読書会の目的とは?『読書会入門』を読んで“読書”に思いを馳せる

『読書会入門』感想レビュー

読書会は、本を読む一つの技法です。

(山本多津也 著『読書会入門――人が本で交わる場所』Kindle版 位置No.67)

 『読書会入門――人が本で交わる場所』(幻冬舎)は、文字どおり「読書会」の開催方法と魅力、そしてその効用を教えてくれる本だ。

 複数人で集まり、1冊の本について語り合ったり、お互いにおすすめの本を紹介したり、朗読をしたり。そんな集まりに、一度は参加したことがあるという人も多いんじゃないかと思う。本書が取り扱うのも、まさしくそんな「読書会」だ。

 ただしその内容は、読む前に想像していた「読書会のハウツー」的なイメージとはかけ離れたものだった。

 学校や会社で半強制的に参加させられる、堅苦しいイメージの「会」とは別物。本書で紐解かれる「読書会」とは、読書を通して何かに活かそうとする「学びの場」でもあると同時に、本を読まない人でも思わず参加したくなるような、そして他人と話すのが苦手な人でも興味を引かれそうな、「楽しいイベント」を指すものだった。

 僕らにとって身近な「本」という存在を、ますます身近なものとしてくれそうな、心惹かれる催し物。本書はそんな「読書会」を通して、もともと読書が好きな人には新たな「読み方」を、普段はあまり読書をしない人には、その「楽しみ方」を教えてくれる。

 「読書会」というテーマにとどまらず、「本」と「読書」の魅力を再発見させてくれる、素敵な本でした。

スポンサーリンク
 

続きを読む

「全部読まなくていい」けれど、おもしろいから800ページ読めちゃった!『独学大全』はいいぞ

f:id:ornith:20201113223059j:plain

学び続けることは、うまく学ぶことよりもずっと難しく、また遥かに重要である。

(読書猿 著『独学大全』P.55より)

 前々からたびたび読み返してお世話になっていた、『アイデア大全』

 その著者である読書猿@kurubushi_rmさんの新刊『独学大全』が、この秋に発売されました。迷わずAmazonで購入し、届いた箱をワクワクしながら開けてみたところ……想像以上の分厚さに絶句。

 ……辞書じゃん!!!

 ページ数にして、788ページ。巻末の索引まで含めれば、800ページを超える極厚本でございます。

 手元にあった辞書(『字統』)と比べればまだ薄いものの、それでもこのボリューム感は紛れもなく辞書レベル。しかも必要に応じて項目を探す辞書とは異なり、こちらはれっきとした「読み物」である。ふぇぇ……こんなの読み切れる自信がないよぉ……。

 ――ところがどっこい、読めちゃった!

 そう、この極厚鈍器が届いてから、約1ヶ月。スキマ時間に読み進めていった結果、問題なく読めてしまったのです。少しずつだったので時間はかかったものの、1ページたりとも読み飛ばすことなく、最後まで。これだけ長いと途中でダレてもおかしくないところですが、そんなこともありませんでした。

 言い換えれば、それだけ「 “読み物” としてもおもしろかった」ということ。これは間違いなく断言できる。次へ次へと読み進めるのが楽しくて、いつも本を開くのが本気で楽しみに感じられていたくらい。1冊でこのボリュームの本を楽しく完読できたのは、いつ以来だろう……? ってか、初めて……?

 そんなわけで、今回はそんな『独学大全』について。 全体の感想ではなく、第1部を読んで感じたことをサクッとまとめました。

スポンサーリンク
 

続きを読む

神保町『エチオピア 本店』で辛い食べ物が得意じゃないのに「5倍」を頼んだら軽く後悔したけれど最後は満ち足りた気持ちでお店を後にできた話

f:id:ornith:20201030144811j:plain

 辛い食べものを好む人が話す「辛くない」は、当てにならない。

 なぜ僕は、そんな当たり前のことを忘れてしまっていたのだろうか。

 考えてみれば、至極当然である。普段から辛いものを食べ慣れている彼らと、食べ慣れていない自分。両者の味覚が同じであるはずがないのだ。「このくらいじゃぜんぜん辛くないし余裕だよ〜」と話す人の「余裕」とは、「普段から食べているから」こその感覚であって、決して一般的なものではない。

 なればこそ、辛い食べものを好む人の「辛くない」という感想は、絶対に参考にしてはいけない。たとえそれが、口コミサイトで評価を集めているコメントだったとしても、である。なぜなら、「評価を付けている人たちも辛いものが好きである可能性が高い」からだ。

 そう、スタンド使いが引かれ合うように、辛いもの好き同士は引かれ合う。

 そして僕ら素人は、スタンド使い同士の戦いに割って入ることなどできない――。そんなことを、改めて学んだ1日だった。辛味の高みを目指すには、圧倒的に “”“覚悟”“” が不足していた……。

 

続きを読む

映画『羅小黒戦記』感想!待ちに待った日本語吹替版を観てきたよ

映画『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』パンフレット

 映画『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』を観てきました。

 前々からネット上で評判を聞いていて、ずーっと気になっていた作品。業界でも注目を集めているという噂の中国アニメの、待ちに待った日本語吹き替え版。それが本日から公開されるということで、居ても立っても居られずに映画館へ突撃してきた格好です。

 いやー、想像以上におもしろかった!!

 何と言っても、観てきた人が口を揃えて話していた「アクションがすごい」の “すごさ” が期待以上。キャラクターもみんな魅力的で、声を当てた声優さんの演技も随所で光っていました。花澤香菜さんの少年ボイスは言わずもがな最高だし、宮野真守さんvs櫻井孝宏さんの戦闘シーンの掛け合いがアツいのなんの!

 ってなわけで、以下ざっくり感想をば。

 

スポンサーリンク
 

続きを読む

編集の極意、在宅勤務の才能、凡人が天才に勝つ方法〜今月気になった話題(2020/10)

f:id:ornith:20200602165742p:plain

毎月恒例、「今月のブックマークを振り返ろう」のコーナー、今回は2020年10月編です。2014〜2019年の10月の振り返りも末尾に掲載しているので、お暇な方はどーぞ!

 

続きを読む