ぐるりみち。

平成生まれのフリーライターのブログ。本・映画・マンガ・アニメの各種レビューに、旅行・グルメ・街歩き日記など。

『恋する寄生虫』を読んで、人間の愛おしい「バグ」に思いを馳せる

 1年に2、3冊ほど、本を「ジャケ買い」することがある。

 本を買う際にはネットの口コミを頼りにし、すっかり電子書籍で読む習慣が染みついた近頃。事前知識も誰からのおすすめもなく新刊を手にする機会はとんと減ったが、それでもふと、書店に並ぶ本に引き寄せられることがある。

 著者名に見覚えがあるわけでなく、イラストや装丁に既視感を覚えるでもなく、「なんとなく」で手が伸びてしまう本。そんなことは年に何回もないため、普段は選り好みしがちな自分もたまには己の直感を信じてみたくなる。実際問題として、 “直感” が当たるかどうかは五分五分といったところなのだけれど。

 その直感に従って手に取ったうちの1冊が、この『恋する寄生虫』という本だった。過去形なのは、本書を買ったのが結構前──2016年10月のことだったので。なんとなく気になってレジまで持っていったはいいものの、電子でポチった本の消化を優先するあまり、読むのを忘れていたのです。いやはや、もったいない。

 そう、本当に “もったいな” かった。連休の気まぐれに本書を片手に外に出て、普段は入らないような喫茶店に迷いこみ、アイスコーヒーをちびちびしつつページをめくり始めたら、いつの間にか読みふけっていた。2、3日かけてゆっくり読むつもりが、1日で読み終えてしまった。……本当に、おもしろかったのだ。

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30年以上のロングセラーには理由がある!『日本語の作文技術』で作文の基礎を学ぶ

 どのような分野においても、大勢に支持される「入門書」の存在がある。

 学問にせよ技術にせよ、何かを学ぶにあたって最初に読むことを勧められる1冊。常に新しい本が出版され、数多くのハウツー本が並ぶ書店の棚からも撤去されることなく、長年にわたって存在感を発揮し続ける良書。そんな「最初の1冊」が、きっとどのようなジャンルにもあるはずだ。

 こと「文章」の分野においても、多くの人の支持を集める「入門書」がいくつか挙げられる。『文章読本』の名を冠した良書は数多く、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫といった文豪たちのほか、丸谷才一や井上ひさしによる同名書籍も評価が高い*1

 とはいえ、数十年も前に書かれたそれらの本はどこか古めかしくも感じられる。どちらかと言えば近年出版されたハウツー本のほうが若者には親しみやすく、大勢に読まれているのではないだろうか。僕自身、これまでに読んできた「文章本」には00年代以降の本が多く、ブログでは「最初の1冊」として『新しい文章力の教室』(2015年発売)を勧めている*2。ビジネスシーンやインターネット上で書く文章に限れば、この本に書かれている知識だけでも事足りるように感じられたからだ。

 しかし一方で、「これだけは読んでおけ!」と並みいるライターが勧める本の存在も目に入っており、それがずっと気になっていた。仕事の企画書だろうが趣味のブログだろうが本格的な小説執筆だろうが関係なく、ありとあらゆる「文章」を書くにあたっては抑えておきたい──いや、抑えておかねばならない基礎がまとめられた必読書。それが、『日本語の作文技術』だ。

 

 

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強さの源は“普通”であること?プロゲーマーが語る勝負論『1日ひとつだけ、強くなる。』

 はじめは「勝ち方」について書いた本なのかと思っていた。世界で活躍するトップゲーマーが教える、「勝負に勝つ」ための考え方。そこにはビジネスシーンにも応用できる勝負論が書かれており、ゆえにビジネスマンからも高い評価を得ている1冊なのだ──と、そのように思っていた。

 しかし読み進めていくうちに、その認識が間違っていたことを知る。筆者が論じていたのは「勝ち方」ではなく「勝ち続ける」ための方法であり、ひいては「戦い続ける」ための考え方だった。何もゲームに限った話ではない。仕事や私生活にも当てはまる「成長」のための視点が、本書には散りばめられている。

 しかも、それで終わりではない。「勝つ」「戦い続ける」「成長する」というそれまでの認識は、読み終える頃には別のものに上書きされてしまっていた。残ったのは、一口に言えば「自己肯定感」。徹底的に自分と向き合い、理解し、認めて、日々を前向きに過ごしていくための考え方が、この本には記されている。

 自身を突き動かす原動力はどこにあり、どのように育んでいけばいいのか──。梅原大吾さんの著書『1日ひとつだけ、強くなる。』は、勝負事に留まらない「生き方」を教えてくれる1冊だ。後ろ向きになりがちな自分ですら感化される部分が多く、前に進むためのモチベーションを得ることができた。

 

 

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Prime Musicでおすすめのアルバムを淡々と紹介する①(ゲーム音楽多め)

 Amazonのプライム会員であれば追加料金なしで利用することができる、「Amazon Prime Music」。ほかの聴き放題サービスには登録していなくても、「せっかくの会員特典だし、たまに使ってるよー」という人も少なくないのではないかしら。

 とはいえ、最新曲が聴き放題対象になっていることは稀であり、人気アーティストの曲もほとんどないのが実情。ほかの聴き放題サービスと同等のラインナップを楽しむには「Amazon Music Unlimited」に申し込む必要があり、「結局は月額課金か……」と微妙な顔になるわけです。

 

 しかし一部ジャンルに限っていえば、Prime Musicだけでも楽しめる──というか、想像以上に楽曲が充実していると見ることもできます。

 

 個人的にアツいのは、やはりゲーム音楽ですね。昔から好きな『イース』や『軌跡』シリーズを擁するファルコム作品のアルバムの大多数を取りそろえているほか、『ペルソナ』『アトリエ』といったシリーズのサウンドトラックも充実。作業用BGMとしてお世話になっています。

 また意外と多いのが、「ボーカロイド」「歌ってみた」系のアルバム。商業・同人を問わず結構な数の作品が聴き放題対象となっており、ちょっと懐かしいCDも見つかったりと、検索ワードを変えつつ探すのが楽しい。売ってしまったCDと再会することもあり、こちらもしばしば聴いています。

 というわけで、ひさしぶりにPrime Musicの対象作品を検索しつつ、個人的にお気に入りの作品をいくつかピックアップしてみました。

 

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薄い本や同人CDを売ってモノを減らしている今日この頃

 同人作品を買い集めるようになって、はや10年。
 ここ最近、薄い本や自主制作CDを少しずつ売りに出しています。

 というのも、さすがにモノが増えすぎたので……。ちょうど新しくパソコンを買うための資金が欲しかったこともあり、そこそこ高額で買い取ってくれる作品を中心に売却している格好です。

駿河屋の買取書・レシート

 さすがに諭吉レベルのプレミアがついている商品はないものの、数千円単位で買い取ってくれるケースもちらほら。

 即売会で手にした当時の価格が500〜1,000円くらいなので、単品で見れば得している場合もあるのは嬉しい。ちなみに、有名な大手サークルの作品ほど高額で買い取ってもえらえるというわけでもなく、むしろ委託販売のない中小サークルのほうが良いお値段がつく模様。あとは「会場限定特典」も強いっすね。

 

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「藝祭」という異文化体験

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 この2、3年ほど、「藝祭」への参加が季節イベントになりつつある僕です。旧字の「藝」を頂く「祭」りとくれば──そう、東京藝術大学の学園祭でございます。

 上野公園の敷地内にあるキャンパスには多くの出店が立ち並び、ステージでは演奏やトークショーが行われ、学生も卒業生も保護者も一般客も巻きこんで、やんややんやと楽しむ3日間。展示もあり、ミスコンもあり──と、パッと思い浮かぶ「学園祭」のイメージそのままの印象っすね。

 ただし、一見すると普通の学園祭でも、そこはやっぱり天下の「藝大」クオリティ。絵画デザイン映像建築など数々の展示作品を鑑賞することができ、さらには日本舞踊筝曲オペラオーケストラなどのコンサートも充実。しかも当然、そのすべてが無料で楽しめるわけです。パねえ。

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 また藝祭といえば、学部ごとに造られた巨大な「神輿」が名物。初日にはパレードがあるほか、期間中はキャンパス内や上野の街中でも展示されるそう。どれもこれも個性的な神輿は、なかなかに見応えがあります。青空の下、巨大なハンバーガーが鎮座していたのは、昨年だったかしら……。

 大学の敷地内のほか、上野公園の噴水広場近くではアートマーケットも開催。絵画や陶器をはじめ、多彩なデザインのアクセサリーやTシャツなども販売されており、毎年ながら盛況。ここでしか買えないだけあって、普段は服飾にお金をかけない自分ですら財布の紐が緩もうというもの。コミケ感覚で買っちゃいそうで怖い……。

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 で、そんな藝祭をふらっと覗きに行っている自分ではございますが……ぶっちゃけ、芸術についてはド素人。たまーに美術館へ足を運ぶことはあれど、知識らしい知識はなく、楽しみ方すらよくわかっていない節がある人間です。

 作品を眺めて抱く感想といえば、「すげー」とか「おもしれー」とか「なんとなくこれ好きー」とか、そんな感じ。それでも “なんとなく” ながら感情を動かされつつ、精密だったり独創的だったりする作品を眺めていて飽きることはないので、毎年のように訪れているわけです。……なんたって、無料だから!

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 でも実際のところ、自分にはよくわからないもの──言うなれば「異文化」的な存在を目の当たりにして得られるものって、かなり大きいんじゃないかとも思うんですよね。

 映画を観て泣くとか、マンガを読んで爆笑するとか、音楽を聴いて癒やされるとか。そのような自分が慣れ親しんでいる「作品」からは得られない、独特の刺激を感じられるというか。わかりやすく感情を動かされるでもなく、単純で素直な感想を抱くでもなく。安易には言語化できない、特別な体験としての「鑑賞」の態度を取ることによって、自分のなかに何らかの感慨が生まれ、不思議と感傷に浸れる──そんなイメージです。

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この後、むちゃくちゃ会いに行った。

 ──などとまあ、素人目線の与太話はともかく。

 「学校」というコミュニティから離れて久しいアラサーとしては、ひとりでぶらぶら歩くだけでも並々ならぬ刺激を得られる「学園祭」という空間を、心底から楽しむことができたのでした。屋台も充実しているので、まったくつまらないという人はいないはず。個人的には展示を推したいところではあるけれど。

 2018年の藝祭は、9月9日(日)までの開催。上野公園のアートマーケットをふらっと覗くだけでも楽しめると思うので、お暇な方は足を運んでみてはいかがでしょ。

 それと、学園祭とは関係ないけれど……。「芸術系の学校」というだけで、校舎内を歩くだけでもドキドキワクワクしてくるというか、妙なエモさが感じられるのは僕だけかしら……。「どこでカメラを構えても絵になる(ように感じる)」のは、お祭りの空気感があるがゆえ……?

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アヌビス神の後ろにメジェド様ァーーー!!

 

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