極上爆音上映でマッドマックスを観たら、青春がフラッシュバックした


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映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』予告編 - YouTube

 夏は、イベントが多い。

 大学時代の友人と飲みに行ったり、オフ会があったり、コミケで爆買いしたり。──で、そこいらで会った人たちのみんなが口を揃えて言うんですよ。

「え、マッドマックス観てない?
 おっくれてるぅーーーーーっ!」

 いやね、いくらそんな流行アピールをしたところで、ホイホイ釣られて観に行くなんてしませんことよ。そもそも自分、普段はあまり映画を観に行かない人間ですしおすし。

 ……と言いつつ、最近は『ラブライブ!』とか『バケモノの子』とかアニメばかり大スクリーンで見ていたこともあって、もう満足なのです。おなかいっぱい。閉店ガラガラ。またのご来場を乞うご期待。

 ──そんなふうに考えていた時期が、私にもありました。

まずは、劇場選びから

 というわけで、観てきました。映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。過去作はまったく知らず、「とにかく、ヤバい」「トンデモバカ映画」「ババアがギターで火を噴く」という断片的な情報(※混在してる)のみを頼りに、まずは劇場選び。

 そんなにヤバいというのなら、噂の4DX*1を試そうかとも考えていたのですよ。なんやかんやでまだこの身で味わえていなかったし、なにより、そんなにもアクションが“ヤバい”のなら、体感アトラクションとしての4DXはぴったりなんじゃないかと。

 だけど、4DXはいかんせん高い。ファーストデーでもプラス1,000円の2,100円。そう聞いてしまうと、「普通に2Dでもいいんじゃ……」と思えてしまうケチンボ。──と思っていたら、「それなら、極上爆音上映で見ればいいじゃない!」との声が。そういうのもあるのか。

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マッドマックス 怒りのデス・ロード

 上映館は、立川シネマシティ。立川なら、家から都心に出るのと距離的には大差ないし、平日なら割と空いているんじゃなかろうか……と考え、悩む。

 しかもサイトによると、有料会員になれば、平日のみ入場料が一律1,000円という話じゃないですか! え? なにこれ? こんなにお安くていいの?わざわざサービスデーを選ばずとも、映画いっぱい見れちゃうじゃん? ──ということで、勢いで登録。だって、可能性感じたんだ。

 いざ席を取ろうとしたところ、平日朝からほぼ満員というぶっ飛び具合に戦慄しつつも、なんとか予約完了。はてさて、どないな感じになることやら。

全身を芯から揺さぶる重低音にクラクラ

 当日。最初の数分ほどは、「ああ、音が大きい感じしますね、はい」くらいにポケーっと観ていたのだけれど、それも始めの部分だけ。

 主人公が捕まってからの脱出劇(未遂)でズンドコボーン! とBGMの重低音にグワングワン揺さぶられるようになり、狭い通路を駆け抜けつつ襲い来るフラッシュバックとウォーボーイズの情報量に脳機能の大部分を持って行かれ、気づけば魅せられていた模様。アレだ。パチンコ店内の大音量BGMで、感覚を麻痺らせる類のヤツだ。やったことないけど。

 で、いかにもなヒャッハーデザインの車両群によるカーチェイス&スーパーヒャッハーアクションタイムで早くもガリガリと精神を削られ、心はぴょんぴょんするどころか「あばばばばばばbbb」なんて声に出さないまま衝動に打ち震えていた格好。(そんなのないよ)ありえない。

 情報量が半端ないせいか、砂嵐が過ぎ去ったあとの無音の安心感が尋常じゃない。でも、同時になんか物足りない……って、完全に毒されてるやつだ、これ。あばばばば。大隊長殿は熱血ビューティーだけど、どうせあとでデレるんやろ? チュッチュするんやろ?(ハリウッド脳)

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ニュークス - Google検索

 そんなことより、問題はアレだ。我らがニュークスたん。なにあの萌えキャラ。大好きな人から声をかけられて気合を入れたのに、一世一代の大見せ場でドジっ子っぷりを発揮し、「もうダメだ……」とスキマに潜り込んで丸くなるとか。おまえは猫か。にゃーん*2

 というか、最初の脱出劇に際して、てっきり淡白な戦闘兵的な存在かと思っていたウォーボーイズがみんな、あのスクリーンの中で他のどのキャラよりも表情豊かにヒャッハーしていたのが愉快だった。一瞬で第一印象がひっくり返り、癒し要素になっていた感じ。かわいい。

 はじめは「なにあの人たち怖い」だった彼らに対するイメージが、最後には「やだ……私もあの中に混ざりたい><」という感情にまで発展しちゃったからね。そりゃあコミケでも量産されるわけですよ。ちくしょう、もう少し早く見ていれば……!

きっと青春が聞こえる

 一方でこの「極上爆音上映」という形態に関しては、映画鑑賞中、どことなく既視感を覚えていたのですよ。この“音”の感じ、どっかで味わった記憶があるような……?

 大音量のコンテンツといえば、いろいろと挙げられる。でも、コンサートじゃない。スピーカー近く、ロックライブの最前列でモッシュモッシュするのもちと違う。不快でしかない選挙カーの拡声器では当然ない。身体の末端がチリチリし、重低音が響き渡る、この感じ。なんだっけ。

 ……と考えていたところ、たびたび挿入されるシーンで思い出した。これだ。

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マッドな改造車集結!『マッドマックス 怒りのデス・ロード』特別映像 - YouTube

 そうだ、彼らは、在りし日の僕だ。春夏秋冬を問わず、時に体育館で、時に街中で、時に公園のステージで、時にコンサートホールの壇上で、ドンドコズンダカタカタカドドドドと、和太鼓をひたすら叩いていた、高校生の僕だ!

 まあ音響関係の知識や感覚はさっぱりなのですが、腹の中まで響き渡る打楽器の強打音とリズムが、過去に自らがその演者として生み出していた「音」を強く想起させるものだった、という話です。グルーブ感、あるよな。

 だって、見てくださいよアレ。整然と並べられた太鼓の前に各々が陣取り、両手にバチを握り上裸で一心不乱に目の前の面を叩き続ける。完全に部活動ですよ、アレ。銃弾は飛び交わないけど、折れたバチは壇上で飛び交うし。──嗚呼、何もかも懐かしい。

 帰ってきてからちょろっとサントラ版の視聴をしてみても、やっぱりあのズンドコドギャァァァァァンな感じは、極上爆音上映ならではのものだったんじゃないかと思う。少なくとも、一般的な映画館で「音」から“ビリビリ”を感じた記憶はないので。立川シネマシティ、最高だ。

 なんやかんやで延長に次ぐ延長、9月中旬までは上映確定しているという話なので、まだ“極上爆音”を体感していない方はぜひに。“きっと青春が聞こえる”よ!(ただしドラマー、タイコニストに限る)

 

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