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アンドレアス・グルスキー展に行ってきた

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 今日は仕事が休みだったので、国立新美術館で開催中の「アンドレアス・グルスキー展」を観覧してきました。

 

 ANDREAS GURSKY|アンドレアス・グルスキー展

 

 暇な休日にぶらっと美術館に行くことはよくあるけれど、実は写真家さんの個展をちゃんと観覧するのは初めて。もちろん、写真に関しては全くの素人です。というか、そもそも芸術全般がそうですが。

 そのため、前情報も特になし、なんとなーくチラシが目に入ったから、という、完全な興味本位で足を運ぶこととなったのですが、想像以上に楽しむことができました。写真って、おもしろ!

 

 まず、とにかく迫力がすごかった。小さな作品はノートほどの大きさで、「写真」としても現実的なサイズだったのだけれど、基本的に展示されている作品はどれもこれもびっくりするほどデカい。壁一面に巨大な写真が飾られており、圧倒された。

 さらに、それら作品は非常に大きいものでありながら、めちゃくちゃ細かいものが多い。証券取引所の人々や、一室一室が見える集合住宅、工場で作業する従業員、ライブ会場の群衆などなど、細部までしっかりと写されていてすごい。

 特に大勢の人間が写っている作品は、一人一人の事細やかな表情まで確認することができ、見ていて飽きない。本特別展での作品数は60ちょいと、特段多いわけではないが、そんな作品の特徴もあって、時間をかけて楽しく鑑賞することができた。

 

 一方で、個人的に惹かれた作品が、衛星写真を加工したという「オーシャン」のシリーズ。

 遠くから見ると、ただの海と島の写真に過ぎないのだけど、近くで見ると、海の濃淡が丁寧に描かれていて思わず見入ってしまった。陸地付近と沖では色の深みが違ったり、インクを零したような表現や渦のような箇所があったりと、さながら絵画作品のような面白さがあった。

 

 そしてもうひとつ、タイのチャオプラヤ—側を撮ったらしい「バンコク」の作品群。

 こちらは遠くから見ると、泡だか波だかよく分からない線と丸状の光が写っているように見える。何だろうと思って少しずつ近づいていくと、それが波打つ川面だと分かるようになる。まるで絵画みたいだなーと思って一番近くで見ると……それがただの川ではなく、ゴミや油の漂うものだと理解する。

 

 この、段階的に作品の見方が変わっていく感じが、騙されたみたいでおもしろかった。目録の説明にもあったけれど、芸術作品を見ながら、最終的に現実に引き戻されるという不安定さ。なかなか味わえない感覚でした。

 

 一連の作品を鑑賞して感じたのが、写真って基本的にはリアルなものなのに、一線を越えると曖昧なものになるんじゃないか、ということ。

 それらは、現実の風景や物体の一瞬をそのまま切り取った「写真」であるはずなのに、まるで人間が一から描き出した「絵画」のように感じてしまった。

 

 デジタルによる編集加工をしているとは言え、それらは全て現実に存在していた実像。それなのに、「写真」として写し出されたことで、そしてそれが鮮明で圧倒的であればあるほど、どこか現実感のない虚像に見えてしまうような、そんな不思議な感覚。

 僕にとっての「写真」と言えば単なる記録物でしかありえなかったのに、その印象をぶち壊されたような思いです。とっても楽しめたので、機会があればいろんな写真家さんの作品にももっと触れてみたいな。

 

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