ぐるりみち。

平成生まれのフリーライターのブログ。本・映画・マンガ・アニメの各種レビューに、旅行・グルメ・街歩き日記など。

新社会人に伝えたい、慣れない仕事と生活と「ごはん」の話

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 あっという間に新年度。入学に進級、就職に異動などなど、環境も気分も心機一転、新生活を始める人も多いのではないかしら。

 ブログやニュースサイトを目を向けても、「新入社員の心構え」「新生活におすすめの必須アイテム」といった記事が数多く公開され、よく読まれている様子。あの手の記事って、新入社員じゃなくても参考になるからありがたいんですよね……いや、本当に。

 そんななか、「もし自分が、新社会人に何かアドバイスをするなら、何を話すだろう……?」と考えたところ――ひとつだけ、思い浮かんだものがあった。何も偉そうに助言できる立場ではなく、ろくな経験もない26歳でございますが、これだけは自信を持って言える。

 ――メシ、たいせつ、マジで。

 

入社1年目、料理スキル&体力ゼロな新入社員のメシ事情

 入社1年目の話でござる。入社式を終え、数日間の新入社員研修を経て、そのまますぐに関東の片田舎にすっ飛ばされた、新社会人(営業職)の自分。配属された営業所に同期はおらず、周囲は年上の先輩のみという環境での新生活でした。

 それは職場のみに留まらず、私生活でも同様。いわゆる“体育会系”の部活動ほどではないものの、ゆるい上下関係のある寮暮らし。見知らぬ土地での慣れない共同生活は思いのほかストレスであり、最初の数ヶ月は仕事にも生活にも余裕がなく、朝食すらままならなかったのです。

 

 実家から送ってもらったインスタント味噌汁とバナナを食べてお腹を膨らませるか、あるいは早起きできれば、近所の牛丼チェーンで朝食セットを食べるか。もちろん寮に台所はあるものの、食材を買いに行く気も起きず、そもそも料理の経験も皆無。卵料理を作る気力すら起きなかった。

 というのも、平日の日中は仕事を覚えるのでいっぱいいっぱい。予想外の肉体労働にひぃひぃ言いながら汗を流し、お昼は無理にコンビニ弁当をかっこむ。業務を終えて寮に戻れば、夕食は寮母さんが作ってくれるものがあったけれど、食べて自室に引っ込むと、そのままバタンキュー。

 とにかく身体の休息が最優先であり、最初の数ヶ月は、朝に何かを作って食べる余裕などなかったのです。料理をするくらいなら、仕事を覚える、その日の流れを予習する、顧客リストを頭に叩き込む、ビジネスマナーを復習する――など、やることは山積みだったので。

 

 「食」の楽しみと言えばそれこそ、寮母さんの作ってくれる晩飯くらい。日によっては、朝・昼の両方を抜くことすらあったので、夕食は文字どおりの“生命線”になっていたようにも思います。でもそれも平日だけなので、特に週末の3食×2は重大な問題だった。

 周囲を見渡しても、寮近く(それでも徒歩数十分先)には国道沿いのファミレスしかないので、毎週末は、自然と電車に乗って遠出することに。交通費も食費もかさむものの、手軽かつ五感を使って楽しめる娯楽が、田舎では「食」くらいしかなかったんですよね……。

 言うなれば、入社後しばらくの自分は、主に平日夜と週末の「ごちそう」を楽しみにしつつ、仕事に励んでいた格好です。それだけを希望に働き、日中どれだけ肉体的にも精神的にもコテンパンにされようとも、夕食だけはうめぇうめぇ言いながら飲み込んでいた感じ。

 

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当時の写真を探すと、やたらと“こってり”系のラーメン・つけ麺が多い。

 

コンビニ弁当のループと、生活レベルの基準としての「食」

 とは言え、週末はそんな「楽しみ」があったので、まだよかった。

 

 問題は、平日の昼食。自分の営業担当地域には、飲食店らしい飲食店が全く見当たらず、あるのと言えば、セブン-イレブンほぼ一択。選ぶお弁当も自然とルーチン化し、楽しみらしい楽しみもない。金曜はカツカレーでがんばるぞー……とか、そのくらい。

 それでも一方では、入社後数ヶ月も経って仕事に慣れてくると、時間の余裕ができ、道を覚え、営業の新規開拓ついでに行動範囲を広げることもできるようになった。よっしゃ、これで昼食にも幅が広がる――かと思いきや、新たに発見したのは、ローソンとミニストップ。

 

 ……やったね! コンビニ弁当のバリエーションが増えたよ!!

 

 いや、そりゃまあ、コンビニ弁当も慣れればおいしいし、新商品が出れば、ちょっとは楽しみになる。昼食そのものを業務中の「作業」と考えれば、開き直ることもできました。

 けれど、そこで仕事が順調に進んでいればいいものの、大きな失敗をしたり、忙しくてご飯を食べられなかったりすると、必然的に気分も塞ぎこんでくるんですよね……。「お昼ごはんを食べて午後もがんばろう」と前向きに捉えることができず、「メシ食うの、だりぃ」と感じてしまう。

 周りを見れば、「食えてるだけマシ」だとも思うのですが、それでもやっぱり、「おいしいごはんをしっかりと食べる」ことによってこそ、その日の仕事の、ひいては生活の活力、モチベーションたりえるんじゃなかろうか。あれやこれやと昼食の選択肢を試行錯誤してきて、そう実感した。

 

 例えば、手作りで安価なお弁当屋さんが国道沿いにできたときには、それこそ天にも昇るような気持ちだったし、それによって仕事に対する心持ちと効率が、目に見えて向上した。

 あるいは、飛び込み営業をするべく知らない場所をふらふら走る道中でファミリーマートを発見すれば、「おやつにファミチキが食える……!」と、自分でも驚くほどに前向きに考えることができた。

 

 そんなこんなで今、思うのは、日常生活の余裕のあるなしを計るバロメーターとして、「食事」はひとつの基準になるんじゃないかということ。「食べる」ことを前向きに捉えられており、さらにそれを味わって楽しめていれば、問題なし。

 逆に「腹が減ったからとりあえず適当に口に入れる」とか、「何を食べるかを考えるのすらダルいから、いつも同じもので済ませる」とか、今までと比べてあまりに作業的な活動に変貌してしまったら、一度、見直すタイミングにきているんじゃないかと。食事だけでなく、「生活」全体を。

 

 もしかすると、自分がたまたま「メシ」に強いモチベーションを感じられるタイプの人間だからそう感じるだけで、人によっては全くそんなことはないのかもしれませんが。

 換言すれば、「仕事を前向きに捉えるためのモチベーションの源泉」的なものかしら。ご飯を食べているとき、趣味に興じているとき、恋人と話しているとき――といった、肩の力を抜いて安心できる瞬間。それがあってこそ、「仕事がんばるべ」と気持ちを新たにできるのだと思います。

 

うまいもん食って、お仕事がんばるぞい

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 正直なところ、この手の「会社勤めの食生活」の話題に関しては、各々に事情と考え方があるとも思います。特に自分の場合、これまでずっと実家住まいで、恵まれた食生活をしていたことの反動のせいだと見ることもできそう。

 とんでもない多忙ぶりで、1日1食が当然な人がいてもおかしくないし、もともと1日2食の生活を送ってきたというケースだってあるはず。そういった意味で、必ずしも「食」が仕事と生活のモチベーションたりえるとは言い切れませぬ。メシよりも、“寝る前の一杯”のほうが大事だっていいじゃない!

 

 でもまあ、3大欲求のひとつに位置するくらいの「食」なので、どうしてもルーチン化してしまいがちな生活を彩る一要素として、意識しておいてもいいのではないかしら。メシは、生活レベルを計るバロメーター。余裕がなくなればなくなるほど、欲求って減退するものだと思っているので。

 それと、もしも土地勘のない職場へ配属された場合は、先輩や上司に「グルメ情報」を聞いてみるのも一手かと。会話の取っ掛かりになるし、もしかしたら「じゃあ退勤後に行くか?」と誘って(奢って)もらえる可能性も。そうしてお気に入りのお店を見つけられれば、万々歳ですし。

 

 そんなこんなで、いろいろと面倒な仕事をこなし、人間関係にダルさを感じることもあるかもしれませんが……うまいもん食って、お仕事がんばっていきまっしょい。メシは、僕らを裏切らない。

 

 

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