コミケ0日目!「設営」作業に初めて参加した感想


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 毎年のお盆と年末の2回、それぞれ3日間にわたって開催されるポップカルチャーの祭典こと、「コミックマーケット」。僕自身、なんやかんやで恒例行事のように足を運んでおり、2017年現在、11年目の参加となります。

 そして、その「設営」に初めて参加したのが、2015年夏のこと。本記事ではそんな、コミケの「0日目」こと「設営日」の東京ビッグサイトの様子と、「設営」作業に参加した感想をまとめています。もし設営に参加しようと考えている方がおりましたら、参考になれば幸いです。

 

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「設営」ってなんぞ?

「設営」とは、サークルスペース他の机やイスを、当日三日間のためにあの広いビッグサイトに並べる作業のことです。これは、コミケット準備会スタッフだけではなく、一般参加者・サークル参加者も含めた千人以上の皆さんの力をお借りして行なわれています。数千本の机と数万脚の椅子を、何もない東京ビッグサイトに整然と並べていく……。まさに人海戦術。この作業なくては、開催当日を迎えられないことは、参加者ならどなたにでもご理解いただけると思います。

 

 毎回3日間で、のべ50万人以上が訪れるコミックマーケット。その運営を主に取り仕切る「コミックマーケット準備会」が、ほぼ無償のボランティアで成り立っているという話は有名なもの。

 そのスタッフでなくとも、あるいは出展するサークル側でなくとも、イベントを「作る」側として一般参加者が携わることのできる作業が、この「設営」と閉会後の「撤収」なのです*1。コミケ初日の前日に丸一日かけて行われることから、「0日目」と称されることも。

 誰でも参加することのできるこの作業は、厳密には「測量」と「設営」のふたつに分かれています。朝早くから会場入りし、場内のゴミ拾いと、並べる机の目印としてガムテープを貼る「測量」、そしてお昼前に集まり、机と椅子を運び込んで並べる「設営」ですね。

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コミケ設営解説 ‐ ニコニコ動画:GINZAより

 今回、自分は初参加だったこともあり(ついでに早起きできる自信もなかったので)、誰でも簡単にできそうな「設営」作業から参加することに決め、会場に向かいました。コミケ当日以外に国際展示場まで行くって、なんか不思議な気分。

 

 

 寝坊したとしても、途中参加OK。原稿がピンチだったり予定があったりするのなら、途中退散もOK。お互いに報酬の発生する「労働」ではなく、あくまで「ボランティア」なので、自由気ままに来てほしい、との話でした。ただ、熱中症には要注意。

 

マニュアルに目を通したら、いざ作業場へ!

 自分が国際展示場に到着したのは、ちょうど11:00を回ろうかという時間。すでにビッグサイト入り口前では腕章を付けたスタッフさんが走り回っており、準備に勤しんでおられる様子。お疲れ様でございます。

 同時に、りんかい線とゆりかもめのそれぞれの駅からも、設営に参加すると思しき人の波がゆるーっと流れておりました。思っていた以上にビッグサイトの中へと吸い込まれていく人の数が多く、当日とは違った意味でイベントの規模の大きさを実感しますねー。

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 建物内に入り、説明会場となるエントランスホールを見れば、早くも設営に携わらんとする筋骨隆々の屈強な若者たちの姿が……! なんてことはなく、けれどもすでにたくさんの人が集まって、説明開始の時間=11:30を待っているようでした。意外と女性も多い……?

 少し時間があるようだったので、コンビニに入って食料を調達。

 これから3日間の受け入れ体制は万全のようで、店内外を問わず大量の商品の山ががががが。 “0日目” たる今日ですら数多くの人が集まっているので、店員さんもレジを全開放して対応中。いつもお世話になってます。

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 さて、じゃあ先に昼飯を食べようか──というタイミングで、説明が始まる様子。慌てて移動し、説明を聴く体制に入ります。

 マニュアルの配布に若干、手間取っていたようですが(というか人数が多すぎる)、無事に行き渡って説明開始。──あ、『とうらぶ』だ*2

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マニュアルのマンガは毎回、参加する同人作家さんが書いてくださるそうな。

 マニュアルと説明の内容は特に難しいものでもなく、むしろ貴重品管理や体調管理に気をつけてほしい、との話でした。

 ものっそいフレンドリーな雰囲気の中、20分ほどの説明が終わったら、いざ作業場へ。軍手を持ってきていない人は、ここで借りることもできます。

 大まかに「西ホール」「東1・2・3ホール」「東4・5・6ホール」の3箇所に分かれますが、特にグループ分けなどはなく、各々が向かいたい方へ自由に流れていく感じ。結果、それでバランスが取れてるんだからすごいよね。コミケ民の統率力の高さよ。

 

文化祭を思い出す「設営」作業

 ということで、やってまいりました、東1・2・3ホール。

 多分、自分は明日、主にこちらをぶらぶらしていると思われるので、その下見を──っていうか、なにこれ広っ!!

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コミケ 会場 - Google 検索より

 あまりに当日とのギャップがすごすぎて、逆にドン引きするレベル。おっほー……これが、何もイベントを開催していないビッグサイトの通常形態なんですね……。

 広すぎて、チャリで移動するスタッフさんを作業中にちらほら見かけました。

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 さて、荷物を置いたら、懐かしのラジオ体操(3年ぶりだ!)で身体をほぐして、いざ設営作業に取り掛かります。

 作業内容はシンプル。スタッフさんの指示に従いつつ、会場の奥のほうから机を並べ、立て、椅子を置いていくだけ。──ね? かんたんでしょ?

 なんとなく見ていて興味深かったのが、スタッフさん以外の、ボランティアとして足を運んだ参加者の中でも自然と役割分担ができて、スムーズに作業が進行されていたこと。

 事前説明あり、そもそも単純作業だということもあるでしょうが、台車に乗った机・椅子を運ぶにしても、いかにも慣れていそうなおじちゃんが積極的に運んでいたり、力のあるおにーさんが率先して台車の側に立って、テキパキと椅子を受け渡していたり。

 力のない女性は机を運ぶ際にはほどほどに立ち回り、椅子を並べるところで精力的に動いていたり。他にも、ちょっと気弱そうな10代らしい少年が、人の少ないスペースまで行って、机を立てる際のロックがしっかりとかかっているか、入念にチェックしている光景も見られました。

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 そうして見ていると、各々が「自分のできること」をしっかりとこなす、学生時代の文化祭の準備が想起されて、どことなく懐かしい気持ちになりました。

 黙々とこなすも良し、快活に声を出しながら取り組むも良し。ほどほどに身体も動かせて、意外に楽しかったです。

 あ、すっかり忘れてましたが、コンビニで買った昼飯は、作業開始から1時間ほど経過したタイミングで、外のコンコースに出て食べました。

 見れば、他にも入れ替わり立ち代わり休憩に来たり、談笑中のグループもあったりして、どこもとっても和やかな雰囲気。ここが、明日には戦場と化すのか……うふふふふ。

 

反省会と世間話とじゃんけん大会

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 今回はなかなかに早いペースで作業が進んだそうで、13:30前にはほぼ終了といった感じ。場内をふらふらしつつも小休止したら、反省会の場所へと向かいます。

 「反省会」と名を冠してはいるものの、その実は昨今のイベント事情やらなんやらといった世間話。手を挙げて質問する人も多く、時に爆笑も沸き上がり、終始、和気藹々とした雰囲気でした。思いもしなかった話が聞けて、おもしろかった。

 そしてなにより、反省会の中でも長時間をかけて行われた、スーパーじゃんけん大会。途中、「○○歳のひとー?」なんて年齢にも言及されていましたが、30代が特に大きな割合を占めていた印象。10代、40代以上も結構な数。マジでお疲れ様です(深々)。

 

 そんなこんなで、初めて参加しました、コミケの「0日目」こと、設営日。

 

 前々から気になってはいたのですが、学生時代はなんやかんやで予定があり、会社員時代は休みが取れるはずもなく、無職になってからは金銭的に厳しいから……と、足を運ぶ機会がなかったので。今回、貴重な経験ができてよかったです。

 もちろん「設営」はこれだけではなく、スタッフさんや業者さんたちが協力して、夜通しで行われているという話。一般参加に慣れていると意識する機会はありませんが、実際に参加してみると、いつもどれだけの人にお世話になっているのか……と、ただただ頭が下がります

 とはいえ、自分は一人の参加者でしかなく、この「設営」に参加したところで、力になれているのは本当に微々たる部分のものでしかないのでしょう。

 それでも、毎年2回のお祭りとしての “ハレの場” を作っている人たちの存在を、少しでも意識できたのはよかったんじゃないかと思います。本当にいつもお疲れ様でございます。ぶっちゃけ、徹夜組にはもっとマジギレしてもいいんじゃないかと思……ゲフンゲフン

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 何はともあれ、3日間のコミックマーケット。サークルさんもスタッフさんも一般参加者さんも、熱中症には気をつけて、全力で楽しみましょう!

 

 

参考ページ

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*1:もちろん、サークルだろうがスタッフだろうが一般だろうが、みんな等しくイベントを作り上げる「参加者」であるという理念は把握したうえで。

*2:刀剣乱舞 - Wikipedia