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『シン・ゴジラ』を極上爆音上映で観て泣きそうになった

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 初めて、邦画のパンフレットを買った。昔から映画館に足を運ぶことは少なく、観に行くとしても好きなアニメの劇場版ばかり。アニメ映画ですらパンフレットを買うのは稀であるにも関わらず、今回は買わざるを得なかった。そのくらい、最高だった。

 それもこれも、Twitterと立川シネマシティのせいだ。だって、みんなが「最高だ」と叫ぶから。「あれを劇場で見ないなんて嘘だ」と煽るから。「初ゴジラでも問題ない」と微笑みかけてくるから。そして、「立川で極上爆音上映*1がある」の一文によって、意を決した。

 ネットの大好評っぷりと、安定と信頼の“極爆”――。この2つが結びついたら、そりゃあもう行くしかない。昨年はヒャッハーなデスロードを走り抜け、その次は至高の戦車戦に思考を奪われた。そんな経験があったからこそ、ネットとシネマシティには全幅の信頼を寄せている。

 そんなわけで、立川シネマシティで『シン・ゴジラ』もとい、“震・ゴジラ”を体感してきました。ノンストップで体の芯から震わされた、極上の2時間でござった。あと何回かは観に行こう。

 

※記事前半はネタバレなし、後半は一部ネタバレしています。

 

「ゴジハムくん」は、もういない

 ところで、僕は『ゴジラ』に関してはまったくのド素人です。そもそも「特撮」や「怪獣」といったジャンルとの接点がなく、過去にもほとんど作品を見たことがない。

 強いて言えば……思い出されるのは、16年前の12月。当時まだ小学生だった僕と妹、母親で連れ立って、映画館に足を運んだ日のこと。妹のリクエストだったか、適当に選んだのだったかは忘れたが、家族でてちてちと『劇場版 とっとこハム太郎』を観に行ったのだ。へけっ!

 そのときに同時上映されていたのが『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』であり、おそらくはこれが、自分の観たことのある唯一の『ゴジラ』だったのではないかと思う。

 しかし残念ながら、当時すでに「巨大怪獣」よりも「ポケットに入るモンスター」のほうに惚れ込んでいた自分。携帯獣をゲットしていた坊主にとって、大怪獣はあまり魅力的に映らなかったらしい。今となっては内容をまったく覚えておらず、モスラの歌をBGMにハムハムランドへと誘われる山寺宏一さんの姿が辛うじて脳裏に浮かぶのみだ。ハムタロサァン!!

 ゆえに、『ゴジラ』に関する知識も記憶もほぼ皆無なまま、だけど頭の片隅には「はむはー!」と話すネズミを宿したまま、此度の最新作を観ることになったのでした。ちなみに、早期来場者特典の「ゴジハムくん」は、映画の記憶と共に失われてしまった。へろーん。

 

邦画が苦手でも楽しめた、至高の映像作品(ネタバレなし)

  そのような、言わば“ゴジラ素人”である自分が『シン・ゴジラ』を観に行った感想は、一口に言えば「最高かよ」である。……そうだよ、最高だよ。「ネ申」なんて使い古された表現で語るのが躊躇われるほどにこの上ない、極上の映像作品だった。

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『シン・ゴジラ』予告2 - YouTube

 すでにネット上に興奮気味に話されているように、まずとてつもなく情報量が多く、心休まる隙がない。たくさんの登場人物と覚えきれない肩書き、刻一刻と移り変わる状況に会議は踊り狂い、目まぐるしい場面転換で目が回りそうになる。時折、挿入されるユーモアでクスッと笑い、そこでようやくひと呼吸置ける感じ。総理かわいい。

 かと言って、ゴジラが街を蹂躙するシーンでは「ぶっ壊れっぷりすげええええ!!」なんて頭空っぽにして見れるかと言えば、そんなこともなく。思考停止という意味では頭空っぽにできても、むしろ胸中に渦巻く「やべえよ……やべえよ……」という恐怖心に飲み込まれそうになる。

 街の風景の現実味と、動きまわるゴジラの生物感。二重の意味でナマナマしく感じられるそれは、見ていて息苦しさすら覚えるほど。下手なホラーやグロ映像よりも真に迫っており、胸のドキドキが収まらなかった。破壊が一区切りを迎え、各登場人物にスポットが当たるようになったところで、ようやっと落ち着く感じ。慣れ親しんだ、エヴァのBGMの安心感よ。

 少し話は逸れますが、自分は邦画やドラマから受ける「現実味」と「芝居っぽさ」が苦手でした。見慣れた日本を舞台に、日本人の俳優さんが演じる様子に違和感しか感じられず、うまく感情移入できなかったのです。それなら、もともと現実感の薄いアニメや洋画のほうが楽しめた。

 しかし、そんな自分も、本作では序盤から世界観に入り込めていたことに後で気づき、驚いた。考える隙を与えない会議シーンと、芝居じみていながらも現実にありそうな“それっぽい”やり取り、そして、見慣れた街を覆い尽くす破壊の描写が妙にリアルに感じられた……のだと思う。

 初出現時は、それこそ“現実”の日本のテレビで観たような災害描写でもって街を侵食し始めていた、“虚構”の大怪獣。わかっているのに、虚構の存在が現実そのものを破壊していくかのような映像を見て、邦画としては過去に経験がないほど惹き込まれ、魅せられていたのでした。

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『シン・ゴジラ』予告 - YouTube

 なので、もし自分と同じような苦手意識を邦画に持っている人がいたら、その人にこそ観てほしい作品だとも言えます。「こいつはすげえ」と心奪われるに留まらず、「これはもっかい観に行こう」と断言するほどのインパクト。できれば、より作品世界に浸れる、極上爆音上映で。

 

【以下ネタバレ有】体の芯から震えた、極上爆音上映

 で、件の立川シネマシティの「極上爆音上映」に関して、音響のほうはどうだったのかと申しますと……正直なところ、最初は「あれ? 普通じゃね?」と軽く拍子抜けしていた格好です。

 これまでに自分が“極爆”で観た作品は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『キングスマン』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『ガールズ&パンツァー 劇場版』の4作品。どれも序盤から爆音が響きわたる作品で、「ふぉおおぉおおぉ……!」と興奮していた覚えがある。

 一方、『シン・ゴジラ』はどうだったかと言うと、最初は控えめな印象だった。上映まもなくの轟音で「これだよ……!」となったし、ゴジラの上陸と民衆のパニックによる「音」で揺さぶられる感じはあったものの、他作品と比べるとおとなしめ。会議のシーンが多かったこともあるでしょうし、映像を追いかけるのに必死で、“極爆”であることを一瞬忘れていた……という部分もあったかもしれない。

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 しかし、中盤を迎えたあたりから、徐々に変化が現れる。最初に「おっ?」と思ったのは、おなじみ、ゴジラの鳴き声が聞かれたときのこと。映画館の予告編で聞いたときとは明らかに違い、ぐわんぐわんと全身を震わせる声にゾクッとした。

 ただ、それもまだ序の口だった。あとに続く自衛隊の猛攻で、それ以上の爆音が四方八方から押し寄せる。物語展開もあってか、「自衛隊うおおおおおおおお!!!」な盛り上がりがすごく、思わずニヤけてしまうほど。“極爆”の真価を見た……と、そこでは思った。

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『シン・ゴジラ』予告2 - YouTube

 ――ところがどっこい。ゴジラ同様、“極爆”もまだ変身を残していた。とにかく尋常じゃなかったのは、やはり都心での内閣総辞職ビーム*2放射熱線のシーン。ただでさえ、映像だけでも唖然とする蹂躙の様子が、極爆によってマシマシ。ゴジラの雄叫びがまた、恐怖心を煽るように場内に響きわたり……なんかもう、泣きそうになりました、マジで。

 『シン・ゴジラ』に限らず、立川シネマシティで極上爆音上映を体験したことのある方はご存知かと思いますが、あれって単なる「大音量」ではないんですよね。熱線の掃射音とゴジラの雄叫び、撃墜される爆撃機と焼きつくされる東京の破壊音が全身を震わせつつ、同時にあのシーンの、悲壮感あふれるBGMまでもが充分な音量でクリアに聞こえてくるから、居た堪れない気持ちに。

 本当に、体の芯から温まる……もとい、「体の芯から震える」という表現がぴったりくるほどの音響でございました。正直、あのシーンを体感するためだけでも、立川まで足を運ぶ価値があるんじゃないかと思います。すでに観た人、4DXで充分に楽しんだという方も、ぜひぜひ。

 

もう一度、極上爆音を観る前に

 そんなこんなで、長くなりましたが、ゴジラ素人が観た『シン・ゴジラ』の感想でした。自分のような「極上爆音ファン」が数多く観に行っていたということで半ばホイホイされた格好ですが、本当に最高でござった。ガルパンと合わせて、しばらくは何度も楽しめそう。

 ただ、その前に、「初代『ゴジラ』を観ておくと、より楽しめる」という先人の助言も少なからず目に入ったので、先に向かうべきなのはTSUTAYAなのかな、とも。同じく怪獣モノとは縁のない友人が「初代はおもしろかった」と話しており、せっかくなので観てみようかなーと。

 もし、他に観ておいたほうが良い過去作品などありましたら、教えていただけると嬉しいです。いかんせん、門外漢でありますゆえ。逆に、まだ観ていない方がいらっしゃいましたら、ぜひ立川へ。極上爆音もそうだけど、「立川」という土地の補正で、また印象が変わりそうな。

 

今週のお題「映画の夏」 

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