘘をついていなければ。
「彼氏と別れたばっかで、出会いを求めて来た」らしい彼女ら。控えめに言って、かわいい。先輩も含めた僕らと意気投合し、街コンの閉幕後、二次会として一緒に飲みに行くことになった。
なんやかんやと、結構遅くまで飲んで騒いだ。
「構ってもらう」のは割と得意な僕。「後輩みたいでかわいいー☆」と、かわいがってもらった。……あらやだ、街コン、楽しいじゃない(ちょろい)。
先輩2人が酔い潰れたころ、「そろそろ終電が」とのことなので、もう1人の先輩とお店の出口までお見送り。そこそこ気に入られたのか、「携帯教えて!」と言うので、口頭で伝える。メモってもらい、その場でお別れ。
おつかれさまー。ばいばーい。
ところが、先輩と2人で「かわいい子でしたねー」とほっこりしながら部屋に戻ったところで──気付いた。
「……あれ? そういえば、代金、もらってなくね?」
そうなのだ。考えてみれば、先輩が酔い潰れて、トイレに行ったタイミングで、彼女らはそそくさと荷物をまとめて準備をしていた。
「やられたああああああ」と叫ぶ先輩。わぁい。
やっぱり、まちこんは、こわい。まあチェーン店だし、2人分くらいいっかーとも思わなくはないけれど。
ううむ、女子ってすごい。たくましい。僕も彼女らくらいに強くなりたい。ドン引きされても泣かないために。
──以上が、僕の初めての街コンの体験談となります。
とりあえず、次の機会があるとしたら20代もしくはオタク限定の街コンに参加しようと心に誓いました。
大手ではあるけれど、地域別・年代別で選べる【 街コンジャパン 】が、なんだかんだで一番安定しているという結論に至りました。年上おねーさんはこわい。
僕のように “ドン引き” されないよう、特に若い方は要注意! そのうえで、「街コンは、結婚を前提としたお付き合いができる人を探す場所である」という認識を忘れずに。
どうか、あなたに素敵な出会いがありますように……。