ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

初めて泣いたスマホアプリ『Deemo』のストーリーと演出の力

f:id:ornith:20160515181308j:plain
DEEMO | Never Left Without Saying Goodbye

 2014年に「おもしろいぞー!」という記事を書いた、音楽ゲーム『Deemo』

 当時はかなりハマっていたものの、生活の変化やら何やらでプレイしなくなり、はや1年半。何度かのアップデートを経て、いつの間にかメインとなるストーリーが完結したと聞いたのが、数ヶ月前のことでした。

 一時期とはいえその世界観の虜となった身として、これはぜひ最後までプレイせねばなるめえと思い、一度はデータの消えたiPadに再インストール。ちょこちょこプレイしつつ、ピアノの音色を奏でる楽しさに「やっぱりこのゲーム、好きだわー」と再認識していたら、不意打ちを食らった。

 ――ストーリー性の高いRPGだとか、泣きゲーと評判のサウンドノベルだとか、そういった作品ならばまだわかるのです。もともと涙もろい性格であるため、その手のゲームで泣かされた経験は何度かありましたゆえ。

 ところがどっこい。まさかRPGでも読み物ゲーでもない、てっきり “おまけ” 程度だと思っていた「音楽ゲーム」のストーリーに泣かされるとは思わなんだ。いや、物語だけじゃないですね。それこそ、良い意味で「音楽」に泣かされた印象も強い。本当に、素敵なゲームでした。

 

鍵盤を叩くようにピアノ曲を奏でられる音楽ゲーム

Deemo
Deemo
¥240
posted with アプリーチ

 『Deemo』は、台湾発のスマートフォン向け音楽ゲーム。2013年末の配信開始から1ヶ月弱で20万ダウンロードを記録し、翌年10月時点では700万ダウンロードまで増加。同社が2012年にリリースした『Cytus』と並んで、世界的に人気な音ゲーアプリのひとつに数えられています。

 ゲーム中でプレイすることのできる楽曲は、主に現地・台湾アーティストのオリジナル曲。他方では日本からも複数のアーティストが楽曲を提供しており、日本語歌詞のボーカル曲もちらほら。良い意味で海外産のゲームと思えないほどに、プレイしていて違和感がないんですよね。

 具体的な内容に関しては、実際のプレイ動画を見ていただくのが一番わかりやすいかと。上記の公式動画では、iPad miniとiPhone5でのゲームプレイの様子を見ることができます。ピアノっぽく複数の指で “弾く” もよし、両手の親指や人差し指オンリーでポチポチするもよし。

f:id:ornith:20160515181258j:plain

 『Deemo』が他の音楽ゲームと明確に異なる点としては、まずそれが「ピアノ」に注力した作品になっていること。 画面上部から流れてくる、鍵盤をモチーフにした白黒+黄色のノート(横棒)をタップ&スライドすることで、直感的に“演奏”ができるシステムとなっています。

 加えて、他の音楽ゲームでしばしば見られる「ライフゲージ」に相当するものが存在しないため、どれだけミスろうが1曲を最後までプレイできるというのも、個人的には嬉しい部分。いきなりハードに挑戦して、アホみたいな音の奔流に翻弄されてアワアワするもOK。たのしい(白目)

f:id:ornith:20160515191943j:plain
「死ぬがよい」的なアレ。オルゴールの出っ張りを平面にして眺めている気分。

 一言でまとめれば、「初心者に対するハードルは低く、かつ上級者は発狂するまで楽しむことのできる、幅広いプレイヤー層を受け入れている懐の深いゲームですよ☆」という感じ。

 もちろん、音ゲーとしての収録楽曲も、どれもこれもすんばらしいんですよ……! そもそも自分がピアノ曲好きという理由もあるかもしれないけれど、プレイすれば楽しく、作業用BGMとしても耳に気持ちのいい、魅力的な音楽ばかり。必然、サントラも欲しくなりまっせ。

 

ほとんどイラストだけで紡がれる、不思議なストーリー

 そして、当初はてっきり “おまけ” 要素かと思っていたストーリー部分。最後まで進めてみると、これが思いのほか感動できる内容でびっくりしたのです。どのくらい驚いたかって……そりゃあ、目から謎の液体がちょちょ切れるくらい。

f:id:ornith:20160515193538j:plain
CD『Deemo』Song Collection ブックレットより

 メインとなるのは、閉じられた空間で一人、ピアノを弾いていた影のような黒い人型・Deemoと、そこにある日、突如として空から降ってきた記憶喪失の少女。そしてもう一人、仮面の女性。

 ゲーム上では、楽曲をプレイすればするほどにメニュー画面の「樹」が大きく育つようになっており、その成長の度合いによって新しい楽曲が解禁&ストーリーが進行していくシステムになっています。プレイすればするほど樹は育ち、それに従って徐々に謎が明らかに――。

f:id:ornith:20160515181306j:plain

f:id:ornith:20160515181259j:plain

 『Deemo』の世界観は、ゲーム開始当初は全体的に「よくわからん」としか言い様のない、摩訶不思議でふわふわした印象の強いもの。ですが、楽曲を重ね、樹を育て、行ける場所が増えれば増えるほど、鍵となる要素が増えていくのがおもしろいんですよね。まるで絵本のような。

 さらに、後になって思い返してみると「これ、完全に伏線じゃないですかー!」という気付きがいくつも見つかり、決して雰囲気だけで作ったシナリオではないらしいこともわかる。無関係のはずの「楽曲」にも意図するところがあるように思われ、あれこれ想像するのが楽しい。

楽曲のスコアをSNS共有すると、自動で挿入されるコメントにも意味が……?

 で、ラストっすよ。エピローグっすよ。

 正直なところ、結末自体は「あー、そうくるかー」という感じで、驚きはあったものの、驚天動地の想定外という話ではなかったのです。いや、「まさか音ゲーでこういう展開がある」とはまったく予想していなかったため、その点ではむっちゃ驚いたし、不意打ちだったのですが。

 それより反則だったのが、ゲームの特徴を最大限に活かした「演出」の力。最後の一連の流れ、結末に至るまでの過程が自然ながら独特な形になっており、これまでの「謎」が一気に氷解しつつ、その答えが驚きに満ちたものであるという感情の振れ幅もあって、気づけば泣いていた格好。

 さらに、エンディング後に明らかになる曲名とそのコンポーザーさんを見て、二重にも三重にも驚いた。それまで影も形もなかったのに、まさか楽曲提供していたなんて……。そりゃあサントラも買わざるを得ない。うむ。既存の2枚の他にも、未収録曲をまとめたVol.3は発売しないのかしらー?

 

『Deemo』で遊べるのはこんな曲

 『Deemo』に収録されている曲は数多く、それゆえに人気もそこそこ分散しているようなイメージ。ただ、そのなかでも最初から解禁されている曲として特に支持を集めている1曲として、「Wings of piano」が挙げられます。

f:id:ornith:20160515181303j:plain

 作曲は、台湾ではテレビドラマの劇伴なども担当する人気ピアニスト・V.Kさん。彼の楽曲には個人的にもすっかり惚れ込んでしまい、iTunes Storeでアルバムを購入してしまうほど。ゲーム中でも追加購入できるプレイリストがあるので、そちらもポチポチっと。

Wings of Piano

Wings of Piano

  • V.K
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 また、ボーカル曲としては、国をまたいで活動している音楽ユニット・Miliの「Nine Point Eight」を好きな曲として最初に挙げる人も多い印象。――そうそう、さっきの「Wings of piano」もそうですが、このゲーム、曲選択画面のイラストがまた、すっげえ良いんですよね……。

f:id:ornith:20160515181302j:plain

 以下の公式YouTube動画が100万再生を突破しているほか、ファンによる二次創作ムービーも多いことから、その人気の高さが窺える1曲。爽やかで透き通るような曲調とは引き換えに、歌詞ががががが。 “And take a leap to Hell” で察する感じ。ゾクッときた。

 同じくMiliの楽曲、かつ日本語曲として人気なのが、「YUBIKIRI-GENMAN」。この曲に関しては、前情報なくゲームをプレイしていたところ、突如として現れた日本語ボーカルの曲という意味でビビったという、第一印象の影響も大きいかもしれないけれど。

f:id:ornith:20160515181301j:plain

 このイラストを初めて見て、なんだかわからないけれど、本作品が無性に好きになった気がする。そのくらい、素敵な一枚絵だと思う。曲自体はピアノの伴奏をメインに、控えめな弦楽器と、きれいな歌声を乗せただけの形。音ゲーの楽曲としては静かすぎるけれど、それがいい。

 ……大丈夫! もちろん発狂ピアノもありますよ! ――ということで、序盤に出会う高難易度曲のひとつがこちら、「Entrance」。先ほどもちらっと話に出た音ゲー『Cytus』に登場した同一曲のアレンジ版であり、そちらでは実質的なラスボス曲。そりゃ難しくて当然。

f:id:ornith:20160515193543j:plain

 「玄関」を意味する曲名の癖して、初見殺しな難易度であることから、プレイヤー諸氏からは「門前払い」などと揶揄されるほど愛されている楽曲。というかこの絵のDeemo、完全に殺しに来てる目つきしてるよ。慣れてくると楽しいけど(ただし休憩地帯のみ)。

Entrance (Deemo Version)

Entrance (Deemo Version)

  • ICE
  • サウンドトラック
  • provided courtesy of iTunes

 


 

 そんなこんなで、2度目となる『Deemo』紹介記事でした。本作は基本無料+ゲーム内課金のアプリとなっていますが、無料でも50曲近くプレイすることが可能。あとは、お好み次第で追加パックを購入する形で。auスマートパス会員は、複数の有料パックも無料プレイできるそうなので、ぜひに!

 あと、この記事を書くにあたって情報をまとめている最中に知ったのですが、どうやらAmazonプライム会員はサウンドトラックが聴き放題らしいじゃないですか! 実にけしからんので、とりあえず会員の方は、良かったら曲だけでも聴いてみてくださいな。『Deemo』はいいぞ。

 

 

関連記事