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ソーシャルメディアはこの2年間でどう変化したか

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  1. 「ソーシャルメディア」とは?その定義と種類、特徴
  2. ソーシャルメディアをカテゴライズしてみよう
  3. ネットとリアル、全てを繋げるネットワーク
  4. ソーシャルメディアはこの2年間でどう変化したか(本記事)

 

 「連載」と称して、ソーシャルメディアのに関する諸々の事情を3回に分けて論じてきましたが、これら1~3の記事は、ちょうど2年前に書いた僕の卒業論文です。一部、書き直したり、言い回しを変えた箇所はありますが、ほぼ原文のまま。

 読み直してみると、日本語がおかしいところがあって、「2年前に気付けよ……」と思ったり、「こんなざっくりとしたまとめが卒論で良かったのか……」などと考えたりもしたけれど、それはまあ置いておいて。

 

 2年前、2011年頃のインターネットと、2014年頭、現在のインターネット。僕らを取り巻くソーシャルメディア事情の何が変わり、また、変わっていないのか。本記事では、その辺りについて考えながらまとめていきます。

 そのため、過去の3回分とは異なって、参考文献の参照数が少ない、主観的な内容になるかと思います。あしからず。

 

 当時の流行り、というと若干の語弊があるかもしれないが、主に話題になっていたソーシャルメディアとして、FacebookとTwitterが挙げられる。まずは、その2つのサービスについて考えてみよう。

 

Facebook

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 2011年に1000万人だった*1国内のFacebookユーザー数は、2013年の時点で2200万人*2と、この2年間で2倍以上に膨れ上がっている。また、全世界のアクティブユーザー数もなお、増加傾向にあるようだ*3

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 しかし、この2年間、各メディアでは「Facebook疲れ」を指摘する動きも広まっている。Googleトレンドで調べてみると、2011年後半から使われるようになり始めたこの言葉は、2013年には非常に頻繁に使われていることが窺える。

 最近の指摘では、個人的に納得のいく内容だったのが、次の記事だ。

 世界的に、若者のFacebook離れが進行している最中、40代以上の利用者が増加しつつある、という内容である。この指摘は、概ね正しいのではないだろうか。特に興味もない知り合いの投稿に、いちいち「いいね!」を押す作業に疲れてしまった。コミュニケーションツールとしてのFacebookの価値は、若者の間ではほとんどなくなってしまったと思われる。

 一方、40代以降の「おじさん世代」にとっては、過去の思いもよらない知り合いを繋げてくれるFacebookは、魅力的に感じたのかもしれない。若者の交友関係は、小中高等学校と大学などに限定され、しかも、学生時代から携帯電話を使っていた人も多く、既にお互いのメールアドレスを知っているケースが多い。

 が、それがなかった上の世代からすれば、もう何十年も連絡を取っていなかった昔の友達と再会させてくれる可能性を持つFacebookは、非常に便利なツールとなり得ているのではないだろうか。

 では、若者がどこへ行ってしまったのかと言えば、欧米ではsnapchat、日本ではLINEといった、新興のサービスが考えられる。これらについては、後述する。

 

Twitter

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 Facebookが状況を変えつつある中、Twitterもまた、アクティブユーザー数を増やし続けている。2013年末時点の月間アクティブユーザー数は2億4100万人であり、前年末に比べて30%の増加となっている*4

 「Facebook疲れ」が指摘されていたFacebookに対して、Twitterに関する最近の話題と言えば、昨年、大流行した一連の炎上騒ぎ、いわゆる「バカッター*5と呼ばれるものがある。これは、投稿者自身にとっては「おもしろい」と感じられるが、周囲からすれば迷惑行為以外の何物でもない発言や写真を投稿したことで、それを見た他のユーザーから激しく批判され、「炎上」騒ぎに至るものだ。

 「バカッター」はなぜ起こってしまうのか。そんな分析記事も、昨年は各所で見られた。若者のモラルの低下、公共の場という認識の皆無、孤立不安、ネットリテラシーの問題。様々な切り口で論じられてきたが、強引に一言でまとめるのなら、「Twitterというツールが成熟期に入ったため」と説明できると思う。

 国内におけるTwitterのアーリーアダプターと言えば、有名なのは津田大介*6氏だ。彼がTwitterを始めたのが2007年のことであり、「Tsudaる」という言葉が生まれ、じわじわとネットウォッチャーの間で広まっていった。そして2010年、当時の鳩山由紀夫首相がアカウントを開設したことで*7、マスメディアに取り上げられる機会も増え、広く一般層にも普及することとなった。

 そんなTwitterが、普段はあまりネットサービスを利用しない、他のSNSすら使ったことのないような層にまで広まり、ほぼ普及しきったのが、2013年であったのではないだろうか。言い換えれば、ネットリテラシーのあまり高くない人達。彼らにとってTwitterは、メールや電話と変わらない、仲間内のコミュニケーションの道具であって、そこに外の世界があることを認識できていない、していても、意識には上らないようなものだったのだと思う。ゆえに、短絡的な投稿をして、「見えない世界の住人達」から攻撃を受けてしまった。

 Facebookほどではないが、Twitterに関しても、「Twitter疲れ」という言葉を目にすることはある。が、1ユーザーとして、あまり実感はない。Twitterを止めて他のサービスに移った、という話もあまり聞かないため、ウェブ上の一大ソーシャルメディアとして、しばらくはその役割を担い続けるはずだ。

 

新しいソーシャルメディア~snapchatとLINE

snapchat

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 海外の若者の間で今、圧倒的に人気なのが、snapchatだ。約6000万ダウンロード、月間アクティブユーザーは約3000万人、そして、そのうちの55%が毎日使っているというらしいから驚きだ*8

 snapchatの特徴は、「残らない」こと。送信されたメッセージや写真は、10秒程度で消えてしまい、記録されない。デジタルでありながら、リアルに近いコミュニケーションとして、注目を集めている。

 明確なデータは見つからなかったが、海外でFacebookを見なくなった若者たちが向かった先が、このsnapchatなのではないかと思う。全てをソーシャルグラフとして記録するFacebookに対して、何も残さないsnapchatは、同じコミュニケーションツールでありながら、真逆の性質を持ったサービスだ。

 彼らが、何もかもを記録し、友達の記録にも反応しなければならないFacebookに疲れてしまったのだとしたら、全く何も記録しない、刹那的なコミュニケーションに惹かれるのは、必然だったのかもしれない。

 

LINE

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photo by WindKoh

 日本国内において、この2年間で急成長したサービスと言えば、やはりLINEだろう。国内ユーザーは約5000万人*9、世界での登録ユーザー数も3億人を突破した*10。LINE代表取締役社長の森川亮氏によれば、「第3者のスマートフォン利用動向調査を引用すると、スマートフォン利用者の実に90%がLINEアプリをインストールしているという結果もある」というのだから、その広まり方にはすさまじいものがある*11

 LINEの特徴は、他のソーシャルメディアとは一線を画した閉鎖性だ。FacebookやTwitterは、誰でも見れる「全体公開」か、一部ユーザーにしか見られない「非公開」を選択することができるが、LINEはそもそも限定されたユーザーとしか繋がることができない。

 個人もしくはグループでのチャット、音声通話に特化しており、そこに他者が入る余地は用意されていない。見知らぬ人と繋がるには、相手にIDを教えて検索してもらうしかないが、現在、18歳未満のID検索機能は制限されている*12

 このようなLINEの特徴を鑑みると、その役割は「連絡網」的な面が大きいように思える。連載1-2で示した「ソーシャルメディアの地図」に当てはめるなら、現実世界と人間関係が重なる領域がふさわしいだろう。

 ただ、そう考えると、この領域で問題視されていた、「オンラインに持ち込んだ現実生活の交友関係によって、お互いを常に監視するような息苦しい空間となってしまう」という要素も、LINEははらんでしまっている。それが、「既読スルー」の問題だ。

 これは、昔から続く、「メールのやり取りはどこで終えればいいのか」というタイミングや、「mixiの足あと問題」とよく似た構図であるように感じる。「相手は読んでいるはずなのに返事がこない……なんか悪いこと言っちゃったのかな」と不安になったり、「読んでいるのに返事をしないとはけしからん!」と怒ったり、ネガティブな感情を引き出してしまうもの。

 文字でのコミュニケーションにおいては、どうしても昔から、情報伝達に齟齬が発生しがちだ。この問題を解決するには、そのことを念頭に置いた上で「気にしすぎないようにする」か、もしくは「この挨拶をしたら終わり!」というようなルールを2者間で決めるなどの対策を講じる他ないと思う。

 

2年間で起こった変化と、2014年のソーシャルメディア

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 FacebookとTwitter、そしてsnapchatとLINEに限った話になるが、この2年間のソーシャルメディア情勢で見られた変化は、一口に言えば、「より閉じられた環境で行われる、シンプルなコミュニケーションが好まれるようになった」と言えるのではないだろうか。

 Facebookは機能が多いし、周りの目を気にしてしまう。Twitterはシンプルなインターフェイスを持ち、自分が好きな人達だけと交流することもできるが、炎上というリスクもはらんでいる。そんな中で、より限定された関係性を前提とし、かつ単純なコミュニケーション手段を持った、snapchatとLINEが広まってきた。それはある意味で、「コミュニティの縮小化」と呼べるものなのではないだろうか。

 他方では、日本国内においては、キュレーションサービスも広く普及した。NAVERまとめや、2ちゃんねるのまとめブログなど、「集約化された情報」の価値が大きくなった印象がある。

 これらを、再び連載1-2のソーシャルメディアの地図に当てはめるとすれば、価値観と情報交換が重なる領域がふさわしい。ここでは、特定の人にとって有益な集合知が形成されるが、やはり同時に、偏向性の高さといった、情報の不確実性というデメリットもそのまま持ってしまっている。

 大雑把にまとめれば、この2年間で、ソーシャルメディア事情はこのように変わったと言えるだろう。では、これからのソーシャルメディアはどうなっていくのだろうか。

 多くの識者が展望を書いているが、個人的に納得がいったのは、次の記事だ。

 ソーシャルメディアという言葉が消えていくかどうかは分からない。が、常に新しい言葉と流行を渇望している人は多いと思われるので、そろそろ「ソーシャルメディア」にとって変わるものが現れてもおかしくないのでは、と思う。そして、これからは「動画」が、ウェブ上でその存在感をより高めていくと考えられる。

 日本でも、ようやく広まり始めたショートムービー制作アプリ、VineInstagramを始めとして、今もなお勢力拡大を続けるYouTube、さらには、海外で急成長、国内でも乱立し始めたバイラルメディアなどが、これからどんどん大きくなっていくのではないだろうか。

 特に、バイラルメディア。既存のコンテンツをまとめ、紹介していくというスタイルは、まとめサイトが大好きなユーザーたちに、そのまま受け入れられていくと考えられる。そうして動画の価値が高まっていけば、自然とその発信元、オリジナルの投稿者が重宝されることとなり、「動画」というメディア全体が盛り上がっていくことに繋がると思う。

 そう考えると、いまだにインターネットとの距離感を探っているように見えるマスメディア、つまり「テレビ」がウェブに積極的に参入しようとするのなら、このタイミングを逃す手はないのではないだろうか。

 海外では、個人や少人数によるニュース動画も人気ということで、その流れがこの先、もし日本にも波及してくれば、テレビ局の価値は下がり続ける一方だろう。単純な情報量と情報の確実性、組織力では勝っていても、報道の斬新さや多面性では、「自由」が売りのネットに持って行かれてしまうかもしれない。テレビ業界周辺に大きな変化が起こるとすれば、ウェブ上で動画の存在感が高くなった後、そろそろだと思うのだけれど。

 昔から、インターネット界隈は移り変わりが激しいと言われて久しいが、今年もきっと多くの新サービスが登場してくることだろう。それらは僕らにとって有益だったり、楽しかったりするものかもしれないが、これまでのサービス同様、どうしても何らかの問題点は生まれがちだ。

 そこで失敗して、炎上してしまったり、周囲に迷惑をかけたりしてしまっては、元も子もない。本来は便利に使えるはずのツールに振り回されないためにも、普段から、その妥当性を見極め、「考えて」使う意識は大切になってくる。マナーとか、モラルとか、リテラシーとか。問題とされることは多々あれど、共通してするべきことは、ただひとつ。自分の頭で考えて、使うこと、それだけだ。

 

本連載の記事一覧

*1:Facebookの利用者数が1,000万人を突破、ネットユーザーの17%が利用、ネットレイティングス株式会社(2011/9/29)、http://www.netratings.co.jp/news_release/2011/09/facebook100017.html

*2:アジア各国のFacebook推定ユーザー数を発表、日本は2000万人を突破し5位、ITpro、(2013/8/8)、http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130808/497502/

*3:Facebook passes 1.19 billion monthly active users, 874 million mobile users, and 728 million daily users、THE NEXT WEB(2013/10/30)、http://thenextweb.com/facebook/2013/10/30/facebook-passes-1-19-billion-monthly-active-users-874-million-mobile-users-728-million-daily-users/#!uMIOn

*4:ツイッター、10-12月期は大幅増収も赤字拡大―開発費の増加響く、ウォール・ストリート・ジャーナル(2014/2/6)、http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140206-00000617-wsj-bus_all

*5:バカッターとは - ニコニコ大百科、http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%90%E3%82%AB%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC

*6:津田大介 - Wikipedia

*7:鳩山首相がTwitterを開始。「1日1ツイートが目標」、INTERNET Watch(2010/1/5)、http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100105_340504.html

*8:The Truth About Snapchat's Active User、BUSINESS INSIDER(2013/12/9)、http://www.businessinsider.com/snapchat-active-users-exceed-30-million-2013-12

*9:3億人突破のLINE、世界制覇の秘策とは?、東洋経済オンライン(2013/11/26)、http://toyokeizai.net/articles/-/24940

*10:【LINE】LINE、登録ユーザー数が世界3億人を突破(2013/11/25)、http://linecorp.com/press/2013/1125636

*11:スマホ利用者の90%が使用 - 3億ユーザーを目指すLINEの取り組み、マイナビニュース(2013/8/26)、http://news.mynavi.jp/articles/2013/08/26/line_conference/

*12:LINE、18歳未満のID検索制限、iPhoneでも開始、INTERNET Watch(2013/12/6)、http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20131206_626641.html