ぐるりみち。

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「ソーシャルメディア」とは?その定義と種類、特徴

 Googleトレンドによれば、「Social Media」という言葉は、2004年頃からウェブ上に存在していたが、頻出度が高まっていったのは、2009年以降だということが分かる。

 同じく日本語の「ソーシャルメディア」で見ても、2007年にはニュース記事で扱われ始め、2010年から急激に検索数を伸ばしていることが窺えるが、2012年以降、品種ドが下がりつつあるようだ。その理由として、日本における「ソーシャルメディア」という単語が、ある種の流行語として使われていた可能性が考えられるが、真偽は定かでない。

 このように、ウェブ上でもその存在感を高めている「ソーシャルメディア」という単語を聞いて、まず何が思い浮かべられるだろう。

 おそらく、多くの人はソーシャル・ネットワーキング・サービス(social network service)、いわゆるSNSを脳裏に浮かべると思われる。最近は名前を耳にする機会も減りつつあるが、日本におけるmixiやGREE、もしくはTwitterやFacebookなど、それらの名前を口にする人が大半だろう。

 SNSも、もちろんソーシャルメディアの一種だ。しかし、それが全てではない。現代のインターネット上には数多くのサービスが存在しており、その全てを一括りにできるものではない。何を以て「ソーシャルメディア」であるのか。その定義と特徴を確認してみよう。

 

ソーシャルメディアの定義

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 前述のように、一般的には、ソーシャルメディア=SNSというイメージが先行している節がある。書店に並ぶ本を一見してみても、ソーシャルメディアとはTwitterやFacebookなどのことであり、それらに関するハウツー本が今なお数多く出版されているようだ。

 しかし、SNSに限らず、様々なソーシャルメディアのサービスが生まれ続けている現状を鑑みるに、そのような枠にはまったイメージに囚われてしまうのは、どうだろう。

 Andreas KaplanとMichael Haenleinは、次のように定義している。

インターネットに基づくアプリケーションの一群であって、Web2.0の思想的或いは技術的基礎付けの上に作られ、UGCを作りだし交換できるようにするもの*1

 この説明を確実に把握するためには、まず「Web2.0」について確認する必要がある。これは、Tim O'Reillyが構想・提唱したウェブの概念であり、以下が彼の定義となる。

旧来は情報の送り手と受け手が固定され送り手から受け手への一方的な流れであった状態が、送り手と受け手が流動化し誰でもがウェブを通して情報を発信できるように変化したweb*2

 他の有識者の発言を見ると、少し違った言葉で説明されている場合もあるが、そこに共通して見られる特徴は、「誰もが発信者として能動的に活動している」という点だ。言わばWeb2.0とは、一方的な送受信ではなく、従来の消費者を含めた誰もが情報の発信者となり得るウェブの状態であると説明できる。

 そのようなWeb2.0の思想的・技術的基礎を念頭に置いた上で、「UGCを作りだし交換できるようにする」ソーシャルメディアとはどのようなものか。

 UGC(user-generated content)とはユーザー生成コンテンツのことであり、共によく使われる単語としてCGM(consumer-generated media、消費者生成メディア)がある。ユーザーや消費者が単なる受け手の立場ではなく、情報やモノの送り手・作り手として活動しているメディアがCGMであり、そこで作られるコンテンツがUGCである。例としては、ブログや動画投稿サイトのようなサービスが挙げられるだろう。

 これだけを見ると、どちらもUGCを作り出すソーシャルメディアとCGMはまるで同じものであるようだ。先にあったCGMという単語を、ソーシャルメディアが食ってしまったかのような印象も受ける。双方に違いはないのだろうか。

 この違いについて、2つの意見を参照してみよう。

CGM は「みんなが閲覧できる公開された場」であり、「知らない人たち同士」の意見の集約の場であるが、ソーシャルメディアは「内輪でしか閲覧できない公開されてない場」であり、「友人や知り合い」との雑談の場である*3

CGMではメディアの生成者を対称にしているので、企業やプロから消費者にメディアの生成者が代わるだけで、その行動パターンの変化が強調されていない。しかし、ソーシャルメディアでは消費者やプロという視点は重要ではなく、消費者もプロも企業もみんな巻き込んで、「ソーシャル」な「会話」や「コミュニケーション」が発生することが本質である。*4

 後者の説明は納得できる。CGMはコンテンツの作り手が消費者に成り変わっただけであり、そこにWeb2.0の示す一方的な流動性の変化は見られない。同じUGCでも、双方向性の強いコミュニケーションが行われる場こそがソーシャルメディアの本質であるという点にも合点が行く。

 一方、前者の説明には疑問を呈したい。Web2.0の定義、そして後者の意見を踏まえて考えると、場所や交流相手の違いに関係なく双方向のコミュニケーションの場が行われているサービスは、どちらもソーシャルメディアなのではないか。この説明におけるソーシャルメディアは、どちらかと言えばSNSに強く見られる特徴であるように思える。

 ここまでの話をまとめると、このようになる。

  • ソーシャルメディアの根本にあるのは、Tim O'Reilly によるWeb2.0の概念
  • 特徴①:誰もが発信者として能動的に活動している
  • 特徴②:そこにいる人間は自らの持つ情報や創作物をUGCとして自由に発信することができ、他のユーザーと交換したり、コミュニケーションをとることができる

 つまり、ソーシャルメディアとは、これまでのように一方的に情報を受け取るだけではなく、自らも発信者になれる場所であり、そこでは他の人と情報交換や交流をしながらあらゆるモノを作り出すことのできる新しいメディアのことである。

 

様々なソーシャルメディア

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  前節では、その定義を再確認することで、ソーシャルメディアという概念を形作っているものが何であるか、という点を明らかにした。本節では、具体的なソーシャルメディアの例を挙げながら、各サービスの持つ特徴を捉えつつ現在のソーシャルメディア事情の把握を試みる。

 

Facebook(SNS)

 Facebookは、全世界でのユーザー数11億人*5を誇る、世界最大のSNSだ。近年、減少傾向にあると言われて久しいが、日本ではいまだユーザー数が増えつつあり、現在国内のユーザー数は2200万人を超えている*6

 Facebookの主たる特徴は、実名制を取っていることであり、それ故に現実世界での人間関係をウェブ上に持ち込むことを前提としている点だ。そのため、「オープンであること」を大切にしてきたインターネット全体から見れば、しばしば「閉鎖的」であると表現されることも多い。

 しかし、一方でFacebookは、ソーシャルプラグインを利用することであらゆるサイトとリンクしている。これはニュースサイトなどでよく見かける「いいね!」ボタンのことであり、これをクリックするだけでそのページと繋がり、同時にその情報をFacebook上の友達と共有することで、コミュニケーションも促進するというものだ。

 「いいね!」ボタンはニュースサイトに限らず、ブログや企業・個人サイトなどにも設置することができるため、やろうと思えばウェブ上のどのようなサイトともリンクすることが可能ということになる。

 つまり、Facebookは限られた交友関係が結ばれるクローズドな場所でありながら、あらゆるウェブサイトと繋がり、情報を共有できるオープンな場所であるとも言える。

 

Twitter(ミニブログ)

 たびたびSNSの一種として数えられることもあるTwitterだが、一般的には「ミニブログ」というカテゴリーに属するものだ。全世界でのアクティブユーザー数は2億8800万人であるとされている*7

 Twitterでは「タイムライン」と呼ばれるホーム画面で、自分の投稿とあらかじめ「フォロー」したユーザーの投稿を、時系列順に見ることができる。投稿される内容は様々であり、近況や今どこにいるかといった内容から、趣味や情報交換まで広い範疇の投稿がされ、時に他者の投稿に対してお互いに返事をすることでコミュニケーションが行われている。

 このような、SNSともメールともチャットとも異なる独特の「ゆるい」コミュニケーションが、Twitterの特徴だ。ソーシャルメディアの多くには「場所と時間に制限されない」という特徴が見られるが、タイムラインという形式を取っているTwitterにおいてはそれがより顕著であるようだ。多くの人は自分のペースで気ままに投稿し、たまたま同じ時間にタイムラインにいた人とコミュニケーションをしている。

 このいつでもどこでも参加できる「タイムライン」という形によって、Twitterは自由で「ゆるい」空間として機能していると言えるだろう。

 

Ustream(動画共有・配信サービス)

 動画を扱うサービスと言えば、世界的にはYouTube、日本国内ではニコニコ動画などが挙げられるが、それらと同じくユーザー数を増やして続けているのがUstreamだ。その数は全世界で約5000万人、日本では約400万人に達するという*8

 Ustreamは、ライブキャスティングやライブビデオストリーミングに特化した、動画プラットフォームサービスだ。インターネット環境とWebカメラさえあれば、誰でも世界中に放送を配信することができる。つまり、誰もが自らの番組を生放送することが可能なツールだ。個人でラジオ番組のように配信する人も多いが、一方ではテレビ局の番組の再放送や、企業の会見、音楽ライブなど、様々な用途で利用されている。

 日本国内では、東日本大震災で活躍したことが記憶に新しい。多くのテレビ・ラジオ放送局がUstreamで番組の再配信を実施したことによって、被災地など国内でテレビの映らない地域だけでなく、世界中の人々がストリーミング中継を視聴することができた。

 緊急時におけるソーシャルメディアの利便性は、震災をきっかけに議論される機会も増えたが、Ustreamはその中でも大きな役割を果たしたと言ってもいいだろう。

 

ブログ

 はてなブログ、アメーバブログ、livedoor Blog、WordPressなどに代表される各ブログサービスも、ソーシャルメディアに数えられる。日本でのブログの利用状況は目を見張るものがあり、2006年第4四半期においては世界のブログ投稿数の37%が日本語によるもので、英語や中国語を抑えてのトップになったという記録もある*9

 ブログの用途は多種多様であり、ユーザー個人の日記から、ニュースのまとめ、技術情報、雑学、小説の公開など多岐に渡る。そしてその特徴は、誰もが気軽に情報発信や自己表現を行えるという点にある。

 昔から個人のウェブサイトは多く存在したが、技術的な理由からサイトを作れない人も少なくなかった。そのため、HTMLなどの知識も必要なしに簡単な操作で自分自身のサイトを作ることのできるブログは、瞬く間に広まったと考えられる。最近では人気タレントや政治家、著名人なども大勢が利用しており、自身のファンとの交流や情報発信の手段として一役買っている。

 

ナレッジコミュニティ(集合知)

 ナレッジコミュニティ、つまりいわゆるQ&Aサイトもソーシャルメディアのひとつだ。Yahoo!知恵袋やOKWave、発言小町などが挙げられる。Q&Aサイトとは異なるが、集合知をもたらす場としては、2ちゃんねるなどの電子掲示板や、カカクコムなどの口コミサービスも数えられる。

 これらの特徴は、検索エンジンで探しても見つからない情報を入手することができる点だ。日常生活における些細な疑問や、問題への対処法、具体的な手段への説明など、検索しても見つからない情報でも、ナレッジコミュニティならば、そこにいる人間が答えてくれる可能性がある。

 もちろん正確な回答が得られるとは限らないし、回答者の性質や考え・思想によっても回答の内容が左右されるため、安易に信じてしまうのは危険だ。電子掲示板や口コミサービスも同様である。思ってもみない役に立つ情報を入手することもある一方で、全くの嘘八百を教えられる可能性もあることも考慮しなければいけない。

 

ソーシャルメディアの特徴

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 さて、ここまでいくつかのソーシャルメディアを例に挙げてきたが、そこにはどのような特徴があっただろうか。そして現在、ウェブ上には多種多様なソーシャルメディアが存在するが、それらに共通点はあるのだろうか。

 大元隆志は、ソーシャルメディアの必須要素として以下の①~③の項目を、必ずしも満たしている必要はないがよく見られる特徴として④、⑤の項目を、それぞれ示している*10

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 必須要件の①~③に関しては、前述したどのソーシャルメディアにも当てはまると考えられる。形式は異なれど、どのサービスもインターネット上に存在し、情報の交換や伝達の手段として機能しており、誰もが発信者として活動できる場所である。

 続いて④と⑤の特徴に関しては、満たしていないケースも充分にあり得るだろう。④の双方向性に関しては、例えばコメント欄を敢えて設置せず一方的に情報発信を行なっているブログユーザーも少なからず存在するし、⑤に関しては、情報収集の手段としてのみTwitterを利用し、自らは全く投稿しないユーザーも考えられる。

 先に言及した定義と重複する点もあるが、このことから、この表の説明は妥当であると判断することができる。

 他方では、ソーシャルメディアに見られる特徴のひとつに「ネットワーク外部性」と呼ばれるものがある。これは、ネットワークの特性を持つ製品・サービスにおいて、利用者数や利用の頻度などがその製品・サービスの利用によって得られる効用や利用価値に影響を与えるという性質のことだ*11

 言い換えると、サービスの利用者が増えれば増えるほどその価値が高まり、さらに利用者が増えるという正の相関のことだ。ソーシャルメディアにおいては、この効果が特に顕著に見られると考えられている。例に挙げたFacebookやTwitterなどのサービスにおけるユーザー数の増え方を見ても、その勢いはすさまじいの一言だ。

 なぜ、ソーシャルメディアでは、これほどはっきりとユーザー数の増加が見て取れるのだろう。それはやはり、ソーシャルメディアが人々を繋ぐための媒介として機能しており、SNSを代表するように、より能動的かつ積極的な交流を促進する性質を持っているためだと考えられる。いくつものサービスがわずか数年で全世界に広がることができたのは、ソーシャルメディアの持つ特性と目指す方向性、それにネットワーク外部性という構造が見事に適合したために他ならない。

 

本連載の記事一覧

※参考資料は、最後の記事にまとめて掲載しております。
※敬称略。

*1:Kaplan Andreas M., Haenlein Michael(2010), Users of the world, unite! The challenges and opportunities of social media, Business Horizons, Vol. 53, Issue 1, p. 59-68

*2:Tim O'Reilly(2005), What Is Web 2.0 Design Patterns and Business Models for the Next Generation of Software, http://oreilly.com/web2/archive/what-is-web-20.html

*3:原田明典(2010)、mixiにしかないもの。、株式会社インタラクティブ・プログラム・ガイド G-PRESS インタビュー、http://www.ipg.co.jp/press/story/vol79.html

*4:徳力基彦(2006)、最初に、CGMと呼ばずにソーシャルメディアと呼ぶべきだったのかもしれない、tokuriki.com 、http://blog.tokuriki.com/2006/10/cgm.html

*5:Facebookユーザー数調査、40カ国中15カ国で利用者減、INTERNET Watch(2013/6/6)、http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130606_602429.html

*6:フェイスブックの国内ユーザー数が2,200万人に:mixiの2倍程度?、BLOGOS(2013/12/29)、http://blogos.com/article/76878/

*7:アクティブユーザー数が急激に増え続けているツイッター、BLOGOS(2013/1/30)、http://blogos.com/article/55197/

*8:「有料視聴は年内に間に合わせたい」――サプライズも飛び出したUstream Asia×Cerevo対談、TechCrunch(2010/11/8)、http://jp.techcrunch.com/archives/jp-2011-ustream-cerevo-talk-session/

*9:The State of the Live Web, Sifry's Alerts(2007/4/5), http://www.sifry.com/alerts/archives/000493.html

*10:大元隆志(2011)、ソーシャルメディア実践の書、リックテレコム社、P16

*11:ネットワーク外部性(network externally / ネットワーク外部効果)、情報マネジメント用語事典、@IT情報マネジメント、http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/networkexternality.html