ぐるりみち。

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「社会人」とは?「会社人」じゃだめなの?

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 大学を卒業して、新卒で入社して、仕事を辞めて、ぶらぶらりん。次の仕事を探しつつ、自由気ままな生活を送っている僕ですが、最近ふと考えるのはこの言葉。

 

 「社会人」って……どういう意味?

 

 「社会」と「人」、2つの単語をつなげて、社会人。当たり前のように耳にする言葉だけれど、実はちゃんとした定義を僕は知らない。

 そもそも「社会人」って、いったいどんな人のことを指すのでしょうか。成人した「大人」のこと? 働いて生計を立てている人? 社会に対して責任を負う個人?

 

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「社会人」とは

 まずは、いくつかの辞典サイトから意味を拾ってみます。

 

社会人(しゃかいじん)は、社会に参加し、その中で自身の役割を担い生きる人のことである。一般的には学生は除外される。 日本語以外の諸外国語では日本で言うところの“社会人”をさす言葉はほとんど見られない。たとえば英語では労働者(worker)や成人(adult)、市民(citizen)という単語はあるが、日本語の”社会人”にあたる単語・表現はない。

学生・生徒などに対し、社会に出て働いている人の事。労働を通じて社会に参加している人。

企業から見ると使用人のことであるが、使用人と言うのは語感が悪いので、しばしば社会人と言う言葉が用いられる。

さまざまな社会人の定義はそれぞれの社会観を反映する。

 

ちなみに、社会人を対象とする筑波大学法科大学院設置計画書では、社会人を、健康保険・厚生年金保険等の被保険者となるような被用者であるか、一定の資格に基づいて事務所を経営し、または、自営業を営んでいる者、その他これらに 準ずる者と定義している。

 

 ふむふむ。……ふむふむ?

 双方で共通しているのは、「学生」との差別化の意味での「社会人」という定義。学生でなく、社会に参加している者。では、この「社会に参加している」とはどういうことか。上から抜き出すと、以下のような要素が挙げられるでしょうか。

  • 「自身の役割を担い生きる人」
  • 「社会に出て働いている人」
  • 「労働を通じて社会に参加している人」

 
 まとめてみると、つまり「社会人」とは、「学生でなく、労働などの社会における自身の役割を担っている人」だと言えそうだ。

 さて、ここで問題です。この場合の「労働などの社会における自身の役割」とは、いったいどういった範囲の “役割” を指すのでしょうか?

 

働く人は偉い人

 こうして見ると、どうにも上記の定義からは「社会人は働かなければならない」という思想が透けて見えるように感じます。2つの例だけで判断するのもどうかとは思いますが、明確な定義がない言葉ですし……(「さまざまな社会人の定義はそれぞれの社会観を反映する」ともありますしね)

 「社会における自身の役割」という言葉でぼかされてはいるけれど、ぶっちゃけ「役割=労働」ということなのではないかしら。この言葉が使われる場面を見ていても、一般的な意味合い・使われ方は、そのようなものだと思う。働いている人=社会人。

 

 ――いや、でもちょっと待ってください。ということは、定年退職者や主婦の方、無職の人たちなど、職に就いていない人は「社会人」じゃないんでしょうか。そういった人たちの「労働」以外の「役割」を考えてみると……こんな感じになるでしょうか。

  • 高齢者 …… 家庭内役割、社会奉仕、若者への伝承
  • 主婦  …… 家事、子育て、介護、配偶者のサポート
  • 無職  …… 求職


 昨今は「高齢者の “役割” の喪失」が問題になっているという話も聞きますが、働いて賃金を得る「労働」とは別の面で社会参加する機会は少なくなく、高齢者や主婦総にはまだ “役割” があるようにも見えます。

 問題は、無職。よほどの資産を蓄えてでもいないかぎりは、無職の役割を社会に問うたところで、「働け!」と言われるのが相場でございましょう。――つまりは、そういうこと。「社会人」という言葉は、無職を労働に駆り立てるマジックワードだったのだ! な、なんだってー!!

 

「社会人基礎力」って?「社会人」は「会社人」?

 話は変わりますが、経済産業省が「社会人基礎力」というものを提唱しています。

 

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年から提唱しています。企業や若者を取り巻く環境変化により、「基礎学力」「専門知識」に加え、それらをうまく活用していくための「社会人基礎力」を意識的に育成していくことが今まで以上に重要となってきています。

 

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 これ、「どこかで見たことがあるような……?」と既視感を覚えた人もいるのではないでしょうか。自分の場合、会社で定期的に書かされていた「自己評価レポート」の項目が、まさしくこのような感じだったと記憶しています。これもまた、「社会人」の基準。

 それと、もうひとつ。元人事担当者だという方のブログのなかに、「社会人に向いていない人の特徴」という興味深い記事がありました。以下、一部引用させてていただきます。

 

  1. 周囲がやっていることがバカみたいに思える(素直さの欠如)
  2. 自分がやっていることを人に知られるのが嫌い(報告連絡相談能力の低さ)
  3. 放っておいてほしい(自信・協調性のなさ)
  4. 誰かを尊敬したことは一度もない(共感力・同調性の弱さ)
  5. 何事も協力してやるより、一人でやったほうが質も高いし早いと思っている(他者への信頼の低さ)
  6. 誰かとわかりあえたことなどない(自己開示能力の低さ)
  7. 計画を立てない(真面目さの欠如)
  8. 変わろうとしない(成長能力の低さ)
  9. 自分はやればできる。やる気がでないだけ(努力する能力の低さ)
  10. 口には出さないが、自分には他の人にはない才能があると感じている(幼稚さ・世間知らず)

 

 他にもいろいろと「社会人」に言及している記事や本がありますが、どれもこれも仕事に関する話題ばかり。……僕自身、そういった認識であることは否めませんが。

 “社会” の “人” という字面であるのにも関わらず、結局のところ、話題になるのは仕事や労働の話ばかり。それならもういっそ「社会人」なんて言わず、「会社人」でいいじゃないですかー! ――というのが、僕の意見です。

 

 振り返ってみれば、大学に入学したころから頻繁にこのワードを聞くようになり、就職活動を始めた時期にはもう耳タコ状態。はては就職しても、

 「社会人なんだからそんなのできて当たり前だろう」
 「社会人としての意識を持て」
 「それでもお前は社会人か」

 ――などと、「社会人」のオンパレード。そんなに圧力かけなくたっていいじゃない! ……というか、間違いを指摘したり叱ったりするにせよ、もっと具体的な言葉で指摘してくれなきゃわかりませんって。

 

 そんなこんなで、「社会人」という言葉について。その言いまわしから違和感と圧迫感をひしひしと感じ続けてている、ゆとり世代の目線でまとめてみました。さらに調べてみたら、「 “会社人” でなく “社会人” になれ!」などという意識高い系の記事がいくつも目に入ってきて、僕にはもうついていけない。

 

 

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