男着物の入門編!初心者が和服生活を始めるには?メリットとデメリットも知りたい!


着物男子

 

子供の頃に抱いていた夢のひとつに、こんなものがあります。

 

「大人になったら、
 自分の着物をそろえたい!」

 

そんな自分が大人になり、夢を叶え、着物を身に纏うようになってから、はや半年。着物生活は本当に楽しく、しかも思いのほか快適なものでした。

本記事では自分がどのように着物を買ったのか、「男きもの」の具体的な始め方と体験談をまとめています。男性向けの「着物入門」的な情報は少なく、僕自身も苦労した覚えがありますので、少しでも参考になれば幸いです。

 

「男きもの」って流行ってるの?

まず最初に、「そもそも男性のあいだで着物って流行しているの?」という疑問について。たびたびメディアでも話題になりますが、たとえば、過去には以下のような記事がありました。

2012年11月、小栗旬さん、松坂桃李さんをはじめとするイケメン芸能人の着物姿を集めた『きもの男子』という写真集(幻冬舎刊)が大ヒットしました。それ以降、男性が着物を着ることに注目が集まっています(今年の夏は、浴衣を着てお祭りに行ったという男性も多いのではないでしょうか)。

男の着物を楽しむコツ〜男たちよ、着物を着て街へ出よう! : ライフハッカー

とはいえ、本当に流行っているかどうか……と言われると正直、微妙なイメージもあります。上の記事で紹介されている写真集にしても、購買層は女性が大半なのではないでしょうか。

しかし一方で、夏祭りや花火大会に目を向けてみれば、浴衣を着た男性の姿を見る機会は増えたように思うのですが……どうでしょう?

一昔前は、「夏は浴衣でお祭りへ!」と聞くと、女性向けの宣伝文句にしか聞こえませんでした。でも最近は、デパートなどで男性向けの浴衣が売っているのを頻繁に見るようになりましたし、実際、お祭り会場で和服姿のカップルを目にすることも多くなったように思います。

そのような様子を見るかぎりでは、「男が和服を着る機会」は徐々に増えつつあるのかもしれません。日常生活で目にすることはまだまだ少ないものの、水面下で少しずつ広まっていることは、どうやら事実らしいのです。

先日、着物屋の店員さんに聞いてみたところ、「新しく着物を買いたいんですけど……」と来店される男性も実際に増えているとのお話でした。年齢に関わらず、着物男子は、着実に勢力を伸ばしつつあるようです。

 

【準備①】男着物の入門サイトで、基本をチェック!

さて、「じゃあ着物を着てみよう!」と思い立ったはいいものの、着物に関する知識が皆無ではどうしようもありません。なので、まずは参考になりそうなサイトをご紹介します。

男のきもの大全

男のきもの大全
男のきもの大全 | 男の着物の総合情報サイト

「男の着物」と言えば、まずはやっぱりこのサイト。「大全」の名の示すとおり、わからないことはこちらで検索すれば、だいたいは解決してしまいます。

ただ、何も知らない初心者からすると、ちょっと情報が多すぎるように感じるかもしれません。なので、まずは他のサイトで大まかな概要と知識をざっと仕入れたうえで、わからない点を補完する「副読本」として利用のがおすすめです。

きもの-わ-ふく

きもの-わ-ふく
きもの-わ-ふく:男性の和服(着物)についてのサイト

「細けぇこたぁ気にすんな!とりあえず着てみんさい!」という軽いノリが特徴の、ゆるーい入門サイト。他のサイトと比べて、適度に砕けた文体がなかなか読みやすいので、気楽に学びたい方はこちらでどうぞ。

 

【準備②】男着物の入門書で、もっと詳しく知ろう!

また、近年は「男の着物」に関する本も多く出版されるようになりましたが、その中でも実際に僕が購入して、役に立った2冊をご紹介します。

ビジュアル版 男のきもの大全

前述の入門サイト「男のきもの大全」の書籍版。

着物の基本から始まり、生地や織り方、各和装用品の解説や、手入れの方法、着物生活のポイント(トイレ、雨、食事での着物)などなど、「これ一冊あればOK!」と言えるくらいに充実した本です。今でも常に手の届く場所に置いておくほど、すごくお世話になっています。

男を上げる「着物」読本 〈完全保存版〉

プレジデント社から発行している着物雑誌、『七緒』の完全保存男性版。表紙の山崎まさよしさんが超かっこいいですね。

この本の魅力は何と言っても、大きなカラー写真で着付けの手順を説明している点。イラストではわかりにくい帯の結び方もしっかりと写真で解説しており、「イラストだとわかりづいらい!」というときに、よく本書を広げながら着付けの練習をしておりました。

 

【実践①】着物を買おう!まずはネット通販でもOK

「よし、着物については勉強したし、着たときのイメージもなんとなくわかったぞ!」とくれば……さあ、実際に買いに行きましょう。

とは言え、最初から店に飛び込むには勇気が必要。そこで最初の一歩として推奨したいのが、ネット通販です。選択肢としてはやはり「Amazon」「楽天」がお手軽。検索すると数多くの着物が出てきますが、ここでは自分が実際に購入したものを含む、おすすめの商品をご紹介します。

浴衣セット 4点セット

自分が初めて買ったのは、こちらのセット。「浴衣に帯、雪駄にその他諸々がついてこのお値段!」ということで試しに購入し、部屋着として使っております。夏はびっくりするほど過ごしやすい。

ただ、しばらくして本格的な着物を仕立てに行ったため、こちらのセットを外で着る機会には恵まれなくなりました。最初の一歩、着物の「お試し」としてはありですが、長く着ることを考えれば、もう少し質の良いものを買ったほうがいいかもしれません。

紳士着物セット

こちらは、着物生活をすぐに始められる、すべてのアイテムが揃ったセットです。

必要最小限の「お試し」的なイメージもあった上のセットに対して、こちらはすぐにでも「着物生活」を始めることができます。そのぶんお値段も少し張りますが、本気で着物を生活に取り入れていこうというのでしたら、まずはおすすめしたい一品です。

 

着慣れてくると「自分専用」が欲しくなる

さて、通販で買った浴衣や着物を着慣れてくると、やはり「自分専用」の着物も欲しくなってくる。街中ですれ違う着物男子の着こなしを見て、「明らかに素材が違う!」とか「めっちゃおしゃれ!」などと感じるようになり、自分でも選択肢を増やしたくなってきます。

いわゆる「呉服屋さんで仕立てた着物」に興味を持つようになる感じですね。

自分の場合は、上記の通販で買った着物生活にも慣れてきたタイミングで、「よし、そろそろ乗り込もう!」と決心をして、自分の着物を仕立ててもらうことにしました。浴衣やポリの着物は過ごしやすいけれど、やはり本格的な「着物」を着てみたかったので。

――というわけで、前述のサイトや本の中で「男の着物はここで買えるよ!」というお店がいくつか紹介されていたので、気になったところへ突撃しました。

 「男の着物たけもと」公式サイト

男着物メンズ浴衣専門店-男の着物たけもと-より

訪れたのは、男の着物たけもとさん(旧アッパース)

店内に入って迎えてくれたのは、まだ若く優しそうな店主さん。「実は着物に興味がありまして、ひととおり揃えたいのですが……」などと初心者丸出しの自分に対して、とても丁寧に対応してくださいました。

まずは、着る季節、場面、価格、手軽さなどを相談。その場でサイズを測り、長着と長襦袢の仕立てをお願いし、ついでに雪駄と帯も購入しました。10万円近くの代金となったため、さすがに踏み切るのに躊躇がありましたが……結果としては後悔することもなく、いい買い物ができたのでよかったです。

そして1か月後、仕立て上がった着物を取りに伺って、試しに着せてもらったときは、本当に心から感動したことを覚えています。すげえ! とんでもなくぴったりだ! ……と。しっかり採寸したので、当然と言えば当然なのですが。

「男の着物専門店」であるこちらのお店で初めての買い物をしたことは、個人的には大正解だったように思います。商品を薦めてもらうときも、複数の選択肢を用意していただき、とても良心的に感じました。

洋服を買うときには、店員さんの視線が気になってしまう僕ですが、こちらのお店では丁寧な接客と心地の良いやり取りが感じられて、最高に満足のいく買い物ができたように思います。お世話になりました。

 

【実践②】意外とたくさん!男の着物専門店

自分の場合はアッパース(たけもと)さんが着物店の初体験となりましたが、他にも「男の着物」に特化したお店は数多く存在します。上記サイト&本でも取り上げられていますが、簡単にいくつかご紹介。

銀座もとじ 男のきもの

 「銀座もとじ 男のきもの」公式サイト

男の着物専門店「銀座もとじ 男のきもの」より

日本初の男着物専門店を開いた、銀座もとじさん。

普段着から超一流の反物までだけでなく、海外ブランドとのコラボ商品などもあり、品揃えがとても幅広い呉服屋さんです。着付けなどの各講座もたびたび行われており、初心者にもおすすめできそうです。

男のきもの専門店 イオリスク

 「男のきものスクエア イオリスク」公式サイト

男のきもの専門店 イオリスクより

「男のきもの大全」の早坂伊織さんによる直販サイト・イオリスクさん。

人形町の実店舗ではイベントなども開催しており、男着物の普及のため、精力的に活動されています。

男の着物 藤木屋

 「男の着物 藤木屋」公式サイト

男着物/きもの男子【藤木屋/FUJIKIYA】より

上野公園近くに店舗を構える、藤木屋さん。「デニム着物」や「スーツ生地着物」などの取り扱いもあり、現代的ながらも味のある商品は見ているだけで惚れ惚れします。

一度だけおじゃまさせていただきましたが、着物について本当に丁寧に説明してくださるので、最初に足を運ぶお店としてもおすすめ。自分も次に着物をそろえる際には、こちらの藤木屋さんで見繕ってもらおうと考えております。オンラインオーダーも可。

 

着物で生活する3つのメリット

僕が夏に入る頃に着物を揃えて、週末は着物で過ごすようになってから、はや半年。――と言っても、着る機会はそこまで多くないため、実際のところは月に4、5回、着るかどうかというところの、まだまだ初心者であります。

そんな自分ではありますが、着物で生活をしてみて感じたこと、良い点・不便な点などを、簡単にまとめてみました。

メリット①「話のネタになる」

単純な話、まだまだ存在自体が珍しい着物。なので、それを着ているだけでひとつの話題になります。

知り合いとの話に限らず、祭りやイベントの場で「あんら~!素敵なお着物ねぇ~!」と、おばちゃんに話しかけられたりすることもありました。

メリット②「楽しい」

着物に限った話ではありませんが、自分の好きな服を着て外に出るのは、やっぱり楽しいんですよね。

もともと「服」そのものに興味がなく無頓着だった僕は、この歳になって初めて「着る」ことの楽しさを知った格好になります。新たな世界を知りました。

メリット③「意外と快適」

そうなんです。意外や意外ですが、一度着てしまえば、着物は快適に過ごすことができるんです。

夏場の炎天下でじっとしているのは流石にきついですが、歩いていれば自然と風が隅々まで通り抜けるので、普通に洋服を着ているよりは体感的に涼しく感じられます。

冬は冬で、思ったよりも寒くありません。当然、風が入ってくるとスースーしますが、ヒートテックやタイツと組み合わせれば怖いものなしですね。襦袢と長着のあいだにパーカーを着るなどすれば暖かくなりますし、ちょっとオシャレにも見えるのでおすすめです。

 

着物で生活する3つのデメリット

デメリット①「雨と雪は怖い」

生地によっては、濡れるのを好しとしないものも数多くあります。

雨の日はそもそも着て行かないか、化繊の羽織を持っていくようにしましょう。あるいは、雨対策に和傘などを買って着物に合わせても素敵ですね!

デメリット②「激しい動作には向かない」

当たり前と言えば当たり前ですが、全速力で走るのは難しいです。小走りが限界ですね。なので普段から早歩きな人は、少しもどかしさを感じるかもしれません。

その対策としては、袴を履くのがおすすめ。帯のみで着物を抑えているときと比べて下半身のホールド感が段違いなので、より普段使いのズボンに近い形でサクサク歩くことができるようになります。

デメリット③「慣れるまではトイレが大変」

一番のネックはこれでしょうか。トイレが大変

「持ち上げるだけですし、逆に楽ですよ?」という人もいるかもしれませんが、慣れないとどうしても着崩れてしまうので。この辺は慣れですね。僕もしばらくすると、あまり気にならなくなってきました。

 

着るのは意外と簡単!まずは試してみてはいかが?

長々と書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。もし興味があるのなら、ぜひ試しに着てみてください。

新品でも意外と安く手に入りますし、上では挙げませんでしたが、さらに安い「古着屋」という選択肢もあります。お店を覗いてみたこともあるのですが、そこでお話した学生さんは着物を全て古着で揃えたそうで、10,000円もかかっていないとのことでした。

もしくは、知り合いから譲り受けるという手もありますね。お年寄りの世代であれば、「昔、着ていたものが押入れの奥深くに……」なんていうケースもありえなくはありません。

夏祭りの浴衣・着物比率を見るかぎりでは、和服に興味のある人は意外と多くいるように感じます。それならばせっかくですし、試しに触れてみることをおすすめします。

「でもやっぱり、お高いんでしょう?」って? ……いえいえ、仕立てた着物は何十年と着ることができるのだから、洋服よりもよっぽど安価で、しかもエコなんです! 「おじいちゃんの若い頃の着物がまだ着れた!」という話もざらに耳にするくらいには、長持ちです。

以上、着物初心者の拙い紹介ではありましたが、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。魅力溢れる着物の世界へ、さあさ、いらっしゃいませ!

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