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「プロブロガー」に見る「プロ」という言葉の違和感

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photo by semihundido

 

 自分のブログを持って記事を書いている人が「ブロガー」だとしたら、日本国内だけでもどれだけのブロガーがいるんだろう。そういえば、Twitterも括りは「ミニブログ」だったような……。ネット民総ブロガー時代の到来かしら。

 僕なんぞは、好き勝手に、愛のままにわがままにブログを更新し続けている泡沫ブロガーの一人でしかありませぬ。これからの時期、湿っぽい大きめの石を裏返したら、うじゃうじゃと何かたくさんいるじゃないっすか。アレのひとつが僕。暗いところ大好き。

 

 そんな有象無象の中でも一際目立つ、いや、もう有象無象ですらなく、サナギから羽化してパタパタとお花畑を羽ばたいている蝶々のような存在がいます。それが、「プロブロガー」というらしい。転載だらけのブロガーは“プロブロ蛾ー”かしら。蛾も嫌いじゃないけど。

 時には羨望の目で、時には胡散臭そうな目で見られる彼らについて、主に「プロ」という言葉に焦点を当てて考えてみました。

 

 

「プロ」ってなんぞ?

 そもそも、「プロ」とはなんぞや。言うまでもなく、「プロフェッショナル」の略でございます。他に「プロダクション」なんかも同様に「プロ」と略されますが、ここで言う場合は“Professional”のことでしょう。プロデューサーさん! 専門ですよ! 専門!

 

 Wikipedia先生によれば、「プロフェッショナル」的な「プロ」の意味について、日本語では次のような意味合いを含んでいるらしい。

1. ある分野について、専門的知識・技術を有していること、あるいは専門家のこと。
2. そのことに対して厳しい姿勢で臨み、かつ、第三者がそれを認める行為を実行している人。
3. ヤクザを意味する隠語。
4. 複数のグレードがある場合、比較的上位バージョンにつけられる。

プロフェッショナル - Wikipedia

 

 うーん、どこかしっくりこない感じ。上記引用の後に「スポーツの分野でのプロ」の解説が続いているせいかもしれない。なので、簡潔で分かりやすいこちらの解説を定義として持ってくることにします。

ある物事を職業として行い、それで生計を立てている人。本職。くろうと。

プロ とは - コトバンク

 

 これならば、次に「プロブロガー」の意味を考えるにあたっても、説明がしやすいように思います。

 “ある物事”をそのまま“ブログ活動”と言い換えられるし、“それで生計を立てられているか”どうかで、不十分な人を一般ブロガー(=アマチュア?)と区別することができますね。

 

「プロブロガー」の定義とは

 さて、では、そんな「プロ」のブロガー、「プロブロガー」ってなーに?という話になりますが。

 これに関しては、「プロブロガー」代表・イケダハヤトさんが過去に定義をされていたので、そちらを引用させていただきます。

と、その前にプロブロガーとは何かを定義しておきましょう。無論、学術的な定義があるわけではないので、これは「ぼくが考える」定義としてご理解ください。

 

プロブロガーとは:オンラインメディアからの純粋な収益のみ(広告、アフィリエイトなど)で、生計を立てられる水準にたどり着いているブロガー。

 

補足すると、コンサルティング、書籍執筆、イベントなどで生計を立てているブロガーは、プロブロガーと呼ばないと個人的に考えています。ブログが「ほかの事業のための営業ツール」になっているか、「純粋な収益源」になっているのかの違い、といってもいいでしょう。

現役で活動しているプロブロガーをまとめてみた

 

 イケダさんによれば、プロブロガーの基準として、「オンライン収益の割合」が重要になってくる、ということでしょうか。ブログ活動によるブランディングによって有名になり、他媒体でのライター活動や書籍の出版がメインになっている人は、「ブログ」の「プロ」ではない、と。

 ここで疑問に思うのが、「イケダさんは結構いろいろなところから収益を得ている印象があるけれど、それってこの定義と噛み合っているの?」という点。本も書いてますし、そこそこの頻度でイベントにも出演されているようですし、オフライン収益も多いのでは?

 

 その疑問に関しては、下記の収益報告記事で示されていました。

 詳しくはリンク先をご覧いただけば分かるかと思いますが、ここ5ヶ月の収益構造の8割が、ブログを中心とした「オンライン収益」となっているそうです。実際、この構造で生活されているとのことなので、確かにご自身の定義と間違ってはいませんね。

 

「アフィリエイター」との差別化

 ただ、それだけでは、「なら『アフィリエイター』でもいいんじゃない?」とも思ってしまうわけでして。その辺の差別化は、どうなっているのかしら。

 

 この点については、こちらの記事の説明がひとつの解となるかと。

単刀直入に言えば、ブロガーはライター、アフィリエイターは広告代理業と考えると分かりやすいと思います。

 

ライターは新聞社や出版社からの依頼を受け、取材などして情報を集めて記事をまとめ、それを提供することで稼ぎを得ます。

ブロガーは自身が体験したことや取材したことをブログ記事にして、ブログ読者に見てもらいますが、彼らから報酬を受け取ることはありません。

 

ブログの読者が広告をクリックしたり、アフィリエイトリンクから商品を買ったりして、その報酬で稼ぎを得ます。

 

一方、アフィリエイターとは広告代理業に近いです。

 

広告代理業は、広告主に変わり広告の企画やマーケティングを行って、効果的な広告を作ってその手数料をもらう仕事です。

アフィリエイターは商品を他者に紹介して、成約したら報酬を受け取る成果報酬型の広告業を行う人になります。

 

商品の成約にマーケティングやコピーライティングが必要となるので、広告代理業とも言えるのです。

ブロガーとアフィリエイターの違いは何か?稼ぎ方は同じ?

 

 まあ基本的にやっていることは変わらない、と言えば変わらないのでしょうが。

 

 感覚的なことを言わせてもらうと、特に自ら「ブロガー」と名乗っている人の多くは、自分の書く文章をオリジナルの「コンテンツ」として重視しているような印象を強く持っています。

 結果としてアフィリエイトの収入を得てはいるが、そこへ誘導するのは自分の書いた文章であり、独自のコンテンツである、と。考えてみれば、前述の現役で活動しているプロブロガーで紹介されている方々も内容に違いはあれど、各々が自分の「色」を持ったコンテンツを展開している格好。

 

 あとはもしかしたら、「アフィリエイター」という言葉に染み付いた悪印象を避ける意味での言い回し、という側面もあるのかも。

 往年のまとめサイトや、悪徳メルマガなどの印象の強さもあって、今も「アフィリエイト」そのものに嫌悪感を抱く人は少なくないように思います。

 

 それを断ち切る意味でも、改めて「ブロガー」を強調する気持ちは分かるような気が。有名無名に関わらず、魅力的な記事を投稿されるブロガーさんは多くいますし、尊敬もしています。

 そんな人たちが、ちょっと広告を載せているだけで「金の亡者」扱いされるのは残念。というか、そんな極端に稼いでる人は多くないだろうし、収入があるのなら、それは正統な対価だと思う。別サイトの転載オンリーだったり、あまりに独自性が少なかったりすると、うーん? とは感じますが。

 

インターネットで目にする「プロ」という言葉の違和感

 「プロブロガー」を名乗るのも、それを目指して一念発起するのも、もちろん個人の自由でしょう。……実現可能性は別にして。

 ただ、前々からこの「ブロガー」に付く「プロ」という言葉に違和感を覚えていたのも事実。なーんか、しっくりこないんですよね。それこそ、プロのアマの明確な基準があるスポーツなら分かるんですが、ブログ書きにプロもアマもあるの? と。

 

 その理由として思い当たったのが、「ネットの創作文化におけるプロ・アマの境界線の曖昧さ」によるもの。長くてなに言ってんだこいつ状態だけど。

 

 小説でもイラストでも音楽でも、それらの二次創作でもなんでも、「プロ」のクリエイターに劣らないハイクオリティな作品をネット上で公開している人が、昔から少なからずはいたと思うんですよ。「え?無料でこんなの読んで(聴いて)いいの?」みたいな。

 そんな作品にずっと触れてきた僕らからすれば、「プロもアマもそこまで大差なくね?」といった感覚がありまして。もちろん、その筋の頂点、トップアーティストなんかと比べれば、そりゃあ明らかに見劣りするけれど。

 

 ここ数年で、その傾向は更に強まってきているように思う。ニコ動に行けばびっくりするくらい歌唱力の高い人がいるし、pixivを見れば細部まで書き込まれた質の高い絵がごろごろ転がってるし、文章で多くの人を惹きつけているブロガーもいる。

 実際、彼らの中から「プロ」として商業作品を出す人だっている。別に誰もが「プロ」をゴールに目指しているわけではないし、そこで“選ばれる”ためには個性やら運やら実力やらが関わってくるのでしょうが。「プロ」と「アマ」の境界線がますます曖昧になっているのは間違いない。

 

 そんなネット上での創作活動を鑑みると、ブロガーが改めて「プロ」と名乗ることにはどんな意味があるんだろう?と考えずにはいられませんでした。確かに「ブログで食っていく」という表明にはなるかもしれないけれど、なんだか煮え切らないというか。

 ブログで生計を立てている人はすごいと思いますし、それを目指して試行錯誤してみるのもおもしろそうだなーとは思います。彼らから学ぶことも多いでしょう。

 

 ただ、「プロ」という言葉の持つ意味を考えると、誰もが等しく発信者であり、クリエイターでもあるネットの創作文化に無理に境界線を引き直しているようで、どうにも違和感が拭えない。

 「ネットで食える」人が増えるのは良いことだと思います。好きなことで生活していけるなら何も文句はないし、むしろどんどん増えていって欲しいとすら思う。けれど、そこで「プロ」という言葉を境界線にして、「食える人」と「食えない人」で区別してしまうと何かの断絶を招きそうで、あまり積極的に勧められるものではないような気もします。

 

 

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