原作ファンにもおすすめ!映画『ReLIFE リライフ』がすごく良い“実写化”だった


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映画「ReLIFE リライフ」90秒予告編 - YouTube

映画『ReLIFE リライフ』を観てきました。普段は「マンガの実写版はちょっと……」と忌避しがちなこともあり、恐る恐る……というか、まったく期待せずに映画館へ足を運んだ格好。

ところがどっこい。蓋を開けてみれば、想像以上に素敵な “実写化” になっていてびっくり仰天。もちろん賛否はあるでしょうが、それなりに初期から原作を追いかけている自分でも、素直に「すんげーよかった!」と拍手を贈りたい出来栄え。躊躇っている人にもおすすめしたい映画版です。

 

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アニメにもなった『ReLIFE』ってどんな作品?

『ReLIFE』は、無料漫画アプリ「comico」で連載中のマンガ。2013年10月に第1話が公開され、話数にして170話を超える長期連載作品です。作者は、夜宵草@YayoiSoさん。

アプリ上で全話が無料公開されているにも関わらず*1、単行本は2016年時点で累計発行部数100万部を突破している人気作。昨年夏にはアニメ版が放送され、原作ファンから一定の支持を集めたほか、「20〜30代ホイホイ」なエンディング曲でも話題になりました*2

主人公は、入社数ヶ月で会社を辞めて現在無職の27歳、海崎新太(かいざきあらた)。就職活動中の彼が「リライフ研究所」の職員を名乗る夜明了(よあけりょう)から勧誘を受け、社会復帰のための “実験” の被験者として、1年間の高校生活を “やり直す” 物語。タイムリープじゃないよ、お薬でバーローだよ。

僕自身、ちょうど会社を辞めたばかりのニート期間に本作を読みはじめたため、主人公の境遇に妙に共感してしまった覚えがあります。どこにも進むことができない停滞感……友人との飲み会で感じる謎の申し訳なさ……ぐおお……知ってる……知ってるぞそれ……。

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ReLIFE | report1. 海崎新太(27)無職 | 夜宵草 - comico

さらに、世代的にも主人公と重なる部分があり、作中でちょいちょい散見される「同世代(20代)あるある」なネタも楽しめていたんですよねー。かと思いきや、メインの読者層は現役高校生をはじめとする10代の少年少女らしいからびっくり。

現代の高校生との世代間ギャップを、主人公目線で「マジかー!」と感じさせられたかと思ったら、たびたび回想で登場する職場の場面もまた、「あるわー……」とネガティブな方向で同調できてしまうという。懐かしい青春模様と人間関係、社会人の理不尽さが混在した作品であり、否が応でも共感させられてしまう――良い意味で “ズルい” マンガだと思います。好き。

 

春夏秋冬を巡る、高校3年生の青春劇

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映画「ReLIFE リライフ」公式サイト

2016年にはアニメ化&舞台化され、メディアミックス展開も多岐にわたる本作。そんな『ReLIFE』が、満を持して実写映画化と相成ったわけですが……実際に観に行ってみたら、想像以上に良かった。

というか、「ReLIFEの映画版」として2時間枠で作ろうとした場合、これが最適解なんじゃないかと思えるくらい。原作に忠実に、全12話を駆け抜けたアニメ版とは明らかに違うけれど、アニメにはない「実写映画」ならではの魅力があったように感じる。舞台は鑑賞していないので……。

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映画「ReLIFE リライフ」公式サイト

まず第一に、「高校生の青春映画」として素直に楽しめたという点。本来は “27歳無職” である海崎自身の葛藤も考慮しつつ、 “高校3年生” としての1年間を周囲の友人たちと衝突しながらも全力で駆け抜ける、学園青春モノ。

リライフの設定を抜きにしても、作品の主要素である「学園生活」を四季を通して描ききった映像作品として、その青臭さと甘酸っぱさに魅了されてしまったのでした。季節イベントはもちろんのこと、受験に恋愛に友情に、どこか懐かしくも憧れていた高校生生活。それを、大きなスクリーン上で追体験させてもらったような印象です。男2人の絡み方が、最高に “男子高校生” してた。

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映画「ReLIFE リライフ」90秒予告編 - YouTube

さらに、その青春劇を演じる俳優さんたちも素敵でした。特に、主演の中川大志さんがすごい。 “27歳” の場面では明らかに人生に疲れた無職の顔をしていたし、 “17歳” の場面では歳相応ながら、 “高校生をどこか下に見つつ戸惑っているオッサン” の匂いを醸し出していた。

ついでに付け加えると、普段の自分はドラマや邦画をあまり観ないこともあって、本作の出演者さんもほぼ全員を存じ上げていなかったのですが……。そのような事前知識のない状態で観たからか、 “27歳” や “高校生” の設定 に違和感を覚えることなく楽しむことができました。

あとで調べてみて、海崎を演じる中川さんが18歳、夜明を演じる千葉雄大さんが28歳であることを知り、思わずその場でひっくり返りそうになったくらい。たしかに原作でも夜明は年齢不詳だったけれど、まさか自分と同年代の方が演じておられたとは……。中川さんも25歳くらいかと思ってた。

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映画「ReLIFE リライフ」90秒予告編 - YouTube

そして何よりも良かったのが、マンガともアニメとも異なる後半の展開。おそらくは原作ファンが観るとはっきり賛否が分かれるところなんじゃないかと思いますが、個人的にはこの映画の魅力は後半にこそあり、原作とは違う魅力を持った “実写版” たらしめている部分だと感じました。

ターニングポイントは、花火大会。唐突な大雨と告白には面食らったものの、土砂降りのなかを走る5人のシーンとその映像が、なんともまあ美しい。急な展開かつ、海崎のトラウマである前職関連のエピソードをすっ飛ばされたときには驚きもしたけれど、最後まで観終えてみれば、むしろ妥当な改変・展開だったように思う。その後のフォローも含めて。

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映画「ReLIFE リライフ」90秒予告編 - YouTube

リライフに臨む海崎の葛藤を描きつつ、互いにすべてを語ることのできない恋模様にもがっつりと触れ、春夏秋冬季節ごとの日常風景までも丁寧に描写。120分という尺をめいいっぱい使って「高校3年生の1年間」を描いていたため、その結末にも納得できた。

また、劇中では2人のキャラクターによって2つの言葉が繰り返されており、本作が伝えたいメッセージも明確。これからの季節にぴったりのそれは、おそらく映画のターゲット層である現役高校生に向けられたものでありながら、海崎と同年代の自分にも刺さるものでした。

万人向けとは言わないけれど、少なからず “青春映画” という字面にビビッとくる人であれば、それなりに楽しめるのではないかしら。普段はアニメばかり観ているような自分でも、こうして人に勧めたいと思うほどには素敵な映画だと感じましたゆえ。

マンガやアニメの前知識なしでも楽しめる実写版だとは思いますが、映画を観る前でも後でも良いので、興味のある方はぜひぜひ夜宵草さんの描く原作マンガも読んでみてくださいな。リライフしようぜ!

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*1:※普段は1日1話の閲覧制限あり。

*2:だって1話からして奥田民生だし、「ヒロインかわいい」とか言ってたら突然の“ナマ足魅惑のマーメイド”ですぜ?(関連記事:『ReLIFE』1・2話感想〜“20代あるある”ネタがおもしろい - ぐるりみち。