先日目に入った、こちらの記事が気になりました。
ブログに寄せられた
「お気に入りの飲食店のTwitterアカウントをフォローしたにも関わらず、フォロー返ししないとは礼節に反している! けしからん!」
という意見に対して、ブログ主が、
「同意見。我々客からすると、メッセージを送れないのでストレスになる。満足度が減る。情報発信をしたいだけなら、ホームページですればいい」
と同調している形。意訳なので、詳しくは元記事を参照ください。この件については、客視点と店視点、それぞれの主張があるかと思いますが、ここでは、一人のTwitterユーザーとしてツッコませていただきます。
Twitterに「正しい使い方」は存在しない
一言でまとめてしまえば、記事タイトルに書いた通り。現実の店舗での礼節は別として、あなたの語るその価値観は、Twitterにおいては絶対ではないし、そんな決まり事はどこにもない。それ以上でもそれ以下でもない。
屋号で登録してTwitterをやっているということは商売目的に違いありません。
フォロワーはお客さまでしょう?
なぜフォロー返しをしないんですか?
何か勘違いしてませんか?
「違いありません」と断言できるかどうかはともかく、店名でTwitterアカウントを登録しているのであれば、それは確かに宣伝目的だと想像はできる。そこに、異存はありません。
だけど、「フォロワーはお客さまでしょう? なぜフォロー返しをしないんですか?」は、ちょっとおかしい。店のアカウントだからと言って、客全員をフォローする義務はないし、フォローしない=礼儀知らずというのも、それこそ “何か勘違いして” いるように感じる。
その理屈で言うと、例えばはてなブログの公式Twitterアカウント(@hatenablog)はユーザー全員をフォローした上で、誰かが記事を投稿するたびにそれをツイートしなくてはならなくなる。それに、NHK広報局(@NHK_PR)はテレビを持つ全日本国民をフォローする必要が出てくるのではないかと。
もちろん、Twitterを利用するにあたって、最低限の「やってはいけないこと」や「マナー」はあるでしょう。スパム行為はダメだとか、他のユーザーに罵詈雑言を浴びせかけるのはマナー違反だとか。
けれど、「フォローを返さなくてはいけない」なんてルールは、存在しない。そんな「自分ルール」をいきなり押し付けられても、相手からすれば、「この人は何を言っているんだ……」としか感じられないのでは。
毎週食べに通う人をフォローせずに、一年に一回来るか来ないかレベルのブロガーにはフォローしたり、媚売りコメントつけたり、ああ正直気持ち悪いです。
こうも書いていますが、そりゃあ宣伝してもらえるなら、自分もそれをリツイートするべく、フォローするんじゃないかと。「毎週食べに通う人をフォローせず」とあるけれど、どのアカウントが「毎週食べに通う人」かって、お店側から分かるのかな?
もし余程の常連で、「お店のアカウント、フォローしましたよ!良かったらフォロー返してください!」とでも口頭で伝え、了承された上で、忘れられスルーされているのであれば、同情の余地はありますが。
つまり、こゆこと。
店「Twitterを始めました!(交流目的とは言っていない)」
ダイレクトメッセージ、ひいてはTwitterである必要性
もいっこ引っかかったのが、「フォロー返しされないとダイレクトメッセージを送れない」という言説。文面だけ見れば、Twitterの仕様を書いているだけですが。
「店主からフォロー返しされてないと、ダイレクトメッセージで謝辞や不満を伝えられないんです。せっかく美味しくて、接客や雰囲気が良くて満足しても、謝辞を伝えられないことでストレスを感じ、顧客満足度が下がってしまうように感じてます」
(Twitterユーザーが “フォロー返し” をしない飲食店に不快感「商売舐めてますよね」「数年選手でもう天狗ですか?」 | ロケットニュース24)
ロケットニュース24の記事では、冒頭の記事の管理人さんに詳しく聞いたところ、このような返答があった、と記しています。
ツッコミたいのは、「わざわざダイレクトメッセージで伝える必要があるの?」という点。普通に「@」をつけて、リプライで送ればいいんじゃない?と言いたくなる。
冒頭の記事の筆者は、 “(他人に知られたくない感想を伝えたい場合)” とも補足しています。でもそれこそ、メールで送るとか、店舗内のアンケート用紙に記入するとか、店主に直接伝えるとか、方法はいくらでもあるんじゃないかしら。そこまでTwitterにこだわる理由がわからない。
“某食べ歩きフリークさん” からのメッセージということで、おそらくかなりの熱を持って、食べ歩きに取り組んでおられるのでしょう。
でもだからと言って、 “謝辞を伝えられないことでストレスを感じ” てしまうのは、ちょっと行きすぎた、重すぎる愛なのでは。過剰なクレーマーになりかねない、「お客様は神様」と似た匂いを感じる。「我は神だ」と自ら語る客は、超怖い。
「謝辞」って、ちょっと帰り際に「おいしかったよー」「ここが良かったよー」などの声掛けをするとか、アンケートに記入するとか、そういうものじゃないのかな?
無理に伝える必要のあるものでもないし、そこまで感動、あるいは文句があって伝えたいのであれば、手紙やメールといった直接的な手段の方が、伝わりやすいんじゃないかと思う。140字の制限もないしね。
フォローされない=「仲間はずれ」?
この件に限らず、Twitterを見ているとたまに「フォロバ*1されないんだけど! 最悪!」みたいな文言がリツイートで回ってくることがある。そのたびに、そんなに激おこぷんぷん丸にならなくたっていいじゃない、と思います。
Twitterの特色のひとつとして、「ゆるく繋がれるコミュニケーションの場」といった、「ゆるさ」を挙げる人は少なくない。有名無名に関係なく、誰をフォローしたっていいし、いつフォローを外したっていい。
ところが一方では、独特のローカルルールや、自ら無意識に縛りを課すことによって、息苦しさを感じている人も相当数いるように見える。おはあり*2、ほかえり*3フォロー返しは当たり前。リプライは絶対に返す。「ふぁぼ」*4のルール。などなど。
人それぞれ、自由な使い方があって然るべきだけれど、それを他人にまで強要するのは、正直に言って、迷惑極まりない。
フォロー云々に関しては、そもそも「相互フォローしていないと交流してはいけない」なんて決まりはないし、仲間はずれにされているわけでもない。
気になる人がいればラブコールをかければいいし、リプライが飛んできたら自由に応対すればいい。急に訳知り顔で「よう、5年ぶりだな……」なんて言われたらびっくりするけど。だれやねん!
実際、僕のタイムラインには、お互いにフォローしていないけど、リストに入れて交流しているようなユーザーさんもいます。
リプライを飛ばされたら反応するし、エゴサーチして「あ、あ、ありがとうごじゃる、デュフフフフwww」なんてこっちからツイートすることもある。そんなんでいいんじゃないかと。
ゆるふわ系、だけど魑魅魍魎が跋扈する短文メディアこと、Twitter。ゆるく楽しく使ってまいりませう。