“おひとりさま”専用の喫茶店『結構人ミルクホール』で自家製ケーキと珈琲を


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※阿佐ヶ谷に移転されたそうです → 結構人

 

 住宅街の隅っこの、“隠れ家”っぽさが素晴らしいお店。
 読書はもちろん、勉強や作業にもぴったりの、ステキ空間が広がっておりました。

 

選ばれし者しか通ることのできない入り口

 先日、谷根千をぶらぶらしていたお昼すぎのお話。おにぎりをうめえうめえ言いながら食べたあとに用事を済ませ、ちょいと小休止しようかな、と喫茶店を探していたところ、ヒョイと覗き込んだ路地の一角に、古めかしい看板を発見したのです。

 

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 ――時代を感じる、アース製薬の看板が目を引く一方、周囲を取り囲む木製の立て看板も存在感を放つ一角。色褪せっぷりといい、文字の霞み具合といい、なんとなーく古い順番に並べ替えられそうなくらい、わかりやすく経年劣化しているような。趣ある。

 

 なかでも気になったのが、この部分。

 

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当店はお一人様専門店です。

これより先、2人以上での立入を禁じます。

 

 おひとりさま“推奨”ではなく、複数人での立ち入り“禁止”、とな!

 

 「おひとりでもお気軽にご来店ください☆」とか、「おひとりさまにオススメの名店だよっ(はぁと」とかじゃなくて、「2人以上で入ってきちゃダメだよ!」とは予想外。

 僕の大好きな喫茶店、アール座読書館さんですら“会話非推奨”といったくらいの注意書きなのに、完全に“禁止”というのは意外に珍しいような気もする。……いや、自分が知らないだけなのかもしれませんが。ヒトカラ専門店くらいしか知らんぞ! 上野の焼肉店は閉店しちゃったらしいし。

 

 こいつは、おじゃまさせていただくしかあるめえ……ということで、いざ突入。わくわく。

 

美味しい珈琲を楽しみながら、一人席でゆったりまったり

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※店内は、撮影可否の確認をするのも躊躇われる静けさだったので、以下に写真はありませぬ。

 

 お店の中は、入り口同様の茶系統の家具が並べられた空間。どこか懐かしさを覚える勉強机に似た簡素な1人席が各所に配置され、座ったときにお客さん同士の目が合わないような並びになっているように見受けられました。

 店内のあちこちからは光量を抑えた白熱球が優しく光を投げかけており、手元の明るさは充分。隅のほうには閲覧用の本棚もそびえ立っており、どうやら古本らしい文庫本や雑誌、さらにはミニコミ誌も読むことが可能です。新宿・模索舎のチラシもあったよ!

 

 席に座り、メニュー表を確認すると、スペシャルティ珈琲と自家製ケーキがこのお店の看板メニューらしい。――とくりゃあ、頼むしかないでしょう!

 全力でおすすめされていたチーズケーキと、珈琲豆はブラジルを選択。注文を受けてから一杯一杯、ハンドドリップで抽出しているとの記載があったため、ちょうどその日の午前中に買っていた雑誌を広げてまったりと待ちます。

 

 座っていて聞こえてくる音といえば、店内をほんの微かな音量で流れるクラシック曲の音色と、キッチンで店員さんが珈琲を抽出している音、そして他のお客さんが本のページを捲る音くらい。……っと、パソコンで作業をしている人もいるのかな? 僅かながらタイプ音がする。

 改めてメニュー表を確認してみると、なんと、Wi-Fiも利用可能みたい。“キータイプはなるべく音が出ないよう優しく、クリックはタッチパッドを……”との注意書きがありますが、パソコンの使用はOKのようですね。ありがたやありがたや。

 

 そんなこんなで、しばしまったりと寛いでいると、チーズケーキと珈琲が運ばれてきました。見るからに味が凝縮されていそうなケーキに、大きめサイズの湯のみに注がれた珈琲は香り豊か。まずは一口、飲んでみれば、ガツンと響く、旨味とコク。好き。

 チーズケーキも案の定、濃厚ながらふんわりと口内に広がる味わいがたまらん一品。いずれもこだわりのあるメニューしか提供していないようで、メニュー表やホームページを見ると、その“こだわり”の一端が記されておりました。ちょいと高いかとも思ったけれど、納得の美味。

 

★結構人とは・・・
 好人物、つまりお人好しといった意味の古い言葉です。
 ですがどちらかというとマイナスの意味で使われていたようで、 人がよいといっても、世渡りベタといったニュアンスが強いようです。
 人付き合いが苦手だったり、競争社会についていけなかったり、小学生の時分は通信簿に「協調性がない」とかかれてしまったり・・・いい人なんだけど、うまくいかない。
 そんな店主がそんな人たちのためにくつろげるような空間をつくりたい。その一心で、デザインから味、本のラインナップまで、取捨選択して作り上げた店です。

はじめまして! : 結構人ミルクホール

 

 あまり耳慣れない店名『結構人 ミルクホール』にも、こんなコンセプトがあるそうな。訪れて納得、食べて幸せ、飲んで落ち着く、過ごして癒される――そんな、素敵なお店でございました。

 ちょいと駅から離れているものの、それでも何度も足を運びたくなる、“おひとりさま”専用の喫茶店。集中して本を読みたいとき、本と珈琲に癒やされたくなった折には、またおじゃましようと思います。ごちそうさまでした!

 

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