ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

「名刺」が教えてくれたこと

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photo by Lucid-Dreams

 読みました。そこそこの期間ブログを続けている人、よくイベントやオフ会に参加する人はみんな「名刺」を持っていて、「うわー!いいなー!かっこいいなー!」とたまに自分も欲しくなるもの。

 必要ないとは思っていても、やっぱり目に見える形として自分を示せる「証明証」のようなものがあると便利なんですよねー。その場で「こういうブログを書いてます(ドヤァ」なんてiPadでシャシャっと表示させるわけにもいかないし、何より恥ずかしい。

 大学のサークルで機関誌の講評会をしていた時からそうだったけど、面と向かってその場で自分の文章を読まれるのって、ドキドキするんですよ、ええ。変にヨイショされるくらいなら、むしろ辛口にフルボッコしてくれた方が楽。被虐体質じゃないです。たぶん。

 

 それはともかく、僕は「名刺」が好きです。ヘコヘコして名刺交換するのにはついぞ慣れなかったけれど、その人や会社の個性が現れたひとつのデザインとして、集めるのは楽しい。失礼かもしれないけれど、本の表紙や装丁を見てニヤニヤする感じに似てる。

 そんな、「名刺」について思うことをば。

 

手にして実感する「肩書き」の重みとありがたさ

 大学を卒業してメーカーに入社し、初めて自分の名刺を持った時には得も言われぬ興奮が身体を駆け巡ったのを覚えております。社員証でもなく、制服でもなく、自分の名前が印刷された一枚の紙っぺらに過ぎない“それ”を持つことで、ようやっと自分が企業の一員となれたような感覚。

 学生時代の友人と久しぶりに飲みに行って、お互いに嬉々として名刺を見せ合う・交換するのは、割と「新入社員あるある」なんじゃないかと思う。ただの紙以下略なのにやたらと存在感を放っているというか、自分を定義する社会的肩書きのありがたさを知るというか。印籠ぱわー。

 

 自分を定義するモノと言えば、学生時代には「学生証」や「保険証」あるいは「運転免許証」のようなものもありました。が、保険証は淡白過ぎるし、学生証も運転免許証も基本的には一時のネタにしかならない印象。

 駅前にあるような証明写真機や、免許センターで不意打ち気味に撮られた写真の中の自分の顔の残念っぷり。「え?指名手配写真?」とか真顔で聞かないでください。人相悪くてすみません。その後、フォトショやら何やらの存在を知って感謝しながらも、加工に編集によって飾られた世界を知るのです。大人の階段のぼる〜。

 そんな感じで、企業に属して初めて手にした「名刺」はどことなく“オトナ”な感じの溢れる、ワクワクする紙っぺらでした。

 

営業員時代は単に渡し渡されるもの

 ところがどっこい。それも慣れてくると、どことなく作業じみてくるもので。

 特にルート営業として入社した自分にとっては、やがてそれが単なる「クレーム先」を示すものでしかないことに気付かされるのでありました。お手数おかけしますが、何かありましたらこちらまでお電話を……。

 問題があった時に営業所へクレームの電話をされるよりは、自分の携帯に直接電話してもらった方が楽だし、傷口も浅くて済む。逆にこちらから営業をかける時は、先方の連絡先を知るための手段となる、大切なものでもあったけれど。

 

 基本的に名刺を渡す時には「◯◯(会社名)の△△(名字)と申します〜よろっす〜」などと会社名と自分の名前を名乗って渡すものだけれど、名刺なんてなくても一瞬で認識されるくらいにネームバリューのある企業だったこともあり、余計に作業っぽかったというか何と言うか。

 何を言わずとも「あー、あの会社の人がアレを売りに来たんだなー」と把握されるため、その後のやり取りも「◯◯(会社名)さん」で呼ばれることになるのです。一社員からすれば楽っちゃ楽なんだけど。なんだか、電話番号をメモったチラシの切れ端を渡しているのと変わらないようなイメージ。

 

 もちろん実際はそんなことないだろうし、自分の身分を明らかにするために職務上なくてはならない存在なのだけれど。上司から「とにかく配りまくれぃ!」と数を消費するよう指示されていたこともあり、慣れてきた後の営業時代の「名刺」にはもにょっとした印象がございます。

 かえって、「それなら俺の名前を覚えさせてやるわ!」と営業活動もそっちのけでお客さんと仲良くなろうとした結果、そこそこ営業成績にも結びついていたっぽいのは結果オーライだと思う。営業あるある?

 

イベント後の懇親会で名刺がなくて困った

 その後、ブログを書き始めて、ちょくちょくイベントにも参加するようになり、初めて「懇親会」に参加した時のこと。「懇親会はじめまーす!」の合図が下された途端、あちこちで名刺交換タイムが始まったのには面食らったでござる。なにこれこわい。

 ブロガーやらライターやら編集者やらといった「肩書き」を持った人たちが、その内容が書かれた名刺を持ってぐるんぐるんと挨拶にまわっている様子に目が回ってしまいまして。そこで改めて、自分を示す「肩書き」と、形としての「名刺」の重要性に気付かされました

 

 一応、その場は“ブログやってるパンピー”としてイベントに参加していたのでその旨を説明するのですが、それがやたらと恥ずかしい。

 「えーっと、“ぐるりみち。”っていう個人ブログで好き勝手に書いてます。あ、ひらがなで“ぐるりみち”です。ハンドルネームは“けいろー”って言って……あ、こっちもひらがなです、はい。あ、最後は伸ばし棒です。分かりづらくて名刺もなくてすみませんねぇ、ハハッ(乾いた笑い」……ただの残念な人だこれ!

 

 その恥ずかしいやり取りを繰り返す中で同時に知ったのが、Facebookの使い方。「名刺がないなら、Facebookとかやってます?」と何度か聞かれて、「そういうのもあるのか!」と。

 要するに、Facebookアカウントをそのまま「名刺」代わりにすることで、後で交流しやすくするような形っぽい。ウェブ界隈の人たちが妙にFacebookで「友達」をたくさん持っていると思ったら、そんな事情があったんですね。勉強になった。

 

名刺がひとつも飛び出さなかった、オフ会

 そんなこんなで、「ネット関係の活動に参加する場合にも、やっぱり名刺は必須なのか!」と実感していた頃、“はてなブログ”のオフ会に初めて参加したのです。それまで“はてな”界隈の人とリアルで会うことはなかったので、殺されるんじゃないかとビクビクしながら。

 そこでびっくりしたのが、2時間ちょいのオフ会の中で、少なくとも僕の視界においては一枚たりとも「名刺」がしゅびっ!と取り出されなかったこと。

 じゃあそこで何が参加者を参加者たらしめていたのかと言えば、まさに冒頭の記事で仰っている通りの「ブログ」であり、「ID」であり、「アイコン」だったんですよね。

 

 過去の記事でも書きましたが、そこで思い出したのがmixiのオフ会。おそらく他のサービスに関してもそうだと思うのだけど、ある限定されたコミュニティに属する人同士がリアルで顔を合わせた場合、「名刺」という実体によって定義しなくともウェブ上の「記号」が想起されて、互いを互いに認識することができるっぽい、と。

 もちろん、あらかじめウェブ上で交流があることが前提になるけれど、お互いに知らずともその場で参照できる、参照しやすいのが同じネットコミュニティでの繋がりなのかな、とも思う。確かめてみたら「あー!見たことあるー!」なんてこともあるし、プロフィールやエントリを1本ほど読めば、なんとなくその人の「キャラ」は把握できるので。

 

それで私がブログ書いている理由は記録替わりもあるし,多くの人に読まれるのは楽しいというのはあるんですが,最近ブログ書いていてそれで文章を書く仕事に応募することになると名刺代わりになって便利なんですよね。「こんなの書いています」と送ればそれだけで先方が判断できますし,余計な自己紹介をしなくても済みます。

ブログは名刺代わりになるよねという話 - いつか朝日が昇るまで

 

 「ネット上の言動が見えてしまう」ことに対しては、主に就職活動の場などで問題視されている面もあるけれど、こういうメリットも間違いなくあるのだと思う。

 「普段はこういうことを考えて、書いています!」とパッと見で示すことができるし、お互いにブログを参照できれば取っ付き易い。よくコミュニケーション関連の書籍で言われる、「共通体験」が既に前提として備わっているようなものなので。

 

 言い換えれば、そのような「普段の言動」には気をつける必要も出てくるし、変なことは書けなくなるけれど。ネットでの仮想人格をその中で完結させるならいざ知らず、リアルでも使う場合にはその辺のことも考えておかなければならないのでしょう。

 特に、ハンドルネームとブログ名とアイコン。あんまり変なのにしちゃうと、名乗る時に恥ずかしいっす!

 

 というわけで、ウェブ上の活動をリアルに持ってくる場合は必ずしも「名刺」が必要だとは思わないけれど、あったらあったでやっぱり便利だと思う。

 何と言うか、「限定感」があって個人的に好きです。普段は画面越しに交流している相手の「肩書き」を個性的な「名刺」に詰めて受け取る体験が、個人的に楽しい。単なるコレクション魂かもしれない。

 ……って考えるならば、いい加減に自分の名刺を作っとけという話になるのですが。どうしよう……。

 

追記:作りました → 「ブロガー名刺」的なものを作ってもらいました

 

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