ぐるりみち。

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初めて読んだドラクエ漫画は『ドラゴンクエストモンスターズ+』でした

 初めて読んだ「ドラクエ漫画」は、吉崎観音@yosRRXさんの『ドラゴンクエストモンスターズ+』でした。……そうなんです、『ダイの大冒険』でもなければ、『ロトの紋章』でもなかったんですよね。『幻の大地』でも『エデンの戦士たち』でも『天空物語』でも『4コママンガ劇場』でもなく。

 ――というか振り返ってみると、自分が初めて触れた『ドラクエ』のゲーム自体がそもそも、ゲームボーイの『ドラゴンクエストモンスターズ』だった。

 というのも、自分がテレビゲームを遊ぶ年齢になってから発売された、当時の最新作がプレイステーションの『Ⅶ』。「ゲームはみんなで遊ぶもの!」として任天堂ハードしか置いていなかった我が家では、ドラクエ・FFのナンバリングタイトルに触れる機会がなかったのでした。

 ところが、本家『ドラクエ』を知らないわりには、『モンスターズ』にハマりまくっていた自分。モンスター図鑑をコンプリートするのは当然として、対戦も極めるべく配合を繰り返し、はぐれメタルをボコりまくる日々を送っていた。なんとなくだけど、今も配合表を覚えているくらい。

 そのハマりっぷりは、日常生活にまで及ぶほど。ドラクエのモンスターとオリジナルキャラクターとを組み合わせた漫画を “じゆうちょう” に描き描き、まだ幼かった妹に読み聞かせていた覚えがある(恥ずい)。スライムやわたぼうをはじめとする “モンスターズ” が、本当に大好きだった。

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(1) 第5夜より

 そんな自分が、漫画版の『DQM+』に出会って興味を持つのは自然な流れだった。まだ中学生かそこらだった自分には、いろいろな意味で衝撃的な漫画であり、いまだに思い入れのある作品。

 ある作品の「その後」を描いた物語なんてそれまで触れたことがなかったし、自分が操作するゲームの主人公の「勇者」としての葛藤なんて考えたこともなかった。本作をきっかけに『ロト紋』他のドラクエ漫画も読み、さらには『ガンガン』を定期購読するようになったという覚えもある。

 いつだかの引っ越しの際に売って以来、読み返す機会のなかった『DQM+』。このたび電子書籍版を買って一気読みし、懐かしい気持ちになったので、改めて感想をまとめてみました。

 

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ゲーム版の「その後」を描いた物語

 『ドラゴンクエストモンスターズ+』は、2000~2003年に『月刊少年ガンガン』で連載されていた漫画。作者は、『ケロロ軍曹』の吉崎観音さん。最近は某 “フレンズ” な作品で、 “よしざきおにいさん” としてもおなじみですよね。たーのしー!

 本作は、1998年発売のゲーム『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』の後日談を描いた作品。『モンスターズ』のみならず、本家『ドラクエ』の世界観を踏襲した舞台や展開が人気を博しました。後に発売される3DSのリメイク版では、本作の設定が逆輸入されるほど。すっごーい!

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(1) 第1夜より

 『DQM+』の主人公は、「勇者」に憧れる少年・クリオ。テリーとわたぼうが消えたタイジュの国に呼び寄せられ、モンスターマスターとしてテリー捜索の旅に出る。

 初めて本作を読んだときは、ゲーム版をなぞるような展開にわくわくさせられた覚えがある。GBのドット絵でしか見ることのなかったタイジュの国の住人も、よしざきおにいさんの(えっちな)かわいらしい絵柄で描かれていて魅力的。タマゴ鑑定士なんて、胡散臭いイメージしかなかったのに……。

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(1) 第3夜より

 クリオの相棒は、モンスター牧場に唯一残されたスライム・スラお。かつてはテリーとともに旅をした古参であり、究極魔法「マダンテ」を使えるエース級。

 成長限界を迎えており、レベルは30程度という描写が後にあるものの、熱血漢のイカしたスライム。やはりスライムは熱血漢に限る。レベル30でマダンテを覚えられるステータスって、マジヤバくね……? と思ったけれど、ゲーム的には木の実でステータスを上げれば覚えられなくはないんだっけ……?

 とにもかくにも、ゲーム版を踏襲した舞台と、よしざきおにいさんのかわいらしい絵とが合わさって、それだけでも最高に魅力的な本作。

 ところがどっこい。いざ物語が進むと、ゲーム版の主人公・テリーきゅんは闇落ちしているし、 “違うドラクエ” の世界が登場するし、モンスターはおどろおどろしいしで、あらびっくり。想像していたよりもダークかつ作りこまれた世界観が、そこには広がっていたのでした。

 

「全クリ」の先には何がある?

 ゲーム版の主人公・テリーは、『DQM+』では「魔王」的な立ち位置のキャラクター。自然の摂理に反する配合「邪配合」を用いて、尋常ならざる魔物や魔王級モンスターを生み出しけしかけるという、見事な闇落ちっぷりである。あのかわいかったテリーきゅんはいずこへ!

 初めて読んだ当時の自分はまだ子供だったこともあり、「主人公が敵側にまわるなんて!」という展開に絶望しつつも、わくわくしていたんじゃないかと思う。続編で主人公が闇落ちor囚われの身に――的な作品はそう珍しくないと思うけれど、まだそういった展開に真新しさを感じていた時期だったので。……おのれ! 手と顔だけおじさんめ!(※デスタムーア最終形態のこと)

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(2) 第11夜より

 ただ、改めて読み返してみると、ちょっと違った印象を持った。「このテリーきゅん……むしろ、俺じゃね?」と。配合を重ね、魔王系モンスターをつくり出し、その果てで見た “究極の魔物” の姿。ゲーム中ではこのあとにダークドレアム先輩がいるわけだけど……まあそれは置いといて。

 つまるところ『DQM+』のテリーは、「ゲームを全クリしたプレイヤーの姿」なのではないかと。登場するすべての敵を倒し、図鑑を完成させ、対人戦すら遊び尽くし、最終的に「ゲームに飽きてしまった姿」なのではなかろうか。リアルで例えるなら、邪配合=チートツール的な。

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(1) 第5夜より

 そのように考えると、なんとなくテリーにも親近感がわいてこようというもの。初心者プレイヤーであるクリオを見て、自分の初々しさを思い出す感覚とか。だからと言って、チート的な邪配合を持ち出してドヤ顔するのはいただけないけどね! 小学生か! ……あ、でもこのテリーは子供だった!

 あるいは単純に、年月を経て自分が「テリー」というキャラクターを知ったということも大きいかもしれない。『Ⅵ』をプレイして、あとついでに漫画版も読んで、「自分が操作する主人公」の枠を超えた、1人のキャラクターとして彼を認識するようになったため。『Ⅵ』と『モンスターズ』と『DQM+』とを比べると、 “かがみのとびら” が皮肉っぽいというかなんというか……。

 

世界を救った「勇者」のその後

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(1) 第5夜より

 そして『DQM+』といえば外せないのが、ナンバリングタイトルである本家『ドラクエ』とのつながり。初めて読んだときにはなんとなくしか知らなかった彼ら――勇者との絡みと戦闘シーンは、改めて読んでもドキドキさせられるし、最高に燃える。

 ゲームの『モンスターズ』では、どうしても配合素材としての印象が強くなってしまう竜王も、1人のキャラクターとして見るとやっぱりかっこいい。圧倒的なカリスマ性と、世界に君臨する王としての貫禄。竜王といえば、『ロト紋』の竜王もすっごくいいキャラしてるよね……。

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(2) 第13夜より

 「モンスターとの戦闘は1対1」「全滅しても所持金半額で復活」といった本家のシステムを描写してからの、『モンスターズ』を踏襲したパーティバトルのアツさ。『Ⅰ』の勇者とスライムが、並んで竜王に立ち向かう姿……なんかええやん……。

 そして、それ以上に印象的だったのが、本作の代表的なエピソードとも言える『Ⅱ』世界での旅。竜王を倒す旅の途中だった『Ⅰ』の勇者とは異なり、エンディングを迎えたあとの『Ⅱ』世界でクリオが出会ったのが、ローレシアの王子・ロラン。言わば、後日談と後日談のクロスオーバーだ。

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(4) 第24夜より

 先の『Ⅰ』の竜王のように『Ⅱ』の大ボスであるハーゴンやシドーを出すのではなく、因縁のあるキャラクターとしてバズズが登場。復讐心に満ち満ちた「敵」としてのみならず、勇者の「その後」を掘り下げるキャラクターとしても一役買っている。

 今となっては珍しくない「世界を救った勇者のその後」の話に初めて触れたのが、自分の場合はこの『DQM+』だったんですよね。悪を打ち倒した勇者は、ED後にどのような人生を送るのか。想像すらしたことのなかった「その後」を突きつけられ、初めて意識したのが、本作だった。

 破壊神シドーを魔法も使わずに倒したローレシアの王子は、「それ以上の化け物なんじゃないか」と人々から恐れられ、自ら失踪する。死に場所を求めるようにしてたどり着いた先では、かつて倒した敵が力を得て復活していた――が、それでも自分を殺すには至らない。とても「世界を救ったあと」とは思えない勇者の描かれ方が新鮮で、記憶に焼きついていたのでした。

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(4) 第22夜より

 「破壊神を破壊した男」の一文はいまだに覚えていたし、当時としては読んだことがなく、想像すらできない物語展開だったので、そりゃあ子供の記憶には残ろうというもの。

 ただでさえ「好きな作品の後日談」という物語の描き方を知ってわくわくしていたところに、「後日談と後日談をクロスさせる」という離れ業を見せつけられて、子供心にいい意味でポカーン( ゚д゚)状態になっておりました。すっげー……こんな “物語” もありなんだ、と。

 ちなみに、この数年後には、ネット上で公開されている『エヴァ』の二次創作にハマることになる僕。今となって考えてみれば、そのような物語の多様性を受け入れる土壌は、この『DQM+』で整えられたのかもしれない。本作もある種の “公式二次創作” と言えるでしょうし。

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(4) 第27夜より

 そんな『DQM+』は、残念ながら途中で打ち切りに。当時も「え!? これで終わっちゃうの!?」とショックを受けた覚えがあります。もしかすると、 “打ち切り” の悲しみを知った初めての漫画だったかも。

 今、改めて読んでみてもやっぱりおもしろいし、本家『ドラクエ』とのリンクも含めて本当に魅力的な作品だと思うので、何かの機会に再開しないかしら……と考えずにはいられない。自分もあれからナンバリングタイトルもプレイして(全部じゃないけど)、本家との関係もわかるようになったわけだし。天空シリーズとの絡みを読みたい!

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吉崎観音『ドラゴンクエストモンスターズ+』(5) 復活夜より

 今回、電子書籍で新装版を買いなおしたことで、『テリーのワンダーランド3D』発売時に掲載された後日談を読むことができたのは良かったです。もちろん3DS版は買って遊んだけれど、こちらまではチェックがまわっていなかったので。マルモかわいい……ってか、なんか吹っ切れてない!?

 そんなこんなで、おそらく10年以上ぶりに読んだ『ドラゴンクエストモンスターズ+』の話でした。過去に読んだことのある人はもちろん、初めて読むという人にもおすすめしたい、名作です。

 

© 2000,2012 Mine Yoshizaki/© 1998,2012 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX

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