いまだに仮想通貨がよくわからんので読んでみた『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』


 この1年あまりで、あっという間に「仮想通貨」という言葉が一般化したように感じる今日このごろ。新聞やニュースでも耳にするのはもちろん、なんたって、自分の親世代が口にするくらいなのだから。最近は特に、CMを流しまくっているbitFlyerの影響が大きそう。

 僕はと言えば、「ぶっちゃけよくわからん!」とほとんどスルーしていた格好。日頃から、仮想通貨に関する話題はTwitterやニュースサイトで目にしてはいたものの、あまり興味を持たずに流し読みしていたひとりです。

 そもそもお金の動きにあまり関心がないので、正直なところ、仮想通貨以前に一般常識レベルの知識があるかどうかも怪しい。為替やら株やらの仕組みもなんとなくしか知らず、つい最近まで「投資」と「投機」の違いも認識していなかったレベルっす。……我ながらヤバいと思う。

 そんなこともあり、せめて最低限の知識は身につけておこう――と考え読んだのが、『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』です。

 最初は「ネットで調べればいっかー」とも思ったのだけれど、自分がまったく知らない分野について、ネット上の情報だけに頼るのは怖い部分もあり。やっぱりまずはまとまった読み物を、かつ個人出版の電子書籍でない専門家の本を読もうと考え、本書を手に取ってみた感じです。

 

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門外漢にも易しい、ミクロからマクロへ向かう入門書

目次
  • プロローグ:今日からはじめるビットコイン入門
  • Part1:ビットコインって何なの?
  • Part2:ビットコインの仕組みはどうなっているの?
  • Part3:ビットコインの安全性や法整備はどうなっているの?
  • Part4:仮想通貨とブロックチェーンはどこまで広がるの?
  • Part5:フィンテックが実現する未来とは?

 

 本書は全5章構成。この本を手に取った人がまず知りたいだろう「ビットコインとは何ぞや?」の基礎から始まり、仮想通貨を形づくるブロックチェーンの説明へ

 続いて、安全性の問題と法整備の現状を確認しつつ、主だった9種類の仮想通貨の特徴を紹介したうえで、ブロックチェーンとフィンテック界隈の概要・展望をまとめています。内から外へ順を追って説明しているため、自分のような門外漢にも易しい構成。ありがたや。

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大塚雄介『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』より

 要点を掻い摘んでまとめると、ビットコインは、

  • ブロックチェーンによって生まれた「仮想通貨」であり、
  • 電子データで表される「デジタル通貨」であり、
  • 高度な暗号セキュリティに守られた「暗号通貨」であり、
  • 特定の国に属さない「国際通貨」であり、
  • 分散型ネットワークに支えられた「民主的な通貨」でもある

とのこと。それぞれの特徴を紐解いて説明しつつ、

  • クレジットカードやポイントカードとの違いは?
  • ビットコインを使うメリットは?
  • ビットコインへの信用はどこから生まれるの?

といった疑問にも答えていく流れになっています。

 ただ単に基礎知識・情報を書き連ねていくのではなく、既存のシステムや身近な事例を挙げつつ説明しているため、理解に苦しむことなくサクサク読めるのが大きな魅力。それこそ、一般常識すらままならない自分でもスイスイ読めるくらいだったので。

 他方で、ブロックチェーンの仕組みやフィンテックの背景については、純粋に興味深く読めました。今いちピンときていなかった “フィンテック” の考え方にも得心が行き、不勉強ゆえに一部から感じていた胡散臭いイメージも払拭された格好。

 同分野への興味を惹かれるという点でも、「読んで良かった」1冊となりました。

 

本書を入門書として、知識の幅を広げたい

 しかしその一方で、「本書の話だけを鵜呑みにするのもどうなんだろう……」と思う部分があったのも事実。はっきりと懐疑心を抱くほどではないものの、ほかの本も読んだうえで判断したいとは感じました。

 というのも、本書の筆者は、仮想通貨交換取引所のCOO。本全体としては中立的に書かれているように読めますが、自然とバイアスがかかっていることも否めないので。実際、本文では仮想通貨の問題やデメリットを示しつつも、メリットと比べて軽く言及する程度に留めている印象を受けました。

 加えて、早くも本書の情報が古くなりつつあるらしい……という現状も。2017年初頭発売の比較的新しい本ではあるものの、本書のレビューをいくつか読むに、仮想通貨市場の変化が想像以上に激しく、すでに事情が変わっている部分もあるのだとか。

 もちろん、「ビットコインの成り立ちと2017年までの変遷」を知るには優れた入門書でしょうし、最初の1冊におすすめかと。ただ、「最新の現状」を知るには不足している部分もあるように(素人ながら)感じたので、もう何冊か新刊を読んでみようかと思います。

 あとはやっぱり、実際に自分で使ってみるのが一番なのかな……。

 

 

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