「何の前知識もないまま、ノリで映画を観に行った」のは、邦画では初めてだったかもしれない。なんとなくで足を運んでみたら、呆然としながら劇場を後にすることになった。
きっかけは、少し前に映画館に行ったとき、鑑賞前に目にした予告編*1。とある映画の予告映像で流れていた、聞き覚えのあるピアノの音色──どっかで聞いたことのあるような、別の作品で耳にしたような──というか、日常的に作業用BGMに使っていたような……?
その映像中で示されていたクレジットは、「音楽:ルドヴィコ・エイナウディ」。5年前、映画『最強のふたり』を観た帰り道、「この素敵なピアノ曲を作ったのは誰だ!」と速攻で検索。その場でCDをポチるほどの一目惚れ、もとい “一耳惚れ” をした作曲家さんである。
聞き覚えのある音楽によって注目させられると同時に、どこか独特の雰囲気を放つ、予告編それ自体も気になった。ほかの新作映画のCMと並べても異彩を放つ映像が印象に残り、「時間があったら観に行こう」と思わされた。
それが、是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』でした。過去に観た・読んだ・聴いた作品のなかでも、これ以上はないと思えるほどに「灰色」のイメージが強く、徹底的に「灰色」を描ききった映画。そのように感じられました。
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*1:『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』。プリヤはいいぞ。