ぐるりみち。

日々日々、めぐって、遠まわり。

マスメディアもインターネットも本質的には変わらない

 テレビや新聞、マスメディアの力に頼らなければ、社会で何が起きているかを知ることができなかった昔と異なり、インターネットが発達した現代において、情報収集の手段はいくらでもある。検索すればチョチョイのチョイ。Google先生は偉大だ。

 しかし、情報の「精度」という一点で見ると、ネットはデマと嘘、虚飾で満ち満ちている。扇動的な言葉で読者を煽り、受け手は情報源も確認せず、感情的に拡散してしまう。もちろん、マスメディアがそうではない、という話ではありませんが。

 デマに騙され、情報に踊らされた経験のある人は少なくないはずだ。にも関わらず、僕らは懲りずに繰り返してしまう。ちょっと考えれば分かるはず、ソースを確認してみれば明らかなはずなのに、どうしてだろう。

 受け手としての視点から改めて、「情報」の収集方法ついて考えてみようと思います。

 

マスメディア vs インターネット

 さすがに今は、「マスメディアはゴミだ!」と叫び、「ネットde真実!」と信奉するようなインターネット教信者は減ったように思うけれど、マスメディア<<<<<インターネットくらいに考えている人は、割といるんじゃないだろうか。

 僕自身、テレビでニュースを見る機会は減ったし、図書館にでも行かなければ紙の新聞を読むことはない。でもだからと言って、マスメディアが情報媒体として、ネットと比べて格段に劣っているとは思わない。

 

 「情報」に関して、ネットの持つ優位性は何かと言われれば、いつでもどこでも繋がる即時性と速報性、複数言語に跨る莫大な情報量、ユーザー間の繋がりで拡散される相互作用性、といったところだろうか。やはり、情報の量と早さは圧倒的だ。

 しかし、あまりに情報量が多すぎるため、自分の求める情報がなかなか見つからず、そもそも価値のないゴミ情報で溢れ返ってしまっているという欠点もある。さらに、速度を重視するあまり真偽を確認せず情報が伝わってしまうことも多く、たやすくデマが広まってしまうのも問題だ。

 

 対して、マスメディアの優位性はなんだろう。まず挙げられるのは、組織による圧倒的な取材力と情報収集能力。次に、それをプロが選別、検証した上で編集し発信する、情報の確実性。そして、専門チャンネル、専門誌に触れる消費者、対象顧客数の多さだ。

 ただし、複数の人の手が入ったり、外部あるいは上の人間の指示があったりすることで、情報が恣意的に歪められる可能性をはらんでいる。さらに、組織である以上はターゲットを絞って「数字」を上げる必要があり、それが偏向的に感じられてもおかしくはない。

 

 ぶっちゃけ、恣意性や偏向性に関しては、マスメディアもインターネットも、大差はないんじゃないかと思う。結局のところ、どちらにも人の手が入っているわけで。

 まとめサイトのタイトルは、週刊誌の煽り文句みたいなものだし、意図的に偏ったコメントを選ぶのは、街頭インタビューやアンケート調査で「聞こえの良い」意見だけを映しているのと同じようなもの。媒体が変わっただけで、やっていることはあまり変わらないのでは。

 そもそも、ネット上で「ソース」として引用されている情報源は、マスメディアの報道によるものである場合も多い。いちユーザーのタレコミだったり、個人サイトによる調査だったりする場合もあるけれどなくはないが、それらは得てして「確実」な情報としては参照され辛い。

 

 海外では、独自の調査網や報道体制を持ったネットメディアが話題に挙がりつつあるようだけれど、日本ではまだ、情報源としてはマスメディアが強いように感じる。

 なので、マスコミやネットが云々、というよりは、双方をうまく使い分けつつ、デマに踊らされないための情報リテラシーを個人個人が身に付ける必要があると思う。

 

情報のメンターを見つける

 では、情報の受け手として、僕らはどのようにリテラシーを学んでいけばいいのだろう。

 様々な切り口があると考えられるが、ここでは、『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』(PHPビジネス新書)で津田大介さんが勧めている方法を、一例として挙げてみようと思います。

 

「この人の言うことはおもしろい」「この人の情報は信頼できる」といったメンター(導師)的存在を何人かつくる。その人が本を書いているなら全部読む。その人が紹介する情報や書籍を継続的にチェックする。そうすることで、自分が情報を読み込むための軸ができてきます。

 

 簡単に言えば、自分が共感した、「いいね!」と感じた人を参考にすること。ブログの「読者」になるような、かるーい感覚でいいんだと思う。その人の考え方を取り入れつつ、自分の情報発信に活かすこと。それを繰り返していれば、自然と知識は増えるよ、という話だ。

 特定の人に追従するのは、それこそ知識や思想が偏りそうで怖くもあるが、本の中では「『信者』になる必要はない」とも書かれている。複数のメンターを見つけて、自分をレバレッジするためのツールとして、メンターを「使う」気構えが何よりも大事、とも。

 

 数を限定的にした、Twitterの「フォロー」と言い換えてもいいかもしれない。やみくもに多くの人の発言を追いかけるのではなく、特に気になる数人に絞って、彼らの発する情報に触れ続けること。そこから自分なりに吸収できる手段は吸収し、学べることは学ぶ、と。

 著名人や有識者であれば、デマを流す可能性は一般ユーザーよりも低い。燃えるから。発言力の高い人であればあるほど、ちょっとした発言で炎上しかねないので、発信する情報は確実性のあるものを選んでいると思う。彼らの主張や言い回しを参考にしつつ、自分の情報収集や発信にも役立てる。

 

 もちろん、ずっと同じ人を追う必要はないので、気になる人をとっかえひっかえしちゃってもいいんじゃないかと。得る情報も思想も、極端に偏ってしまっては、毒となる場合もあるはず。ただし専門性を磨こうとするのであれば、長期間に渡って追う必要がある。

 ネットに親しんでいれば、自然と様々な人の意見に触れることになる。その流動性を活かし、うまく流れに乗りつつ、情報を見極める「眼」を育てる。そうすることによって、この情報社会を最大限に活用することができるようになるのではないかしら。

 

情報メンターになりそうな人を勝手に選んでみた

 せっかくなので、独断と偏見でメンターになりそうな人を選んでみました。普段からネットに親しんでいる人であれば、有名な方ばかりかと。

 

※敬称略

 

津田大介(@tsuda

 ジャーナリスト。この記事でも引用させていただきました。日本国内におけるTwitter利用の先駆者。個人メルマガも発行しており、扱う情報はかなり広範。たまに炎上する。【著書:『情報の呼吸法』など】

 

佐々木俊尚(@sasakitoshinao

 作家。ジャーナリスト。ソーシャルメディアでの「キュレーション」を提唱。毎朝、厳選したニュースを欠かさずツイートしている。【著書:『キュレーションの時代』など】

 

池田信夫(@ikedanob

 経済学者。ブロガー。言論プラットフォーム「アゴラ」編集長。経済・社会問題に関して広く論じている。【著書:『「空気」の構造』など】

 

茂木健一郎(@kenichiromogi

 脳科学者。モノの見方、考え方など。毎朝、ネタも含めた連続ツイートをしている。【著書:『脳を活かす勉強法』など】

 

田端信太郎(@tabbata

 LINE株式会社常務執行役員。今はLINEの中の人こと、メディア野郎。発言はメディアに関する話題から、まとめサイトのネタまで、なんでもあり。【著書:『MEDIA MAKERS』

 

谷本真由美(@May_Roma

 ライター。情報通信コンサルタント。めいろまさん。仕事観、教育、福祉、女性問題など。欧米と日本の比較論が多め。【著書:『ノマドと社畜』など】

 

イケダハヤト(@IHayato

 プロブロガー。ブログ、NPO、生き方の話題など。ブログの更新頻度が高い。【著書:『年収150万で僕らは自由に生きていく』など】

 

たられば(@tarareba722

 編集者。時事問題、サブカル、思想など。最近、『魔法少女まどか☆マギカ』を観たらしい。【著書:『東日本大震災 警察官救援記録 あなたへ。』

 

後藤和智(@kazugoto

 ライター。世代論、若者論、統計学など。学術系の同人誌を多数発行している。【著書:『「あいつらは自分たちとは違う」という病』など】

 

鷹野凌(@ryou_takano

 ライター。「日本独立作家同盟」代表。サブカル、電子書籍の話題と言えば。【著書:『月刊群雛』など】

 


 

 以上、僕の観測範囲でメンターになりそうな人、10人でした。

 もちろん、別に著名人である必要もないわけで、身近な人を参考にするのもありだと思います。できるだけ様々な分野の人から学べれば、ベストかもしれませんね。

 

 

連載「ネットリテラシー」について