僕は、いわゆる「二次創作物」が大好きです。
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「二次創作小説」との出会い
初めて二次創作に触れたのは、中学3年生のとき。友達の影響で、『新世紀エヴァンゲリオン』にハマっていた頃のことでした。
アニメを全話観た。劇場版も観た。漫画版も当時の最新巻まで読んだ。サントラもBOOK OFFで買い集めた。ゲームもプレイした。そして……物足りなくなってしまった。
エヴァが好きで好きでたまらない。でも、公式に出ている作品はひと通り消化してしまった。くそう。この僕のエヴァ愛をどこにぶつければいいんだー!!
――などと叫んでいたとき、ネットサーフィンをする中で、不可思議なサイトを見つけました。
そこでは、エヴァの話が展開されているはずなのに、何かが違いました。シンジが男前だったり。トウジが一緒に戦っていたり。アスカがお嫁さんだったり。レイが明るかったり。使徒が女の子だったり。なんじゃこりゃー!!
これが、「二次創作小説」との出会い。
びっくりした。そんな解釈があったのかと。そんな続きが想像できるのかと。そんな設定が思いつくのかと。
自分と同じ、公式とは何も関係のないはずのファンが描く物語たちは独特で、とても魅力的だった。あらゆる可能性があるのだと。どんな妄想も形にできるのだと。最高の娯楽を見つけた気分だった。
それからは、ただただSSを読み漁る日々でした。その中で、様々なジャンルを知り、カップリングの概念を知り、桃色の世界と、腐った世界(語弊有)を知りました。
中学生ながら、読んでいて「稚拙だなー」と思う作品もあり、「その展開はどうなんだ」と突っ込むような作品もあり、多種多様な創作物の海であっぷあっぷする日々。
「二次創作小説」は、僕に可能性と想像性を教えてくれました。
「同人音楽」との出会い
そんなあるとき、SSの海を航海する中で、僕はまた別の海があることに気付きました。そこには、聴き覚えのあるメロディが流れています。だけど……聴いたことがあるはずなのに、どこかが違う。
メロディは同じなのに、楽器が違う。後ろで流れているインストが違う。歌も聴こえてきた。でも、こっちも歌声が違う。歌詞が違う。これは、なんだろう。
これが、「同人音楽」との出会い。
知っている曲なのに、知らない曲だー!という驚き。表現を変えるだけで、こんなに違いが出るのかと。まるで違う曲じゃないかと。
クラシックのはずがロックだったり。ゲームの曲がかっこよくなってたり。たくさんの曲を繋げたり。耳が「知っているのに知らない」という感覚が面白くて、しばらくは様々なアレンジ曲を聴き漁る日々。
「同人音楽」は、僕に可能性と表現の幅を教えてくれました。
今なお変わらぬ「同人」への思い
あれからおよそ10年経った今も、二次創作物のファンであることは変わっていません。だって、おもしろいんだもの。いろいろな解釈があって。考え方があって。
最近の同人界隈を見ていると、著作権や金儲けの問題な、原作との立ち位置・関係についての議論が活発になっている印象があります。その議論については、積極的に成されるべきだと思う。創り手ではなく、一人の消費者である自分に偉そうなことは言えないけれど。
でも、「二次創作は全てが悪だ」という意見に対しては、ちょっと待ったと僕は言いたい。
だって、そこには少なからず「価値」がある。原作そのもののコピーでない限りは、その創り手による付加価値が間違いなく存在している。それは可愛い絵柄だったり、独特の解釈だったり、癖のあるアレンジだったり。
確かに、他人の尻馬に乗った、金儲けが目的の、言わば「愛のない」表現者もいるかもしれない。けれど、そこに一次創作物とは違う、新しい価値が存在している以上は、二次創作そのものを全否定することはできないと思う。もちろん、最低限の守るべきラインは必要だけれど。
考えてみれば、コミックマーケットという、あれだけの規模の即売会が存在している以上、二次創作はもう日本におけるひとつの「文化」と言えるんじゃないかしら。アニメ・オタク文化の中に内包された、ひとつのジャンルとしての。
これから、この文化がどうなっていくかは分からない。けれど、たくさんの人が好きで楽しんでいるこの大きなひとつの「場」が、この先も消えることなく続いていって欲しい。1ファンとして、心からそう思います。