5月のとあるお昼時。
秋葉原から神田方面へふらふらと歩いていたときのこと。
とりあえず昼メシ食わないとなー、今日はお安く牛丼チェーンでいいかなー、と路地から大通りへ進路を変えようとしたところ、一軒の喫茶店が目に入った。
『喫茶アーモンド』。
見るからに「昔ながらの喫茶店」という佇まいで、どことなく心惹かれる感じ。細く狭い地下へと通じる入り口が、先日訪れた池袋の『本格喫茶昭和』と似通っているように見えたせいかもしれない。
この手の喫茶店は常連が多く、一見さんにはどうも入りづらい雰囲気を醸し出しているように感じるのは僕だけかしら。周囲を見渡しても、平日昼間だけあってワイシャツ姿のサラリーマンが多く見られる場所。うーむ、どうしようかにゃー。
入り口脇に目を向けると、「ランチメニュー」としてパスタや牛丼、カレーといった文字が踊っている。いずれもコーヒーor紅茶のセットで、800円前後といった価格設定。+200円で大盛りにすることもできるらしい。ほほー。
どうせこの後もどっかで作業をすることを考えれば、昼メシついでに入ってしまうのもいいかもしれない。同年代の男子と比べれば小食な自分に「大盛り」の選択はないとしても、ドリンクセットで800円なら悪くないお値段ですし。よし、君に決めた!
――しかし、既に戦いは始まっていたのだった。
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お昼や夕方に小休止、サラリーマンの集う場所?
階段を下りてお店に入ってみると、 “ザ・下町のおばちゃん” といった感じの店員さんがお出迎え。一人であることを伝えて、ソファ席に座ります。パッと見た感じ、ほぼ全席がソファになっているのかな?昔ながらのデザイン、模様の入った、ほどほどに弾力感のある座席でござる。
お水とおしぼりを持ってきてくれたおばちゃんにお礼を言って、「和風きのこ」のパスタとアイスコーヒーのセットを注文。店内の掲示によれば、パスタは全部で9種類。他にはボンゴレビアンコ、ボロネーゼ、カルボナーラ、クリームソース系があるようです(後で考えてみれば、この選択が明暗を分けた)。
ひと心地ついて周囲を見渡してみると、入り口脇のラックには雑誌がズラッと並び、座っている席の後ろの棚にもさまざまなマンガが乱雑に積み上げ、並べられている格好。うっほー!青年コミックスが多めだけど、これならいくらでも時間が潰せそう。いいねー、隣りのおっちゃんも膝に雑誌を乗せながらメシ食ってるし。
……と、そこで、違和感。いや、ご飯を食べながら雑誌を広げるのはどないやねん、というツッコミもあるかもしれませんが、問題はそこじゃあない。おっちゃんがスプーンを持って向かっているカレーの盛られた、机上の「皿」のサイズ感が明らかにおかしい。
いや、そりゃまあカレーですし?お皿が広いのはわかるんですよ。でもでも、それにしても一般的なサイズよりちょっと広いように見えるし、そして何より――“深い”。なんだ、その高さは。リボルテックダンボー・ミニがすっぽり入って、真横から見てギリギリ頭がはみ出るくらいの深さはあるんじゃないかと。つまり、5〜8cmくらい。
……ああ、なるほど。
アレがきっと、メニューにあった+200円の「大盛り」なんでしょう。結構な量あるけど、アレでドリンクも付いて1,000円ならコスパ良さそうねー。たまーにグルメ番組で「デカ盛り」特集なんてやってるけど、そこまではいかないくらいかにゃー。はっはっは。
(店・Д・)<はーい、パスタお待たせしました〜
(僕・ω・)<はひ??
「並盛り」とはいったい……
ままま待て、まだ慌てるような時間じゃない。
う……うろたえるんじゃあないッ! ドイツ軍人はうろたえないッ!
(;゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
いや、やっぱり、おかしい。
写真だと伝わりづらいかもしれませんが、横から見れば少しは……。いやね、ほら、なんか高さがおかしくありません?
「パスタを美味しく見せる盛り方」みたいなので、中心にパスタを山のように盛っている写真、あるじゃないっすか。そうじゃなくって、そもそもの麺の量のせいで自然と高くなっちゃってるような感じ。驚きのモリモリ具合。こんなの絶対おかしいよ。
「大盛り」と勘違いしたのかと思いきやそういうわけでもなく、後から来たお客さんも似たり寄ったりの分量。中には常連さんなのか、注文の際に「少なめ」と言っている人もちらほら。マジか。これがスタンダードなのか。どういうことなの……。
恐る恐る、あっつあつのパスタをフーフーしながら食べてみると……うまい!\テーレッテレー/これだけの量を茹でればムラも出そうなものですが、全体的にかなり柔らかくなっており、チュルチュルモチモチと美味しくいただけます。きのこも味が染みていて良い。
……とは言え、この量はやはり普通じゃない。二郎も含めたラーメン屋さんで過去に食べてきた経験上のグラム換算だと、300、400g以上は確実にあるんじゃなかろうか。これはヤバい。自分の胃の容量で考えると、なかなかに厳しいレベル。
一心不乱にチュルチュルしつつも、周りを見れば、店内には次々とサラリーマンが入ってくる様子。食べるのに時間がかかるせいか、雑誌を手元に読みながら食ってる人が多いような。あと途中、反対側の席に座っていた人の元にやってきたボロネーゼがすごかった。思わず脳内で、「oh......ぼるけーの......」なんて呟いちゃったくらい。
結構な時間をかけつつ、ラストはお水に頼りつつも、最終的にはなんとか完食。きのこすら一欠片も残さず、食いきってやったぜ!途中、店内BGMのSPEEDに元気をもらった。食後のアイコーが腹に染みるぜよ……。
おそらく、これが和風きのこではなくカルボナーラやクリーム系だったら、完食は厳しかったかもしれない。ポポラマーマのクリーム系ですら食べていると終盤は飽きてきてしまうので、あっさり系を選択して正解でした。注文時から戦いは始まっていたのか……。
でも確かに、このお値段であの量ならコスパは非常に良いのかも。ドリンクも付いてくるし、店内には暇つぶしの読み物もたくさん。近場のサラリーマンにとって重宝しそうな喫茶店という印象でした。次は牛丼に挑んでみようかしら。また来たい。
店舗情報
- 営業時間:7:00~17:00(土は14:00まで)
- 定休日:日・祝日
- アクセス:東京メトロ日比谷線『小伝馬町』駅エレベータ出入口 徒歩4分
- 住所:東京都千代田区岩本町2-8-2(地図)
- 周辺のお店:ぐるなび 秋葉原×喫茶店・軽食