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ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

オタクだけど、オタクじゃない、“新世代オタク”とは『Febri Vol.19』

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  オタクだけど……オタクじゃなかったー!

 

 『Febri Vol.19』に掲載されていた、特集「あたらしいオタクの肖像」がなかなか興味深かったので、簡単にご紹介。艦これ特集が目的だったはずなのに、そっちはまだ読んでいません。はっはっは。

 僕個人は、オタク論、サブカル論、世代論などに関してはほとんど知識がないので、その辺にいる1人のオタクとしての感想です。詳しい人の感想を聞いてみたいな。

 

現代の若者の興味関心

http://www.flickr.com/photos/10295633@N04/2514376763
photo by ykzts

 この特集は、ライターの飯田一史@cattowerさんによる、現代を生きる「新世代オタク」の実態を調べたもの。中学生と高校生(一部大学生)、約200名(男女比はほぼ1:1)にアンケート調査とインタビュー取材を行い、その傾向を探っている。

 まず驚いたのが、今の中高生の間では、アニメやニコニコ動画を観る人は決して少数派ではなく、マジョリティであるとすら言えるくらい、多くの人間が接しているそうだ。さらに、多数派であるがゆえに、スクールカーストの上位に位置することまであるとか。

 あまり記事から引用し過ぎるのもどうかと思うので、詳細なデータは省くが、彼ら彼女らが「好きなコンテンツ」を調べたところ、次のようなアンケート結果が出たそうだ。

 

  • テレビ番組 … 1位:日本のドラマ 2位:アニメ 3位:お笑い
  • 小説 ………… 1位:ライトノベル 2位:ミステリー 3位:SF
  • 音楽 ………… 1位:J-POP 2位:アイドル 3位:洋楽 4位:アニソン&声優

 

 この結果に関して、筆者の飯田さんは、「あらゆる趣味が並行して、フラットに受容されている」と分析している。

 確かに、アンケート結果の割合を見ても、ずば抜けて人気なものはなく、いずれにも同程度のファンがついていることが分かる(音楽に関しては、J-POPが6割と頭ひとつ出てはいるが)。

 今の中高生にとってのアニメやライトノベルとは、他のドラマやミステリーと何ら違いのない「コンテンツ(ジャンル)のひとつ」に過ぎず、それが好きだから気持ち悪い、おかしいといった印象はないようだ。

 

「あ、俺らオタクじゃないんだ」〜オタクとは?

http://www.flickr.com/photos/32373689382@N01/4339190
photo by Bopuc

 筆者は次に、「すると、今の10代にとっての『オタク』って何だろう?」ということを、アンケート結果と共に紹介している。それによると、現代の中高生から見た「オタク」は、以下のようなイメージであるらしい。

 

◆ 連想するもの

 メガネ、デブ、リュックサック、チェックのシャツ、シャツイン、秋葉原、パソコン

◆ 「オタク」のイメージにあてはまるもの(選択式)

 1位:何かに詳しい 2位:モテなさそう 3位:変わっている、気持ち悪い

 4位:友達がいなそう 5位:太っている、何かを集めるのが好き

 

 彼ら彼女らにとっては、「見た目がキモい」「何かに詳しく、収集癖がある」のが「オタク」であり、普通にアニメやラノベ、ボカロに触れているだけでは「オタク」ではないようだ。ただし、代わりになる言葉がないため、他人から「オタクなの?」と聞かれたら、否定はしないらしい。

 そしてもうひとつ、おもしろいのがこちら。

 

 インタビューで聞いてみたが、ネットでよく「今の若いやつは『にわか』『ヌルオタ』」と書いているから、よけいに「あ、俺らオタクじゃないんだ」と思うようだ。

 

 上の世代のオタクたちから、「お前らはオタクじゃねえ!」と言われ続けてくれば、そりゃ「あ、違うんだ」となるだろう。ある意味、上の世代が「うっせえ!」と突っぱねた結果、若い世代が別の文化圏を築くようになったととれなくもない。

 

どうしてこうなった

 ここまで読んできて、「ああ、もう僕らの頃とは全く事情が違うんだな」ということが分かった。年齢にして、彼らとは10歳離れているかいないか程度の僕ですらこう感じるのだから、上の世代からすれば、それはもう「別世界」なんじゃなかろうか。

 僕が中高生、特に中学生の頃は、アニメやライトノベルと言えば、「変わった趣味」であり、人によっては嫌悪感を持つ「気持ち悪い」ものだった。

 

 女の子がたくさん出てくる作品*2や、美少女ゲームなどはもってのほか、ガンダムなどのロボット好きですら奇異の目で見られ、オタクは基本的にいじめの対象だった。

 それが今や、わずか10年で「普通」となっているのだから、何が起こるか分からない。何があったのか。どうしてこうなった。

 その「変化」の原因として、筆者は「作品」と「環境」の変化を挙げている。

 

ウェブサービスと周囲の理解

http://www.flickr.com/photos/35237097961@N01/4377803528
photo by fumi

 まず、大きな原因のひとつが、ニコニコ動画を始めとするウェブサービスの存在だ。今の10代が「好きなクリエイターやアーティスト」として名前を挙げるのは、ボカロPや歌い手、ゲーム実況者、Pixivの絵師ばかりだという。

 これは納得できる。自らの携帯やPCを持つ彼らだからこそ、ウェブ上のコンテンツは触れやすく、共有しやすい。

 そして、ニコニコ動画という巨大なプラットフォームの存在。何年か前に塾講師アルバイトをしていたときに、担当していた生徒と話すのは、もっぱらニコ動のことだった。

 

 その要因に付随して、もうひとつ、僕の考えとして、そこに集まるユーザーの存在も大きいのではないかと思う。

 その場を作り出しているクリエイターたち、ボカロP、歌い手、実況主、絵師などの多くは、プロではない、一般の人間だ。それゆえに、ファンとの距離は非常に近い。Twitterで日常的に交流することだってできるし、オフ会を主催して実際に会うことだってできる。

 

 そんな、クリエイターとファンの近さがあるからこそ、今の10代はそれに惹かれて、夢中になっているのではないか。

 さらに今では、彼らに憧れ、実際にクリエイターとして作品を発表している中高生も少なくないと聞く。そんな敷居の低さが、多くの10代を引き寄せる要素のひとつなのではないだろうか。

 

 そして、彼ら彼女らが、遠慮なくそれらコンテンツを楽しめているのは、「周囲の人間が圧倒的に寛容だから」だと筆者は述べている。

 言われてみれば、そりゃそうだ。今の中高生の親世代と言えば、子供の頃はアニメを観たり、ゲームをして育った世代になるだろう。

 別に親がコアなオタクでなくとも、ある程度の理解さえあれば、あまり干渉されるようなこともないはずだ。べっ、別に羨ましくなんてないんだからねっ!ちくしょおおおおおお

 

まとめ

 最後に筆者は、新世代オタク概論のまとめとして、このように書いている。

 

「アニメやニコ動を観る方がマジョリティ」

「『オタク』はよほどのマニアかキモいやつのこと

 だからアニメを普通に観るくらいの自分はオタクだと思っていない」

「家族の理解もある」

――これが「新世代オタク」である。

 

 親や周囲の抑圧もなく、変な固定観念もなく、インターネットでいくらでも調べることのできる今の10代は、旧来のオタクとは全く別の存在なのかもしれない。

 「オタク」という言葉も、その時代や世代、人によって解釈や使い方に違いがあるし、そろそろ別の言葉が出てくるのかな。

 いずれにせよ、妙な固定観念も忌避感もなく、様々なジャンルの作品に等しく接することができるのはすばらしいと思う*3。なんでもかんでも楽しめちゃう感じ。

 

 それに対して、掲示板やTwitterを見れば、「自分には理解のできないものだから」と言って、ボーカロイドやら何やらを蔑んでいる人が少なからずいるのは、もったいない。

 自分の好きな、ただひとつだけを愛するのが「オタク」なのかもしれないが、だからと言って、他のものを否定するのは違うでしょう、と。

 大人の特権は、過去を懐かしめることだと思う。今あるものを楽しみながら、ふと昔を思い出して、「あんなものもあったなー」と、仲間と語り合ったり、「こんなのもあるんだぜー」と、若者に教えられること。それは、アニメだってなんだって、同じじゃないかしら。

 

 ちなみに、この特集「あたらしいオタクの肖像」は、ここまでで半分。

 

 この後、ボーカロイド、歌ってみた、ゲーム実況、フリーゲームについて、今の10代が好きなところ、考え方、それらに関する分析などを行なっています。そちらもおもしろいので、良かったら読んでみてくださいな。

 

 

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*1:月刊コミックジーンで連載中の『カゲロウデイズ』(漫画:佐藤まひろ / 原作:じん)

*2:関係ないけど、「女の子がたくさん」という点は共通なのに、『いちご100%』はみんな大好きだったのはなんでや!ジャンプだからか!

*3:その中で信者化してはいるんだろうけれど