【極爆】圧倒的な絶望感にニヤけっぱなしだった『GODZILLA 怪獣惑星』


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アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITEより

 “アニゴジ” こと、映画『GODZILLA 怪獣惑星』を観てきました。

 いやー、マジでびっくりした。いろいろな意味で。昨年の『シン・ゴジラ』とは違った意味、真逆の方向に感情をぐわんぐわんと揺さぶれる作品であり、ラスト10分は心底から震えた。

 ……ただし、顔はニヤけっぱなしだったけれど。これまで、物語展開で「興奮しすぎて笑えてくる」ことや「意味がわからなすぎて笑えてくる」ことはあったけれど、「あまりに絶望的すぎて笑えてくる」のは本作が初めてだった気がする。絶望しながら笑ってた。傍から見ると完全にヤバい人だこれ。

※(物語の核心を突く)ネタバレなし。
『ゴジラ』的な文脈には詳しくない一個人の感想です。

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『シン・ゴジラ』と同じ“極上爆音”で、同じ大迫力と絶望感を

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 『ゴジラ』いえば、大迫力の極上爆音上映で観るしかないでしょう!

 ──ということで足を運んだのは、立川シネマシティ*1。ただ単に音がデカいだけでない、音圧や響き方までもを考慮した、極上の「音」で感じる劇場体験。昨年の『シン・ゴジラ』もこちらで観て、その圧倒的なド迫力と絶望感に泣きそうになった。

 1年ぶりに立川で観る『ゴジラ』だったけれど、『GODZILLA 怪獣惑星』も極上爆音上映を選んで大正解。冒頭から大怪獣たちに蹂躙される地球と、真空の黒い海を航行する宇宙船の音が、体の芯にズンガズンガと響いてくる。やはり「破壊」と「メカ」は、極爆にぴったりっすね。ガルパンはいいぞ。

 でも後になって考えてみると、前半はまだ「音」も「迫力」も控えめだったようにも感じる。世界観と設定の説明が続いていたこともあり、一度は地球を放棄した人類が再びそこへ降り立つまでは、物語的にも感情的にも起伏は乏しかった。「淡々と進んでいるなー」という印象。

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GALLERY|アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITEより

 というか、むしろ「展開を急ぎすぎなのでは?」とすら感じていた。

 20世紀末に突如として現れた大怪獣たちとの戦闘で敗走を重ねた結果、異星人の力を借りて宇宙へと脱出した人類。20年かけてたどり着いた惑星も生存には難しく、移民船は地球への帰還を決定する。しかし、帰ってきた地球では2万年もの歳月が経過しており──というあらすじ。

 地球への帰還決定までは思いのほかトントン拍子で進むし、主人公・ハルオの過去と行動理由の掘り下げも爆速。いかにも主人公然としたキャラクターであり、ゴジラへの憎悪を根幹に行動しつつも目まぐるしく立場が変わるため、「なんか展開が忙しい……」と感じる部分もあった*2

 しかしそんなモヤモヤは、地球の大地へ降り立つと同時に雲散霧消した。

 突如として現れた小サイズの怪獣たち*3による侵攻に始まり、ゴジラとの対面まで、激しいアクションシーンの連続に大興奮。パワードスーツをはじめとするメカメカしい兵器の立ち回りに、いつの間にか目を奪われていた。

 白銀色が目立つSF的な重厚感を持つ兵器に対して、おなじみの黒黒とした巨体に加え、どこか筋肉質な肉体が目を引くゴジラ。物語中盤までは遠景でしか見えなかったゴジラの全容が明らかになると、映画館のスクリーンを占めてなお余りある、とてつもない重量感に圧倒された。

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GALLERY|アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITEより

 あのド迫力っぷり、巨大なサイズ感は、劇場の大スクリーンで観てこそだと思う。 “歴代最大” と言うくらいだから、おそらくは『シン・ゴジラ』以上に。さらに言えば、手に汗握るアクションシーンもやはり、映画館で観てこそ興奮できるのではないかしら。

 エアロバイクによる上空からの急降下攻撃のアクションと、横方向に薙ぎ払う熱線の威力と迫力を眼前で体感できるのは、大スクリーンかつ大音響ならでは。……まあ別に『ゴジラ』に限った話ではないけれど、「映画館で観るとやっぱりすげえ!」ことを再確認したのでした。

同じ「絶望感」をまったく真逆のベクトルで

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GALLERY|アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITEより

 中盤以降のアクションシーンだけでもむちゃくちゃ盛り上がったし、さっきから繰り返しているような “ド迫力” 云々のみならず、キャラクターたちの魅力も感じられた『GODZILLA 怪獣惑星』。主人公は24歳と若いけれど、異星人のオッサンたちがかっこいいのよね……

 それでも最終的に行き着くのが、「ラスト10分がとんでもなかった」という感想。『シン・ゴジラ』の熱線──例の “内閣総辞職ビーム”*4 のようなインパクトがあったし、微妙に方向性は違えど、抱いた絶望感の度合いは同じくらいだったように思う。圧倒されて言葉を失う、あの感じ。

 1年少し前、同じ立川シネマシティの極上爆音上映で『シン・ゴジラ』を観たときには、「泣きそうになった」と書いていた自分。一方、此度の『GODZILLA 怪獣惑星』では同様の絶望感を覚えながらも、表情筋は別ベクトルに動いていた。──思わず、「笑えてきた」のです。

 何と言いますか、「圧倒的な存在と対面したときの絶望感」という意味ではどちらのゴジラも変わらないのだけれど、その過程と世界観の違いゆえに、別の方向に感情が動いた……というか。

 いずれの場合も「もうだめだぁ……おしまいだぁ……」と呆然としつつも、本作では「あまりにどうしようもなさすぎて笑えてきてしまった」という格好。結果、エンディングまでニヤけ顔を抑えることができなかった。そして、スタッフロールのあとに再び呆気にとられるのですが。

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アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTubeより

 現代の東京、ともすれば実際に訪れたことのある街を蹂躙されるという、とてつもない現実味ゆえに絶望を感じた『シン・ゴジラ』。それに対して、2万年後という想像もできないような世界、あまりにも現実味が薄すぎる今作、『GODZILLA 怪獣惑星』。

 にもかかわらず、なぜそうまでして絶望させられたのかと考えてみると、「 “現実味” なんてものを突き抜けるくらいに巨大な怪獣が、まるでそこにいるかのような圧倒的な存在感でもって描写されていたから」なのかなーと思った。それこそ、「大画面」と「大音響」の力。

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アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTubeより

 その迫力を特に感じられたのが、ゴジラの「足音」「咆哮」。ゴジラとの戦闘が始まっても、「このゴジラ、あまり鳴かないなー」と暢気に観ていた中盤。ところがどっこい、終盤のここぞという場面で繰り出されたあの咆哮は、極大の絶望(とニヤけ顔)をもたらすものだった。

 「足音」も同様。極上爆音上映だからそうだったのかもしれないけれど、それまでの戦闘で立て続けに鳴り響いていた銃撃や爆撃よりも大きく、一撃で体を芯から揺さぶるような足音。本当に館内がズシンと揺れ、座席にビリビリと振動が伝わる足音で、ものすごくドキドキした。

 ──とまあ、あまり書きすぎるのもアレなので、この辺で。公式サイトで「映画前史」として詳細な世界設定がまとめられており、鑑賞前にチェックしておくと本編をより楽しめるかもしれません*5

 その一方で、「予告編を観ただけ」でも充分に楽しめた僕のような人間もいるので、あえて何も調べずに行くのもありかと思います。自分の場合、本作の立ち位置というか、どういった作品展開になるかを知らずに行ったので……スタッフロール後は、マジでびっくりした。

 

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*1:参考:立川の映画館 シネマ・ワン&シネマ・ツー|シネマシティ

*2:ただ、最後まで観たうえで改めて考えてみると、忙しいどころか逆に、尺を割いて丁寧に描写していたように感じました。

*3:「怪獣というよりは恐竜っぽいなー、モンハンに出てきそうだなー」とか考えていました。公式サイトに名前が載ってた。あなた、セルヴァムって言うのね!(参考:CREATURES|アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE

*4:参考:内閣総辞職ビームとは - ニコニコ大百科

*5:よく見たら、時系列と合わせてほかの怪獣の出現箇所なんかもまとめられてるんですね……(参考:INVESTIGATION REPORT|アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』OFFICIAL SITE