ぐるりみち。

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遠藤周作『侍』の感想(とセルフツッコミとブログ云々)

 

 「侍」とは何だろう。本書で描かれている「侍」は、腕っ節が強いわけではない。学問ができるわけでもない。才能があるわけでもない。それでも、迷いながらも、自分の成すべきこと、進むべき道を見誤らずに、最後まで生を駆け抜けた人間として描かれている。

 

 

 本書は、東北の山奥に住む下級武士である「侍」が藩主の命令を受け、野心家の宣教師と共に使節の一人として海外へ渡航する物語。その序盤は、ただただ退屈だった。大きな志もなく、日々を坦々と生きる侍に共感することができなかったのだ。

 しかし、中盤以降は先が気になり、侍の苦悩が身近に感じられ、さまざまな人の思惑が交錯した展開にわくわくさせられた。そして終盤、実は本書は数多くのテーマを含んでいたことに気付き、いろいろと考えさせられることになる。宗教とは。信仰とは。日本人とは。本書が含むテーマは、自分がこれまで考えてもみなかったものばかり。それゆえ本書は、この1年以内で読んだ作品の中では最も強く心に残る小説となった。

 中でも特に気にかかったのが、「信仰」について論じられた部分だ。自分も含めて日本人の多くは無宗教であると言うが、「信仰」は誰しもが持っているものなのではないだろうか。むしろ、八百万の神々と共に生活してきた日本人だからこそ超自然的な何かを信じているのではないか。本書を読んで、そのように感じられた。

 生きていくうえで、信じるものとは何だろう。例えば、両親、兄弟、友達、師、神、自分。人によって信じる対象はさまざまだが、自分が正しいと思った道を何の疑いもなく歩んでいくためには、少なからず「信仰」の存在は必要になってくるように思える。

 また、本書を読むことで、「侍」という単語そのもののイメージも大きく変わった。「侍」あるいは「武士」と聞くと、漫画やドラマなどで美化された力強い志士の姿がどうしても浮かんできてしまう。けれど本書を読み終えて、それだけではないと思い知らされた。本書の主人公である「侍」は愚直でぱっとしない人間だが、その愚直さが貫き通されたからこそ、最後には感動があったのだと思う。

 さらにもう一点、巻末の解説を読んで驚かされた。この物語は実在した人物と出来事を背景に描かれたものであり、主人公のモデルは、慶長遣欧使節の支倉常長であるという。その事実を目にして、驚くと同時に納得もできた。あらすじを読んだときに感じた既視感は、これだったのか、と。

 生活が豊かになり、多くの人間が都会で暮らすようになった現代では、人の持つ「信仰」というようなものはますます薄れつつあるように感じる。だからこそ、「日本人」という自分たちについて、自分の信じるものについて、改めて考えるべきなのではないか、と思った。

 

(この感想は6年前、学校の課題で書かれた)

 


 

当時の自分の文章にツッコんでみる箇条書き

  • あらすじがざっくりし過ぎていて、よくわからんぞ!
  • 文末の「〜た」率が高すぎる! 読みにくい。思わず修正。
  • 修正ついでに、細かな繰り返し表現も気になった。「べき」を一部削除し、同じ段落内での同一表現は言い換えてやったぜ。
  • 「いろいろと考えさせられる」はマジックワード。それっぽい感想以外の何物でもなく、実際、後ろに続く“いろいろ”の具体例が少なすぎる。
  • 中途半端に一般論と抽象論に終始しているために、文章展開が全体的にふわふわしていて読み流せてしまう。例示が! 個人的なエピソードが! 読んで揺さぶられた感情の振り幅の表現が! 足りぬ!
  • 要するに、事実を淡々と述べる「書評」か、個人的に感じたことを愛のままに連ねる「感想文」か、どっちにも振り切れていなくてモヤモヤ。どうせならもっとポエミーになれよ! 君のいない世界のスピードについていこうよ!
  • というか結局、「侍」と「日本人」ってなんだったのー!?
  • でもアレだ……「宗教」って、難しいよね……。
  • テーマにツッコむのが難しいならむしろ、情景描写や登場人物の性格について言及しても良かったのかも?

 

 ――というわけで、謎のセルフツッコミ感想記事でした。いやー、HDD内のファイルを整理していたら、過去に提出した課題の類がごっそり出てきましてねー。懐かしいなーと思って目を通しいみたら、思わず自分でツッコミたくなってしまったので。

 

実態のない方法論よりも、他人からの提案と自分の試行錯誤

 ところで、この記事を書いていてふと思ったのですが、例えば「ブロガー向けの記事校正&添削サービス」みたいなのって、需要あるのかな?

 ココナラ辺りを見てみると、文章校正やライティングの案件はある一方で、既存の文章に提案を加えるようなサービスがほとんど見当たらなかったので。リライト案件にしても短文が前提っぽいし、個人ブロガー向けの「書き方提案」のようなものはないっぽい……?

 

 というのも、SEOだの文章術だのと言うけれど、結局のところ、文章力を磨くには自分であれこれと試行錯誤するしかない。でも一方では、その過程で他人から助言をもらえるのであれば、自分一人では限界のある“試行錯誤”に幅を持たせられるんじゃないかなーと思いまして。

 作法や形式が明確になっているメディアであれば、「ド素人はだまっとけぃ!」とすっぱり切られておしまいの“提案”。けれど個人のブログなら、最低限は守るべきルールやマナーはあれど、はっきりとした「文章の正解」はないも同然。なので極論、文章力があろうとなかろうと、「書き方」の提案ならば誰にでもできるんじゃないかしら。

 

 

 1ヶ月くらい前にもこんなことをボヤいておりましたが、まあそんな感じで。あまり金っけを出すのは躊躇われるので、とりあえず「需要あるのかな?」程度に投げる形で〆ることにいたしまする。はてさて。

 

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