ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

日常の中の非日常、“リセットボタン”としての「旅」の効用

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 旅行は、たのしい。
 けれど、別に旅行じゃなくたって、いい。

 

自分の「歩き方」を確認するためのリセットボタン

 「自分探しの旅」「人生を変える旅」「自由に生きるための旅」などなど、「旅行」にまつわるポジティブな表現は少なくない。でも一方では、実際に旅してみたら「思ったよりも楽しくないし、何も得られた気がしない……」なんて話も珍しくはありません。

 「旅」の目的も行程も、実際に歩いてまわる場所も出会う人も、人によってさまざま。となれば、その「旅」がどのような意味を持つのかも、各々に違ってきて当然だ。あまり「人それぞれ」と結論付けるのもどうかとは思うものの、つまるところ、そういうことなんじゃないかと。

 

 

 自分の場合は、こんな感じ。旅行は好きだし、ちょくちょく遠出することはあれど、そこに具体的な「目的」を定めて向かうことはほとんどありませぬ。

 簡単に言えば、自分にとっての “旅” とは、「非日常」を演出するための一手段。ほぼ毎日の朝昼晩を同じ空間で過ごし、ちょっとした変化はあれど、基本的には同様の仕事や作業をこなし、気の知れた友人と遊び、同じような流れを繰り返す生活ルーチン。それを一時、ぶっ壊すための方法。

 

 別に「今の生活に我慢ならない不満があるから逃げ出してえ!」とか、「旅先で思わぬ出会いがあって人生に変革をもたらしてくれるかも!」とか、そういった思いや期待が積もり積もっての行動ではござりませぬ。安定した生活は、平和の証。会社に隕石が降ってくる必要はない。たぶん。

 ところが、どれだけ安定していても、同じ生活ルーチンを繰返していると――ふと、息苦しさを感じることもある。マンネリというか、停滞感というか、行き詰まりというか。不満はない。けれど、何かが物足りない。ときめきがない。刺激が欲しい。ヒャッハーしたい。

 

 そんな、心浮き立つ “何か” を求めるようになったら、ふらっと旅に出てみるのです。ちょっと自分の生活圏を離れるだけでもいい。見知らぬ土地を訪れ……かと言ってアテもなく歩くのも不安だから、有名な観光地や寺社仏閣に足を運んで、ほへーっと見て楽しんでみる。

 夜は寝る場所を変えて、ビジネスホテルやゲストハウスに泊まり、普段は目もくれないような定食屋さんにもえいっと入ってみたりもして、多くの店が閉まったあとのアーケード街をふらふら歩きながら、宿に戻る。――慣れない土地の夜の “空気” って、なんだか不思議な感じ、しません?

 

 自分にとっては、知らない街の非日常。
 けれど、そこを行き交う人にとっては、よく知る街の日常。

 

 海外で異文化圏に接するときほどの刺激は感じなくても、「(街の雰囲気は)知っているけれど、(自分の生活圏ではない)知らない場所」に身を置くことで、程よくリフレッシュできる一面もあると思うのです。不安半分、期待半分。なんとなく、わくわくしているような感覚。

 そうして数日を「旅」して過ごすだけでも、元の生活圏に戻ってきたときには何かしらの感慨があるもので。道中は不安と期待、旅の高揚感が綯い交ぜになっていたことで張り詰めていた部分が、家に帰ってホッと安心。ゆっくり休んで、明日からの生活の糧とする格好。

 一言で、いわゆる「やっぱり我が家が一番だ!」を確認するための「非日常」と言ってもいいかもしれない。 “井の外” の見知らぬ土地=非日常へと目を向けながら、自分の生活圏=日常の安心感を再確認するための儀式。創作物では得られない、生きた体験ができる……と書くと、また意識高く見えるけれど。

 

 日常から非日常へ向かい、そして、非日常から日常へと帰ってくる「旅」の効用。それを端的に表現するなら、自分にとっては「リセットボタン」という言葉がふさわしいのかなーと思い、書いてみた格好です。でもこれって、別に「旅」に限った話でもないのよね。

 週末は飲み歩くとか、温泉を巡るとか、長距離を走ってみるとか、バンド活動に励むとか、ゲームを一気に消化するとか、なんでもいい。

 試しに一度だけ取り組んでみたことが、普段の生活に刺激をもたらすかもしれないし、十年後とかになって振り返ってみたら、それこそ “人生が変わる” きっかけとなっていてもおかしくない。……ので、たまーに思いつきで行動してみるのは、ぜんぜん悪くないんじゃないかにゃー。

 

ただ、同じ空間にずっといると飽きてしまったりするから、ビジネスホテルに泊まるみたいにときどきちょっとだけ環境を変えてやって、何かちょっと世界に新鮮味があるような錯覚を自分に与えてやればいいんだろう。大体世界に画期的な変化なんてほとんど起こらなくて、ほとんどは自分が少し世界の見方を変えることで何かが変わったような気がするだけだ。

 

 「旅」云々を考えていたら、phaさんのこちらの記事を思い出したのですが……自分の言いたいこと以上のことが書かれていた感じ、くやちい! でもだいすき!

 

 

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