台風直撃にも関わらず、そこそこ混雑してました。
嵐の中をえんやこら
関東にジェットストリームアタックを仕掛けた台風先輩もひとまずは過ぎ去り、当然のように遅延している電車をなんとか乗り継ぎ、ようやっと最寄り駅まで帰ってきました、僕です。とりあえず喫茶店でパソコンに向かっているけど……はわわ、足元がびしょびしょだよぉ……。
ここ数年、「台風」と聞けば外出を避け、全力で家に引きこもる生活を送ってきた僕ですが、今日は外に出ざるを得ない理由があった。国立新美術館で開催中の『ルノワール展』、その最終日である。チケットをもらった手前、せっかくのタダ券を使わないのももったいない。行かねば。
電車に乗るべく外に出て、家の近くの交差点が湖になっているのを見、駅へ向かうのを諦めた。無理ダメ、ゼッタイ。
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2016年8月22日
ところが、そこはやはり、猛烈なアプローチに定評のある台風先輩でござる。外に出るなり熱烈な暴風の歓迎に遭い、大粒の雨であっという間に主に下半身がびしょ濡れに。我が愛しの小傘ちゃんは「あぁん////」と言わんばかりに軋み出し、とてもじゃないが駅へ辿り着けそうもなかった。
――瞬間、脳裏に浮かんだのは、営業職として働いていた日々のこと。雨ニモマケズ風ニモマケズ、大雪ニモ地震ニモマケズ出勤し、夏場は全身を濡れ濡れにしながら働いていた会社員時代。今となって思い返してみても、よくもまあ風邪もひかずに仕事を続けられていたなあと。若いってしゅごい。……まあ、どれだけ天候やら健康やらには強くとも、上司とお客さんには負けるのが平常運転なわけですが。HAHAHA! ……はぁ。
決して手放すまいと必死に傘を握りしめながら暴風雨の中を歩いていたら、脳内BGMが勝手に、ガンダム第08MS小隊のオープニング曲を流し始めた。
— けいろー (@Y_Yoshimune) 2016年8月22日
ともあれ、今はそのような気概を持っていないフリーの身、むしろ「無理」こそが己が身を滅ぼしかねない悪鬼であると理解しており、そこは素直に逃げるが勝ちでありましょう。雨風が小康状態になるのを待ち、然るべきタイミングで外に繰り出すのがベストでござる。慌てない慌てない。
――待つこと、しばし。お昼すぎには台風の“目”に入ったのか、若干はマシな状況になったと見て、いざ外へ。すでに遅延していた電車を乗り継ぎ、なんとか約束の地・六本木へと降り立ったのでございました。駅から出たらトンデモ暴風雨が待ち受けていたけれど、そこは気合で。
芸術アンポンタンでも、やっぱり美術館は楽しい
ルノワール展 オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵|国立新美術館
というわけで、本日が最終日の『ルノワール展』でござる。先週、同じく六本木で開催中の『ルーヴルNo.9』がやべえ!って書いたけれど、そちらは「マンガ」の要素も色濃かった展覧会。こうした一般的な「美術展」に訪れるのは、かなーりひさしぶりなのでありました。
ところがどっこい。そもそも芸術の分野には関心が薄く、知識は皆無な自分。「“印象派”って、なんだっけ……」というレベルだし、「ルノワール」と聞くと、いつもお世話になっている喫茶店「銀座ルノアール」のほうが先に思い浮かんでしまうくらい。それでも美術館は好きだし、絵を眺めるのも楽しい。知らないならば、知らないなりに楽しんじゃえばいいのです。うふふ。
「銀座ルノアール」に関しては、店名(社名)の由来をググってみたら、まさにこのピエール=オーギュスト・ルノワールその人だという話*1なので、間違っているわけではない模様。ほえー。
単純な話、気になって自ら意識的に行動して触れたものは、強い印象と共に記憶に残るという、それだけ。でもこれって、意外と大切なことなんじゃないかと思うんですよね。
多くの人が「素晴らしい!」と評する有名作だったり、周囲から勧められて足を運んでみたり。それらは全て自身の外部からもたらされる評価基準である以上、どうしてもある程度の補正がかかってしまう。「みんながそう言うなら、すごいんだろう」と。
実際にその通り、外部の評価基準の通りの印象が自分にも湧き上がってくればいいけれど、常にそうなるとは限らない。「思ったほどじゃなかった」「良さが理解できない」。そういった感想を持っても不思議ではありません。逆もまた然りですが。
だからこそ、あえてそのような「補正」を全部取っ払って、自分が「好き」か「嫌い」か!という2択で作品に触れるという方法も、ひとつの考え方・楽しみ方として悪くはないんじゃないかな、と自分では思っています。
2年前に書いた記事の引用ですが、今もこのスタンスは変わっておりませぬ。「よくわからん!」としても、わからんなりに楽しむことはできる。予習して向かうのも悪くはないけれど、まっさらな状態で作品に触れて、自分の好き嫌いで判断したほうが記憶に残りやすい気がするんですよねー。知識や技術面はあくまで補完的要素として、基本は主観オンリーで楽しむ感じ。
今回も今回で、人がわんさか群がっているメインの作品に圧倒されつつも、ちょこちょこと展示されていた習作のほうもまじまじと見つめていた格好でござる。イケメンの肖像画を舐めまわすように眺める一方、かわゆいニャンコに心奪われたりも。「これは売れる……!」と思ってたら、出口のミュージアムショップでグッズ展開されているのを見て、なんだか負けた気分。
それと、過去にちょっとだけ遊んでいた3DS用ソフト『新 絵心教室』の感覚が残っていたのか、筆のタッチやら陰影の付け方やら塗り重ねの跡やらにも自然と目が向くようになっていたのは、我ながら驚きでありました。ひさしぶりに起動してみようかしら。
ともあれ、何年かぶりに訪れた美術展は、やっぱり楽しかった。暴風雨の中をあひぃあひぃ言いながら歩いてきて後悔するかと思いきや、充実した時間を過ごせてにっこり。また気が向いたときにでも、ふらっと美術館に迷い込んでみようかな。