訳もわからず「ふざけんじゃねえ!」と叫びたくなった。
なんだよ、なんなんだよ自殺って。
冒頭で引用した動画は、少し前からネットで話題になり、気になっていたドキュメンタリー映画『自殺者1万人を救う戦い」(SAVING 10,000 - Winning a War on Suicide in Japan)。
監督は、駐日欧州連合代表部の職員さんとのこと。日本の自殺の問題について、外国人の視点から問題提起をしようと思い、映画製作に至ったそうです。
今回、無料公開されたということで、早速視聴してきた。その結果、打ちのめされ、頭の中がごちゃごちゃで、現在進行形でよく分からない状態。
日本人にとって「自殺」はあまりに身近になり過ぎて、逆にその行為やそれが及ぼす影響についての実感がないのかもしれない。
それは、連日のメディアの報道で。
どこの、誰が、どのように、何が原因で。
それは、数多くの創作物で。
小説で、ドラマで、映画で。
それは、通勤通学の駅のホームで。
日常的に耳にする人身事故で。
感覚が麻痺してしまっているんじゃないかと、特に人身事故のアナウンスに対する反応を見ていて思う。舌打ちし、駅員に文句を言い、人様に迷惑をかけるなんて最低、などと罵るのは当たり前。――いや、その当たり前はおかしいだろう。人が亡くなっているかもしれないのに。
それらの反応を見ていると、なんとなく、「自殺」という存在が触れてはいけないものであるような印象を受ける。自分には無関係だの、自己責任だの、精神異常だの、弱いから死んだだの、適当な理由をつけて納得してポイですよ。
無関係だからスルーする分にはまだわかるが、「自殺者は弱者」というレッテルをぺたぺた貼り付けて上から嘲笑っているのは何なんだ。娯楽として面白がるなんてのは言語道断。訳がわからない。
…などと、日頃の文句を書き続けるのもよろしくないので、映画の内容に関して。
最初から最後まで様々な人のインタビューがあり、信じられないような自殺の現状の話があり、でもどこか納得できてしまうような内容が大半だった。
一気に観たため、今もまだ頭の中で整理ができていない。一応、チャプターで分けられているので、それぞれについてまとめればうまく整理できるのだろうけど。
その中でも心打たれたのが、最後の元警察官の方へのインタビュー。
どうして命を絶とうとしている人を助けようとしないのか。
どうして見て見ぬふりを続けるのか。
どうして人の命を一番に考えないのか。
当たり前なはずのことなのに、多くの人が目を背けている現実。それを当たり前に問いかける声が、強く印象に残りました。
もう答えは出てます。
何をしたらいいかって分かってます。
しかしまだしようとしない。
私は許せないと思う。
動画の最後まで響き続ける、東尋坊の波音が、今も耳から離れない。
具体的にどうこうしようとする必要はないと思う。ただ、僕らがするべきは、自分の周りの人をもっと見ること。目を逸らさないこと。もしかしたら、それだけで、誰かを救えているのかもしれない。