ぐるりみち。

平成生まれのフリーライターのブログ。本・映画・マンガ・アニメの各種レビューに、旅行・グルメ・街歩き日記など。

Webライター・ブロガーとして活動の幅を広げたい人のためのヒント本『(略)毎月20万円以上稼げるようになるための強化書』

 ここ数年、「Webライター」の数が急速に増えつつある、という話がある。

 実情はともかくとして、00年代から数えれば何度目かのブログブームがあり、SNSの普及があり、インターネット上で文章を書く人、それによってお金を得る人の数は増えているようにも感じる。

 しかし一方で、「Webライター」と呼ばれる人たちが実際にどのように働いているのかは、外から見るかぎりでは、よくわからない。

 ……いや、正直な話、中から見てもさっぱりわからぬ。僕自身はうっかり勢いで「ライター」を名乗るようになった人間ということもあって、ほかの人がどのように案件を得ているのかは知らないのです。この世界の片隅で、シコシコとキーボードを叩いている泡沫ライター、それが私。

 

 他方では、外からも内からも「何をしているか」がまだ割とイメージしやすい、流行りのWebライターも近頃は注目されつつある。テレビや雑誌なんかでも、「今、ライターがアツい!」といった文句と共に取り上げられている、旬の “ライター” の代表格。

 それが、クラウドソーシングをホームに活動している「在宅ライター」たちだ。

 Twitterを見ていても、「クラウドソーシングでライターやってます!」という文言をプロフィール欄に載せている人が最近は増えた気がする。専業・副業に関係なく、今、特にアツいのが、クラウドソーシングを利用した在宅ライター。そのように言えるかもしれない。

 

 

 今回読んだのは、そんなWebライター向けのハウツー本『頑張ってるのに稼げない現役Webライターが毎月20万円以上稼げるようになるための強化書』です。タイトルが長いので、普通に読み飛ばすところだったけれど―― “教科書” じゃなく、 “強化書” なんですね。

 そう、本書は「初心者向けのライティング講座」や「Webライターになるための基礎知識と方法を紐解いたハウツー本」といった志向の内容ではございません。

 どちらかと言えば、「すでにWebライターとして活動している人のためのヒント集」と言えるでしょうか。チュートリアルはすでに終えた冒険者に向けた、ステータスアップの道具。

 

 文章術の本でもなければ、初心者向けの「入門書」でもない。Webライターが「ちゃんと稼ぐために知っておくべきこと」をこの本に詰め込みました。

吉見夏実『頑張ってるのに稼げない現役Webライターが毎月20万円以上稼げるようになるための強化書』P.3より

 

 主にクラウドソーシングのユーザー目線の内容となってはいますが、当該サービスをほとんど使っていない自分のような人間にとっても、参考になる情報・考え方が多く書かれておりました。

 

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Webライターの「仕事のやり方」を学ぶ

 冒頭でも引用しましたが、本書に書かれているのは、 “Webライターが「ちゃんと稼ぐために知っておくべきこと」” 。具体的には――とあれこれと文章で説明するよりは、目次を見てもらったほうが早いかもしれません。

 

 目次 
  • 第1章 あなたがWebライターとして稼げていない「5つの原因」
  • 第2章 稼げる人がやっている、「クライアントが求める原稿を作る」習慣
  • 第3章 稼げる人がやっている、「早く書く/原稿の質を上げる」習慣
  • 第4章 稼げる人がやっている、「受けるべき仕事、避けるべき仕事を見分ける」習慣
  • 第5章 稼げる人がやっている、「ライターとしての評価を上げる」習慣
  • 第6章 稼げる人がやっている、「次につなげる活動をする」習慣

 

 ……うん! 文章術の “ぶ” の字もありませんね!

 このように目次を見てもわかるように、本書が取り上げているのは、ライターとしての「仕事のやり方」であると言えます。

 クライアントとの、やり取りの仕方。
 原稿の質を上げるための、作業の進め方。
 収益を最大化するための、仕事の選び方。
 ライターとして成長するための、評価の上げ方。
 継続して案件を獲得するための、普段の立ち回り方。

 筆者によれば、これらはすべて、稼いでいるWebライターが当たり前に実践していることなのだとか。つまり逆に、稼げていないWebライターはこれらをできていないか、そもそも知らない可能性がある。――そう考えたことが、本書を執筆するきっかけのひとつだったそうです。

 

 実際問題として、「そもそもやり方を知らない」人は増えていると思うんですよね。……というか、僕自身もその1人ですし。

 クライアントとのやり取りにしても作業の進め方にしても、独立当初は自分で考えて決めるしかなく、常に不安と隣り合わせだったことを覚えています(今も割とそうですが)。こういった悩みは、未経験でライター活動を始めた人に共通してある問題なんじゃないかと。

 おそらく、以前はそんなこともなかったと思うんですよね。企業なり編集プロダクションなりに所属して下積みから始めるとか、師匠的な存在から教わりつつ腕を磨いていくとか、そういった道を経て「ライター」になるのが王道だったのではないかしら*1

 それが今は、クラウドソーシングやブログの流行によって、良くも悪くも「ライター」分野の参入障壁が格段に下がった。その結果、「やり方を知らない」まま活動している人も増えている――そんな印象があります。未経験でも稼げるようになった一方で、一部では格差が広がりつつある。

 

 もともと能力が高く、「やり方」を知っている人がどんどん評価を集めている傍らで、安く買い叩かれているライターも大勢いるという現状。見方によっては、それが例のWELQ問題に結びついたとも言えます。

 そんななか、本書が各章で説明している「習慣」は、そのギャップを小さくするための考え方であるように読めました。

 取り上げられているのは、コツコツと勉強すればまだどうにかなる文章力ではなく、教わらないことには改善するのも難しい、Webライターとしての「仕事のやり方」。問題点をひとつひとつ改善しつつ、最終的には「稼ぐ」ことを目指す1冊となっています。

 

 Webライターに必要な努力は、文章術を磨くことではありません。もちらん文章力も大事ではありますが、それ以外にも、クライアントとのコミュニケーションの取り方、困ったときの対処法、執筆前に準備すべきこと……こうした「ちょっとしたこと」のやり方の違いで、稼げる・稼げないの差が出てくるものです。

吉見夏実『頑張ってるのに稼げない現役Webライターが毎月20万円以上稼げるようになるための強化書』P.5より

 

仕事のやり方に困っている人、活動の幅を広げたい人におすすめの1冊

 たとえば、どこまでの作業を「ライター」の仕事と見なすかの問題。

 文章を書くのは当然ですが、それ以外の部分はどうだろう。フォントの装飾やタグの設定は? 記事中の写真や画像は? ――特にWordPressを使って入稿する場合、そういった設定まわりの作業をどこまで請け負うかは、案件によって異なってくるものかと。そのほかにも、

  • 単価交渉の方法
  • 断るべきグレーな案件の基準
  • 受注するための提案文の書き方
  • セルフブランディングの考え方

など、知っておいて役に立つ知識・考え方が、本書では紹介されています。クライアントに送るメールの事例なども掲載されており、いつも頭を悩ませている自分にはとても参考になりました。あと、普段はそもそも営業活動をしていないため、そのあたりの方法も勉強になった。

 ただし冒頭にも書いたように、本書の主なターゲットは、クラウドソーシングを利用しているWebライター。ネット上での立ち回り方をメインに取り上げているため、取材の方法や企画の考え方などは書かれていません。あくまでも “在宅ライター” 目線の話題が全体を占めている感じです*2

 

 その点、僕自身は「クラウドソーシングを使っていない」「そもそもあまり稼ぐ気がない」「営業らしい営業をしていない」という、本書とは無縁っぽくもある “なんちゃってライター” ……ではあるのですが、そんな自分にとっても本書は勉強になる内容となっており、興味深く読めました。

 ですので、逆に「クラウドソーシングを使っている」「稼ぐ気がある」「営業をしている」もののうまくいっていない方が読めば、おそらくはむちゃくちゃ勉強になるんじゃないかと。Webライターとしての仕事のやり方に不安がある人、活動の幅を広げたい人などにおすすめです。

 加えて、「ネットで検索しても載っていなさそうな情報が多い」という点も、本書の魅力のひとつかと。

 ネット上の記事では、どうしても表面的になぞるだけになってしまいがちな「文章術」の話はほとんどせず、あまり体系化されてこなかった「仕事のやり方」を掻い摘んでまとめた1冊。実践的な指摘が多く、きっと現役のライター・ブロガーの役に立つはずです。

 

 

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*1:もちろん、一口に「ライター」と言っても幅が広いので、場合によるとは思います。

*2:余談ですが、「取材の方法」や「企画の考え方」などについてまとめられた本として、デイリーポータルZの林雄司さんの『ウェブ記事を書くための超基本動作』がむちゃくちゃおもしろかったです。300円(※ただし夏コミにて頒布されていた同人誌)。